人材不足解消の鍵:就労支援と社会復帰

近年、日本では深刻な労働力不足が問題となっています。
「少子高齢化による労働人口の減少」や、産業構造の変化による「人材需要の偏り」など、様々な要因が絡み合っています。
この状況を打開するため、多くの企業が外国人労働者の受け入れを進めていますが、同時に国内の潜在的な労働力にも目を向ける必要があります。

その一つとして私が考えるのが、障がいを理由に就業できていない方々の存在です。彼らの中には、適切な支援があれば十分に働く能力を持つ人も多くいます。
そこで注目していただきたいのが、障がい福祉サービスの一つである「就労継続支援」です。

私は、この就労継続支援と障がい者雇用の2つをこれからどんどん活用していくことが、日本の労働力不足を解消する鍵になると考えています。

現在の外国人労働者の数

厚生労働省の統計によると、2023年10月末時点で日本における外国人労働者数は約202万人に達しています。
この数字は、前年同期比で約9.1%増加しており、日本の労働市場における外国人労働者の重要性が高まっていることを示しています。

主な出身国・地域別では、
・ベトナム
・中国
・フィリピン
からの労働者が多く、特に技能実習生や特定技能の在留資格で働く方が増加傾向にあります。

就労できていない労働世代の数

一方で、国内には多くの就労可能な年齢でありながら、様々な理由で就労できていない方々がいます。
厚生労働省の調査によると、2023年の15歳以上65歳未満の就業率は約79%となっています。これは裏を返せば、約21%の労働世代が就業していないことを意味します。
この中には、障がいを理由に就労が困難な方も含まれています。
厚生労働省の障がい者雇用状況の集計によると、2023年6月1日時点での民間企業における障がい者の実雇用率は「2.61%」となっています。
法定雇用率の「2.3%」は上回っているものの、まだ多くの障がい者が就労の機会を得られていない現状があります。

就労継続支援とは

就労継続支援は、障がいのある方が働く機会を得て、能力や適性に応じて働き続けることができるよう支援するサービスです。
就労継続支援には、「A型」と「B型」の2種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

A型(雇用型)

雇用契約を結び、最低賃金が保障される形で働きます。一般就労に近い形態で、より高い労働能力が求められます。

B型(非雇用型)

雇用契約を結ばず、作業内容に応じて工賃が支払われます。A型よりも働きやすい環境で、就労に必要な知識やスキルを身につけることができます。

これらのサービスは、障がいのある方が段階的に就労スキルを向上させ、最終的には一般就労へとつなげることを目指しています。

就労継続支援を活用した社会復帰のメリット

就労継続支援を通じて障がいのある方が社会復帰することには、個人にとっても社会にとっても大きなメリットがあります。

個人のメリット

・経済的自立
就労により収入を得ることで、経済的な自立につながります。これは自己肯定感の向上や生活の質の改善にもつながります。

・社会参加の促進
職場という社会の中で役割を持つことで、社会との繋がりが生まれ、孤立を防ぐことができます。

・スキルの向上
働く中で様々なスキルを習得し、成長することができます。これは将来的な一般就労への可能性を広げます。

・生きがいの創出
仕事を通じて自己実現の機会を得ることで、人生の目標や生きがいを見出すことができます。

社会のメリット

・労働力不足の緩和
障がいのある方の就労が進むことで、深刻な労働力不足の一部を解消することができます。

・多様性の促進
障がいのある方が職場に加わることで、職場の多様性が高まり、新たな視点や創造性が生まれる可能性があります。

・社会保障費の削減
就労による収入増加は、障がい者への社会保障費の削減につながる可能性があります。

・共生社会の実現
障がいの有無に関わらず、誰もが活躍できる社会の実現に近づくことができます。

まとめ

日本が直面する労働力不足の問題に対し、外国人労働者の受け入れは一つの解決策ですが、同時に国内の潜在的な労働力にも目を向けることが重要だと考えています。
就労継続支援を活用し、障がいを抱えている方の就労を促進することは、個人の生活の質を向上させるだけでなく、社会全体にとっても大きなメリットをもたらします。

そのためには、私たち一人一人が、障がいを抱える方の就労に対する理解を深め、支援の輪を広げていくことが求められています。
就労継続支援事業所や企業、地域社会が連携し、障がいを抱える方が自分らしく働ける環境を整えていくことで、真の意味での共生社会の実現に近づくことができるでしょう。
障がい福祉サービスに携わる私たちには、このような社会の実現に向けて重要な役割があります。一人でも多くの障がいのある方が、自分の能力を活かし、社会の中で輝ける場所を見つけられるよう、日々の支援に取り組んでいきましょう。

現在、北海道と東京で相談室や就労支援事業所を開設、運営する準備をしております。一緒に活動したいと思ってくださった方は、ぜひnoteやX、インスタよりメッセージをお願いします。

いいなと思ったら応援しよう!

現役相談支援専門員によるサービス提供者のための実践ガイド|計画相談員 koto
障がい福祉サービス従事する方向けに、わかりやすく情報を発信しています。 「参考になったよ」という方はサポートしていただけると今後の情報発信の励みになります。 また、「こんなことを知りたい!」という提案も併せて承っております。