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介護事業は何と無駄な支出が多いか

介護サービスは事業として自由度が低い


当然だが介護サービスもビジネスである。ボランティアではない。
立派なサービス業である。

提供したサービスの対価としてお金をいただいて事業を営んでる。
対価としてのお金は介護保険制度および利用者の自己負担である。

そこからスタッフのお給料や水道光熱費、備品や消耗品、銀行への返済といった支払いに充てて利益が残る。時期によって保険料や税金といった様々な支払いがあると手元に残らない月もある。

それを当たり前にしてはいけないと思いつつ、介護サービスは事業形態によって売上に上限が生じてしまうこともある。色々な加算制度によって上乗せできるものの、それも法令の範囲内の話だ。それを超えると運営基準違反になってしまうという理不尽な現実もある。

と言うわけで、創意工夫しつつも現状においてはコストカットを考えることのほうが多い。


介護事業は無駄な支出が多い


それにしても、月々あるいは年間の支出を眺めていると思うことがある。

――― 介護事業は何と無駄な支出が多いのだろう。

ここでいう無駄とは「何のために支払っているのか分からない支出」「法整備によって抑制できるだろう支出」である。

つまり、そのような支出がなくなれば事業運営にとって多少は有益であるとともに、介護サービス事業の倒産といったことも予防できると思うのだ。

例えば、介護サービス事業所や介護施設などが毎年更新している「介護サービス情報公表システム」である。これは自事業所の基本情報や事業体制の現状、法令遵守、事業所の特色といった内容がてんこ盛りに掲載されている。

これは介護サービス事業が単体で年1回以上更新する義務がある。インターネット上に公開されており一般の方々がアクセスする想定であることから、まめに更新すれば有効である・・・と言いたいが、そんなことはない。

これをご覧いただければ分かると思うが、そもそもアクセス数が少ない。介護という社会問題があるのに、1日のアクセス数が二桁の地区もある。
アプリゲームでも流行り廃れが著しい時代において、民間ならばこんなシステムはとっとと閉鎖するだろう。

・・・しかし、こんなシステムがずっと運営されているのだ。しかも年1回の更新のたびに1事業所当たり数千円を支払わなければいけない。これを無駄と言わず何と言おうか? お金だけでなく、更新する時間すら無駄だ。


義務なのにお金を払う無駄


このように義務にも関わらず、事業所の支出になるものは少なくない。

例えばグループホームなど地域密着型サービスにおいては、外部評価というものを1~2年に1度行わなければいけない。事前に自己評価を踏まえて準備提出のうえで調査員が事業所や施設に訪れて、その事業所の取り組みや考え方などをヒアリングしていく。その調査結果はwam-netという福祉総合サイトに掲載される。

これもWeb上に掲載されるため有益なように思われるが、これも一体誰が閲覧しているのか不明である。そもそも、上記の介護サービス情報公表システムのようにアクセスカウンタもないので余計に意義が不明である。

その地区の調査員と事業所が時間をかけて集計して公開されたものの、誰もに閲覧されないならば無意味な取り組みではないか? 

何より、この調査に係る料金は1~2ユニットで約10万円を要する。
10万円と時間を費やしてやったことに意義がないならば、もういっそやらないほうが良いのではないかと思う。

いくら運営基準などの法令による義務事項であり、第三者の視点を入れることは大切であるが、ただでさえコストカットしたいところなのに10万円出してまで守る義務事項なのか疑問である。


法令も義務事項を見直して介護事業を維持する


ここでは2つの無駄と思われる支出をご紹介したが、言い出せばキリがないくらい色々ある。

国は介護職員の賃金改善によって人材確保できると考えているが、その前にまずは経営母体を整えることが優先だと思う。そのためには、法令や義務事項による支出を減らすことも必要ではないか。

賃金改善をメインに考えたととしても、本記事でお伝えした内容だけでも約10万円の支出がなくなれば、わずかではあるが介護職員に上乗せできることは可能である。こういった考え方もできるはずだ。

まるで国や制度の批判のようだが、そうではない。どちらかと言えば法令や義務事項を見直すことによって、全国の介護事業を維持できるのではないかという考えである。

そうそう簡単に法や制度が変わらないということは分かっている。しかし、2025年問題やら2040年問題やらを本気で考えるならば、思い切った制度改変は必要ではないだろうか。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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