介護施設で感染症が起きると大変ではあるが、貴重な経験やスキルが得られる

運営している介護施設で1名の利用者がコロナ陽性となり、次いで1名の職員も陽性になった。それ以前に職員から陽性者が出たが、あまりにも日が空きすぎているため、その職員が起点と考えると、現行のウイルスは発症までタイムラグが生じる傾向にあるのかもしれない。

いや、そもそも5類型になってから、大型連休の人混みやマスクなしで日常を送っている人たちも珍しくない状況で、面会や見学もコロナ禍以前のようになっていることから考えると、発生源を考えること自体が不毛と言える。

ともかく、欠勤となった職員が1名とは言え、その補填として毎日のように勤務している日々である。また、職員には感染させたくないため、なるべく感染者の対応は防護服とフェイスシールドを身につけて対応している。

何だか自己犠牲っぽい言い方のようだが、そんなことはない。それは感染症対策といった運営のために構築してきた体制が、果たして通用するのかを試す機会であると前向きに考えている。

もちろん、私も人間なので、疲れてくるとネガティブな思考になったり、感情的になったりしてしまう。しかし、そのような自分の状態も含めて「施設で感染者が出るとこうなるのか」という体験を積んでいる。



一方、施設職員にとっても、平時とは異なる動きをしたり、まだ感染していない自分自身や利用者への心配もありつつ緊迫感がある状態であることも、1つの経験になっていると思う。

特にこのような事態にならないと、人間は本気にならない。これまでも研修や訓練をしてきたが、結局はその場では他人事なので、非常事態になって初めて「どうすればいいの?」となる。

特に今回で言えば、職員から陽性者が出てから職場の真剣さが変わった。

例えば・・・

「感染していない人の服と一緒に洗濯していいの?」
「防護服はどうやって着ればいい?」

このようなことは、研修や訓練などで基本を提示している。しかし、いざ感染症という非日常になると人間はパニックになる。

それは、研修などでは「ああ、はいはい」みたいな感じで、いざという事態を自分事としてイメージできないからだろう。だからこそ、こういう事態を良い機会と捉えて、管理職や経験者は冷静に「こうすればいいんだよ」と教えることが重要だと思っている。



もちろん、こういう事態になれば全職員が一丸になるわけではない。必ず「別にそこまで神経質にならなくても」とか「いちいち防護服に着替えるのは面倒」といった態度の職員もいる。

それでも、感染者の症状が長引くにつれて「自分も感染するかも・・・」と不安感が増してくるあたりで、ようやく耳を傾けるようになる。あとは、面倒くさくても共通の感染まん延防止を徹底するだけだ。

逆に、感染してしまった職員はこのような経験ができないので、もったいないと思ってしまう。無茶なことを言っているように思えるが、実際、昨年同施設でクラスターに至ったときは、ほぼ全職員が一気に感染したので、今回の感染症においては「経験を活かす」どころか、誰もが初心者みたいな感じなので、1つ1つ口を酸っぱくして指示している。

それでも、2週間が経過しつつある現状において、徐々に感染まん延予防の意識が徹底されてきている効果か、新たな感染者は出ていない。これ以上増えないことを祈る。



なお、感染者と感染していない人の衣類を、一緒に洗濯しても問題ない。
洗濯して干してしまえばウイルスはなくなると分かっている。
あえて注意点を述べるならば、感染者の衣類などの洗濯物を回収するときは、平時で使っている洗濯カゴは使用せず、ビニール袋に入れて洗濯機へ入れるなどの工夫はしたほうが良いだろう。

また、防護服の着用はそこまで面倒ではない。付け方は掲示物を見ながらやれば誰でもできる。あえて気をつけるとしたら感染者に対応した後の脱ぐときや廃棄の仕方である。ここで接触箇所に触れてしまわないように注意が必要である。
もっと言えば、感染者に対応した後の防護服を着用したまま、他利用者の対応に入ったり、感染エリア外に出ていかないことである。このあたりは、無意識にやってしまう人が少なくないので、これも注意が必要だ。むしろ、周囲の人が「その格好でこっち来んな!」と言ってあげても良いだろう。


何はともあれ、何かのタイミングで感染症は出てしまうものである。
そこで慌てず対応することも大切だし、大変で精神をすり減らしても1つの貴重な経験になることは間違いない。

・・・と前向きなことを言ったが、新規入所が延期になっているため売上にも関係機関にも影響している。小規模な感染症の広がりとは言え、早く収束してほしいのも本音だ。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?