1920年代を生きた女性達【海外編】
様々なものが躍進的に広まった時代と言える1920年代。
自動車や家電等の現代技術やジャズミュージック、アール・デコ等、今日に繋がる様々な(今風に言うと)コンテンツが隆盛したのが1920年代だ。
そんな1920年代の女性達の生き方やファッションにフォーカスしてみたいと思う。
まず1920年代の女性で1番に思いつくのはフラッパーという言葉(存在)で、そのライフスタイルやファッションを指す。
フラッパー以外にも当時、前衛的な生き方をする女性をギャルソンや日本ではモダンガール(モガ)と呼称していた。
以前まで女性らしいと考えられて(求められて)いた女性像とは対照的な存在で、膝丈の短いスカート、ショートヘアのボブカット、ジャズ音楽などを好んで、濃いメイクアップで強い酒を飲み、性交渉、喫煙、ドライブを積極的に楽しみ、ファッションだけでなく女性としての生活様式にも影響が及んだ。
このフラッパーが以前記事にもしたファッションとしてクローシェ帽をかぶっていた。
華麗なるギャッツビーの映画に出ている女性達がまさにフラッパーの洋装やライフスタイルを送っていたので、映画を見た人は容易に想像できるだろう。
そんな華麗なるギャッツビーの著者であるスコット・フィッツジェラルドの妻、ゼルダ・セイヤーこそフラッパーのカリスマ的存在であり1920年代を生きた女性の1人だ。
(Source:Pinterest)
毎晩のように夫の原稿料を使ってパーティーを開き豪華で贅沢な生活を送っていた彼女。
華麗なるギャッツビーに出てくる、デイジー・ブキャナンは妻であるゼルダをモデルに書かれたようにも思える。
映画冒頭で「女の子はキレイなオバカさんが一番」というフレーズは、ゼルダが出産時に娘に言った言葉で、その時のことを日記に記していたのを見てフィッツジェラルドは引用したそうだ。
因みに、ゼルダと私は誕生日が同じで少し驚いた。
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次にジャズ・シンガーであるジョセフィン・ベーカーに注目してみる。
(Source:HUFFPOST)
そのヘアスタイルは、当時の流行であったイートンクロップで彼女のルックスを印象づけていたように思える。
ユダヤ系スペイン人の父とアフリカ系アメリカ人の母のあいだに生まれた彼女は、幼少時に差別を受けた経験から若くしてダンサーとしてデビューし、その後、歌手、女優として成功をおさめ、人種差別撤廃運動で熱心な活動を展開した。
そんな彼女の芸は頬を膨らませて寄り目をしたり、作り物のバナナをぶら下げたスカート姿で、激しく腰を揺らすダンスでも有名だった。
また、彼女は人種の違う12人の孤児を養子にし、子供達を虹のこどもたちと呼んで育てた素晴らしい一面もあったのだが、子供達と住んでいる家に外部から見学者が来たり写真がメディアに出たりと子供達が見世物になってしまっていたようにも思える。
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そして忘れてはいけないのが、ココ・シャネルの存在だ。
(Source:WESTWING)
ヘアスタイルで言えばボブスタイルを確立し、ファッションではコルセットから女性を解放し動きやすさを追求した上でデザインされたスーツやワンピースを展開していた。
また、1921年に発表された有名な香水No.5は、セクシャルさを表現した香りに1920年代の自由な精神を有する現代女性の心に訴えかけた。
(Source:storkli.com)
彼女の生み出すスタイルは、フラッパー達に絶大な支持を持たせ憧れの存在であり、当時の流行であった、ストレートシルエット、ロー・ウエスト、膝丈スカート全てを網羅していた。
1920年代に発表された当時のシャネルのデザインこそ、今日でもたくさんの現代の女性達に愛されているシャネルというスタイル(デザイン)の原型と言っても過言ではないだろう。
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まだまだ取り上げたい女性はいるのだが、キリが無くなるので最後に選んだのはクララ・ボウという女優。
(Source:Wikipedia)
彼女は16歳の時に雑誌の美人コンテストで優勝し、翌年1922年に映画デビューしサイレント映画の女優となった。
お色気とコメディ要素のある作品に定評があり、中でもIt(要するに男性のセックスシンボル)という映画は大ヒットし、It Girlと呼ばれるようになった。
しかし、人気絶頂の最中、アルコール、ドラッグ、ギャンブル、セックス等、フラッパーを地でいくような生活がスキャンダルとなり人気は低迷していった。
現代と同じように時代は違えど、人気のある女優や著名人はスキャンダルの的にされ悩まされたようだ。
そして無声映画からトーキー(発声映画)の時代の移り変わりに乗り切れずトーキーには2作程出演したものの引退を余儀なくされてしまった。
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1920年代を生きた海外の女性達について、フラッパーのカリスマ、ジャズ・シンガーでありダンサー、ファッションデザイナー、女優と各ジャンルについて少し触れてみた。
自由奔放な生き方(ライフスタイル)と、それ以前のコルセット等のファッションスタイルを風化させるように確立され始めた新しいジャンルのファッションの関係性は新時代(時代の転換期)のシンボルとも言えるだろう。
次回は、1920年代を生きた女性達【日本編】ということでモダンガールについて書いてみようと思う。