漢字は部品の組み合わせ
前回の記事では、英単語の接頭語や接尾語からその単語の意味を推測できるということを紹介しました。
ひらがな・カタカナ・漢字と３種類ある日本語の文字の中の漢字にも、「へん」や、「つくり」といった部首があり、それぞれに意味があります。
これを知ることで漢字そのものの意味を知る手掛かりになります。
今回はこの漢字の部首についてのお話です。
漢字には部首がなんと２１４種類もあると言います。
「部首とは、漢字を分類する際に用いられる漢字の一部分である。また、それによる分類の、各グループである。部首による分類では、全ての漢字に一つの部首が割振られる。」
＜部首の分類＞
まず、部首には「へん」、「つくり」、「かんむり」、「あし」、「たれ」、「にょう」、「かまえ」があります。
（へん）
「へん」（偏）：漢字の左側に置かれる部首で、その漢字の基本的な意味を示します。
「木」へん（木・林・森・桜・松）：木や植物に関する意味
「氵」（さんずい）（海・河・湖・流）：水に関する意味
「亻」（にんべん）（人・住・作・体）：人に関する意味
（つくり）
「つくり」（旁）：漢字の右側に置かれ、音を表すことが多いです。
「都」（阝=村や都に関する意味＋者=音を表す）
「助」（力=力に関する意味＋且=音を表す）
（かんむり）
「かんむり」（冠）：漢字の上に置かれ、意味や性質を示します。
「雨」かんむり（雪・雷・雲）：天候に関する意味
「竹」かんむり（筆・箱・簡）：竹に関する意味
（あし）
「あし」（脚）：漢字の下に置かれる部首です。
「心」あし（思・恵・悲）：心や感情に関する意味
「足」あし（踊・踏・跳）：足に関する意味
（たれ）
「たれ」：漢字の左上から垂れ下がる形です。
「广」（まだれ）（庁・店・府）：建物に関する意味
「病」（やまいだれ）（病・痛・疲）：病気に関する意味
（にょう）
「にょう」：漢字の下を囲むような形です。
「辶」（しんにょう）（道・進・運）：移動や道に関する意味
「⻏」（おおざと）（部・都・郡）：地域や地名に関する意味
（かまえ）
「かまえ」：漢字を囲むような形です。
「門」かまえ（間・閉・開）：門や出入りに関する意味
「囗」かまえ（国・園・囲）：囲むことに関する意味
このように、各パーツごとに意味があります。
＜部首の意味＞
こうした「へん」や「つくり」という分類をぬきにして、部首そのものの意味についてもう少し見てみましょう。
（天候）
雨（あめ）：雨や天候（雪・雷・雲）
風（かぜ）：風や空気（風・飄）
火（ひ）・灬（れっか）：火や熱（火・炎・燃・灯）
水（みず）・氵（さんずい）：水や液体（海・流・河・湖）
（自然）
山（やま）：山や地形（山・岳・岩）
石（いし）：石や鉱物（石・砂・硬）
土（つち）：土地や建物（地・城・境）
木（き）：木や植物（木・林・森・桜）
（動植物）
竹（たけ）：竹や細長いもの（竹・筆・箱）
艸（くさ）・⺾（くさかんむり）：植物や草（花・草・薬）
魚（うお）：魚や水生動物（魚・鮮・鯉）
鳥（とり）：鳥類（鳥・鶴・鳩）
虫（むし）：昆虫や小動物（虫・蚊・蛇）
牛（うし）：牛や家畜（牛・牧・特）
馬（うま）：馬や乗り物（馬・駆・騎）
犬（いぬ）・犭（けものへん）：犬や獣（犬・猫・猛）
（からだ）
人（ひと）・亻（にんべん）：人や行動（人・住・働）
女（おんな）：女性や性別（女・好・妻）
子（こ）：子供や教育（子・孫・学）
手（て）・扌（てへん）：手の動作（手・持・投）
足（あし）：足や移動（足・跳・踏）
目（め）：目や見ること（目・見・眠）
耳（みみ）：耳や聴覚（耳・聞・聡）
口（くち）：口や言葉（口・唱・語）
心（こころ）・忄（りっしんべん）：心や感情（心・思・怒）
（健康）
疒（やまいだれ）：病気や健康（病・痛・疲）
歹（がつへん）：死や傷（死・残・殴）
（衣食住）
宀（うかんむり）：家や建物（家・室・守）
巾（はば）：布や衣服（巾・帯・幕）
衣（ころも）・衤（ころもへん）：服や布（衣・裁・装）
食（しょく）・飠（しょくへん）：食事や飲食（食・飢・館）
（道具）
金（かね）・釒（かねへん）：金属や道具（金・銀・鉄）
車（くるま）：車や乗り物（車・輸・軌）
刀（かたな）・刂（りっとう）：刃物や切る（刀・刃・剣）
弓（ゆみ）：弓や射る（弓・張・弾）
矢（や）：矢や武器（矢・知・短）
斤（おの）：斧や重さ（斤・斬・断）
革（かわ）：革や皮製品（革・鞄・鞍）
（住居）
門（もん）：門や出入り（門・開・間）
广（まだれ）：建物や屋内（店・府・庁）
阜（おか）・阝（こざとへん）：丘や高い所（防・陽・陰）
（行動）
行（ぎょう）：行動や移動（行・街・術）
辵（しんにょう）・辶（しんにょう）：道や移動（道・進・遠）
走（そうにょう）：走るや移動（走・超・赴）
飛（とぶ）：飛ぶや空（飛・翔・飄）
（言葉）
言（ごんべん）：言葉や話す（言・話・読）
文（ぶん）：文や学問（文・書・教）
頁（おおがい）：顔や頭（顔・題・顎）
竹（たけかんむり）：書物や道具（筆・簡・符）
（数字）
日（ひ）：太陽や時間（日・時・明）
月（つき）：月や時間（月・朝・有）
年（とし）：年や暦（年・歳）
夕（ゆうべ）：夕方や時間（夕・夜・夢）
寸（すん）：長さや小さな単位（寸・対・射）
卩（ふしづくり）：節や曲がる（印・即・却）
（数量）
一（いち）：数や基礎（一・三・万）
十（じゅう）：十や増える（十・百・千）
廾（こまぬき）：両手や持つ（廿・弄・拳）
彡（さんづくり）：線や装飾（形・彩・彫）
（境界）
囗（くにがまえ）：囲むや国（国・園・囲）
尸（しかばね）：死や座る（屍・展・居）
匚（はこがまえ）：箱や囲い（匠・匿・匣）
このように、身の回りのものに当てはめた意味があり、これらを組み合わせることで漢字が成り立っているのです。
面白いですね。
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