見出し画像

「読書が好きです」と言いにくい心情

「好きなことは?」「趣味は?」と聞かれたときに、いつも言うかどうか迷うのが、読書である。

「読書が好き」と言われたときに、一般的に、どれくらい今までに本を読んできて、今現在どれくらいの頻度で本を読む人が想像されるのだろうか。
そんなことを考えてしまって、「ああ、今はあまり読めてないからなあ」と思い、言いかけた言葉を引っ込めることがある。


小中学生くらいまで遡れば、「読書好き」に分類される子どもだったとは思う。
学校の図書室で借りる本に加えて、週末は市立図書館に連れて行ってもらい、借りられる上限の10冊を抱えて帰り、期限内に読み切っていた。
住んでいる小さな町と、学校という狭い世界しか知らない中で、読書は「ここではないどこか」のことを知る刺激的な体験だったのだと思う。


大人になって、あの頃よりも多くの世界を知り(まだまだ知らない世界はあるけれど、「どこか」に恋焦がれる思いは昔より落ち着いた)、他にやりたいことも増えて、必然的に読書に割く時間は減った。
「本を読む」行為自体が嫌いになったとかは全くないのだけれど、やはり、過去と比べて優先順位が下がっているのは事実だ。
だから、いまの自分って「読書好き」なんだっけ…と自信がもてなくなってしまう。


まあ、世間一般の基準なんてはなから気にせずに、自分が好きなら好きだと言ってしまえば良い、それだけの話なのだけど。
好きなことくらい、思い切り自分基準で話したって良いよなあ。


(604字)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?