見出し画像

介護施設に訪れる困った面会者【後編】

ここ2日間は「介護施設に訪れる困った面会者」というシリーズを投稿してみた。書き始めると本当にキリがない。どんどん思いつくし、現在進行形で新しいタイプの困った面会者は増えるので、今回の記事で一区切りしたいと思う。


施設の「あら探し」をする


介護施設は居住空間でもあるので、自分の親や親族が入居するとなったら、できるだけ居心地の良い環境にしたいと思うだろう。

そのような思いやりの気持ちからか、たまに施設内のことにあれこれと口を出してくる面会者がいる。入居者の居室や共用スペースの話ならばまだ分かるが、玄関の掲示物や廊下の飾りつけといったことまで気になるようだ。

その面会者にとっては良い提案をしているつもりかもしれないが、飾りつけなどは入居者やスタッフが頑張って作成した物もある。

また、介護はサービス業であり接遇や礼節には注意しているものの、特に問題ない施設スタッフの言動に対して「さっきのスタッフさんの態度は良くないですよ」といった突っ込みを入れたがる人もいる。

せっかく入居者と楽しい時間を過ごすための面会なのに、まるで重箱の隅を突くように施設の「あら探し」をする。

まぁ、たまに至極もっともな意見もあるのでないがしろにはできないが、その施設の特色だってあるので多少は許容いただきたい。


入居者の言うことをすべて真に受ける


外部から見れば介護施設は、何が起きているか分からない空間である。
「介護施設とはこういうところだろう」というイメージはあるだろうが、具体的にどういうところかは知らない人は本当に知らない。

それは施設を訪れる面会者も同様である。初めて施設にお越しになった方はもとより1年に1回来るか来ないかの面会者も、施設内に入ると物珍し気に内装や他入居者をきょろきょろと見回る。

入居検討などの見学ならば問題ないが、特定の個人に面会に来ているわけだから、あまり興味本位であれこれ見てはその場にいる入居者にとっては不快になることもある。特に認知症の方ならば精神的ストレスが昂り行動や状態に悪い意味で変化してしまう。

そうして施設に来たメイン目的である入居者との面会になるわけだが、入居者によっては施設内の出来事を面白おかしくしゃべることがある。また、認知症の方であれば起きていないことを、さも本当のことのように流暢に面会者に語り出すこともある(いわゆる「作話」)。

それを真に受けて「こんなことを言っていたけれど、本当なの!?」「この施設はどうなっているんだ!」と帰り際に問い詰めてくる面会者もいる。
そのような場合、話の内容から「過去にそのようなことはありましたか?」といった質問をすることもある。すると、案外「そういえば・・・もしかしたら、ここ(施設)での話でないのかも・・・」と考えだす。

もちろん、中には真実である可能性もあるため「事実確認のうえ後日お知らせします」ということもある。これは施設向上のための苦情として真摯に受け止めて対策を講じる。

・・・いずれにせよ、何でもかんでも入居者のことをすべて真に受けて、その都度食って掛かられても困るのが本音だ。


面会者も高齢者、ときどき認知症


長寿国である現代日本独自かもしれない面会者を紹介して、本記事を締めようと思う。

それは入居者も高齢であるならば、面会者も高齢であることが珍しくない。特に入居者が80歳以上ともなると、その子供も既に高齢である。

そのため、面会にお見えになって「面会は✕分です」「飲食を持ち込む際はお知らせください」とお伝えするも「あー、はいはい」と言いつつ、そのルールを守らないことがある。

いや、守らないというか、高齢であるがゆえに理解していないといったほうが良いあろう。大変失礼な言い方であるが、面会のたびに留意点をお伝えするも改善しないことから、施設としてはそう思うしかない。

事前予約制と伝えるも急に面会に来たり、面会時間を過ぎてもは帰る素振りを見せなかったり、誤嚥リスクのある飲食物を食べさせていたことが後で分かったりと色々ある。


認知症と思われる面会者


ときには「このような状態だと、次から面会を受け入れできません」とハッキリ言うときもある。しかし、次の面会時には忘れている。

中には、面会者が認知症の症状を有している(と思われる)場合もある。失礼ながら表情や行動が認知症の症状であり、ときには面会に来ていながらまるで施設内を行ったり来たりする(いわゆる徘徊)方もある。
それに対して職員が声掛けして傾聴したり、行き先を指し示すこともある。まるで認知症の入居者がもう1人増えたかのようである。

面会者が認知症と思われるケースは、入居者の配偶者や兄弟である場合に伺える。そのため、よほど面会者の行動に問題がありキーパーソンが子供の場合は、面会時の様子を伝えて認知症の可能性を示唆することもある。

余計なお世話かもしれないが、施設として面会に来るたびにもう1人認知症ケアをするのは困った話なのでご了承いただきたい。


――― というわけで、「介護施設に訪れる困った面会者」は一区切りとする。何だか愚痴っぽい話ばかりであったが、施設としては面会は貴重な機会であるが困ったケースもあるという実態をお伝えしたかった。
また、あくまで私の見解も混じっているので一般的でないこともあるが、これから面会に訪れる方々に「施設の面会でもそれなりにマナーがある」ということを啓蒙したかったという意図もある。

少しでも伝わることができれば幸いである。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

いいなと思ったら応援しよう!