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本紹介#3 三体ii:黒暗森林
こんにちは。
uk#26です。
さて、言わずと知れたアジア初ヒューゴー賞受賞のSF超大作。劉 慈欣の三体シリーズ第2作が早川書房から発売されました。
前作の衝撃 から半年以上経過し、皆が待ちきれなくなった所にタイミング良く発売するなんて憎い。
上下巻あるから、ハードカバーで買うのは躊躇しちゃうけど、是非とも買って欲しい。
めちゃくちゃ面白いから。
アーサーCクラークの「幼年期の終わり」やジェイムズPホーガンの「星を継ぐもの」の系譜に連なる異文明邂逅系SFに、中国近現代史のリアルとVRゲームの虚構をハイセンスにミックスした前作とはだいぶ趣が異なり 、今作はさしずめ戦略心理サスペンスSFと言った所。敵が分かっている分、その敵と如何に戦う か、に主軸が置かれている。
特筆すべきは、数世紀後の確定的な破滅の未来に対し、人間が如何に立ち向かう か?超水爆やら知能高度化やら恒星間移動宇宙船やらコールドスリープやらSFガジェットが、これでもか、と登場する中で、主要人物の人物像をしっかりと捉えて軸に据えていること。沢山出てくるSF設定に振り回されることなく、登場人物達の魅力を全面に押し出し、設定を人物像に重力場として引き寄せてしまうだけのキャラクター造形の力が、著者のストーリーテラーとしての力だと思う。
その上で、宇宙にロマンを馳せることができる重厚長大な物語は一読の価値有り。最後だけ、少し物語を急いてしまって、プロット重視テーマ重視になってしまった感は否めないものの傑作であることは間違いない。
何なら個人的には、時を隔てながら複数人の視点で、戦略が交差する物語は、前作より好みだったりする。
唯一 難点は、中国語の人名が頭に入って来にくいことだけ。これも開き直って音読みで覚える様にしたら解決したし。
中国SFと侮るなかれ。寧ろ、10年以上前の本作の衝撃が昨今の日本SFの水準を越えている事実が、中国と言う国が、10年以上前から日本より成長している国であることをまざまざと教えてくれている。
(周回遅れで他国の発展に気づくことは、ある意味、地球で観測できる何光年も離れた惑星の輝き が遥か昔の星の煌めきであることに似ているかもしれない)
繰り返しになるけれども、兎に角読んで欲しい。
でもこれって三部作なのよね。
という事で皆で喉カラカラにしながら3作目を待ちましょう。脱水化して宇宙を旅する三体人の様に