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〈問い〉その問題を解くと、どんな良いことがあるのだろうか

📓ビジネスデータサイエンスの問題設定力を高める問い…その3

問題設定力を高める問いシリーズ3回目です。
今回の問いは、

「その問題を解くと、どんな良いことがあるのだろうか」

というものです。問題を解けたとして、どうなるのかを想像してみるわけです。今回はこの問いの使いどころを考えていきます。


未来志向の問いかけ

この問いは「なぜ」という問いと違って未来志向なのが特徴です。例えば、

  • もし見積の誤り検知ができたとしたら、どんな良いことがあるのだろう。

  • もしエンゲージメントへ影響を与えている要因が見つかったとしたら、どんな良いことがあるのだろう。

  • もしこのダッシュボードができたとしたら、どんな良いことがあるのだろう。

  • もしAIで潜在的なハイパフォーマーを発見できたとしたら、どんな良いことがあるのだろう。

という感じで、問題解決に取り組む前に「もし解決できたらどうなるのかな」と考えてみるのです。

問題解決を一旦わきに置いて、それができた後のことを想像するわけですが、まずは前向きに考えてみることが大切だと思います。

イメージを膨らませるために

この問いはイメージを膨らませるための問いでもあります。
「良いこと」をあえて考えることで、データ分析やモデル構築後の具体的なアクションを広がりをもって考えることができます。

今回の問いを極限まで縮めると「それで? (So What?)」という問いになります。ロジカルシンキングでいうと、「なぜ?(Why?)」と表裏一体の問いであり、物事を深く掘り下げる場面で重宝するものです。若かりし頃、分析レビューの場で幾度となく向き合った問いでもあります。

しかし、「それで?」という問いは少しキツい印象もあります。

例えば、「それで? そんな問題を解決して意味あるの?」といわれたらどうでしょうか。冷静に反論できる人もいるかもしれませんが、悩んでしまう人もいるでしょう。

「反論」という言葉が示すように、攻撃的な問いにはつい反射的な答えを準備してしまうかもしれません。また、もし1on1の場で「それで?」という問いを差し向けると、建設的な会話にならないでしょう。

今回の問いはあえて「良いこと」というフレーズをいれることで、前向きにイメージを膨らませる効果を狙っています。

イメージした「良いこと」をどう活かす?

この問いによって良いことがイメージできたとしましょう。例えば、冒頭の例で以下のような考えが浮かんだとします。

  • 見積の誤り検知ができたら ⇒ 手戻りが少なくなってコストが下がる

  • エンゲージメントへ影響を与えている要因が見つかったら ⇒ 向上施策をまとめてミドルマネジャーに展開

そうしたら、今度は後半の「コストが下がる」「ミドルマネジャーに展開」というアクションや効果に着目してみます。

これらが担当する業務にとって重要なものであれば、この問題は解くべきだと判断してよいでしょう。逆に、これはあまり重要でないなと感じたら、解くべき問題が違っているのかもしれません。

このように、問題の重要度を考えるために活用することができます。

また、逆に考えてみることで、解くべき問題の広がりを確認することも可能です。例えば、

  • 「手戻りなくコストを下げる」 ⇒ 誤り検知の他にやるべきことはないか?

  • 「ミドルのチェンジマネジメント」 ⇒ エンゲージメント以外にアクションしてほしいことはなかったか?

というような感じで改めて考えてみることもできます。もしかすると、業務上の重要な点が他にでてくるかもしれません。

「良いこと」が思い浮かばなかったら

ところで、問題解決後の良いことが思い浮かばなかったらどうしたらよいでしょうか。例えば、以下のように具体的なイメージができない、ということも往々にしてあります。

  • ダッシュボードができたとしたら ⇒ ・・・

  • AIで潜在的なハイパフォーマーを発見できたら ⇒ ・・・

これはあくまで例であり、ダッシュボードやハイパフォーマーの予測が活用される場面がたくさんあります。

しかし、「自社にとって」あるいは「自分の仕事にとって」の良いイメージを具体的に描けないことはめずらしくありません。なぜなら、世の中の事例はあくまで一般的なものであり、会社や組織の事情は様々だからです。

自社にフィットしない事例を展開してしまうと、目的と手段が入れ替わってしまうことになるでしょう。

もし問題解決後の「良いこと」が思い浮かばなかった場合は、改めて問題を解く理由を考えてみることをおすすめします。

ただし、この問いは一人だけで考えていると見逃してしまうこともあると思います。ぜひ、分析チームのクライアントや関係者の話に耳を傾け、前向きに対話をしてみてください。そうすることで、思わぬ業務課題を発見することができることもあります。

前向きな会話をするためにも「良いこと」探しをしてみましょう。


残り27個、頑張っていきましょう!

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