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なぜ「求人」を出すのか? 人手不足の解消ができれば良いのか?
■ 人手不足になる理由
介護業界は人手不足という言葉は、耳にタコができるほど聞いた。
そのうえ、最近では人手不足はどの業界でも珍しくはない。
それにしても、人手不足はなぜ起きるのだろう?
それは1つに「人口減少」が挙げられる。
具体的には、総人口に対して社会機能を維持・向上するだけの働き手の割合が少なくなっているのだ。
日本の少子高齢化というワードもまた、誰もが耳にタコができるほど聞いているだろうが、根本的な解決には至っていない。
もう1つは「消費者の求めすぎ」である。
日本はサービス精神に溢れているが、消費者は商品やサービスに対して「ついでに〇〇してもらって当たり前」など無償対応に慣れすぎだと思う。
顧客は「求めすぎ」となり、企業は対価に釣り合わない負荷を背負うことになり、結果的に働き手は「この仕事にはついていけない」と離れる。
ただでさえ人口が少なくて1人1人に負担が大きくなっているのに、さらに消費者の求めに応じようとするので、余計に負荷がかかっているのだ。それが各業界に人手不足という悪循環をもたらしているようにも見える。
■ 「何のために求人を出すのか?」という疑問
とは言え、いくら人手不足の原因を挙げたところで、すぐに人手不足という現象が解消することはない。これらは根深い問題であるとともに、解消しようとするならば国家的に大規模な改革をするしかない。
あるいは、日本人としての価値感をひっくり返すくらいでないと間に合わないのかもしれない。
・・・と、このようなことを考えながらハローワークなどに求人を申請しているわけだが、最近ふと思うことがある。
「なぜ求人を出すのだろうか?」
・・・何を馬鹿なことを言っているのか? と思われただろう。しかし、これは大真面目な疑問である。言い方を変えると・・・
「人手不足を解消するために求人を出すのか?」
・・・ということである。
まだ馬鹿なことを疑問に思っていると言われるだろう。しかし、人手不足を解消するために求人をするのは、何だか本質ではないように思える。
■ 事業目的の軸がズレるとき
ここで視点を変えた話をしようと思う。
それは、とあるベンチャーキャピタルの担当者の話である。
ベンチャーキャピタルとは、スタートアップ期の企業に対して融資をする機関であり、その企業の成長を促すことで利益の獲得を狙う。
そこではベンチャーキャピタルとして融資するうえで経営コンサルも行うわけだが、スタートアップ期から融資先である企業と付き合っていると、年数の経過とともに「とある変化」が起こると言う。
最初のうちは熱意をもって「社会のため」「事業の有望性」「研究の活用」「己の考えの証明」などと色々と語るわけだが、徐々に「顧客獲得」「利益重視」「前年度越え」といった発言のほうが増えるのだ。
これは別に悪いことではない。そもそもビジネスにおいて利益や売上は大事だし、融資を受けているわけだから成果を出さなくてはいけない。事業計画や事業報告でお金の話も根拠にした発表をするのは普通であろう。
しかし、ベンチャーキャピタルの立場としては、売上や利益に関する内容が増えたとき、そもそもの事業目的の軸がズレていると感じるらしい。
もちろんすべてのベンチャーキャピタルがこのような考えではないし、利益さえ確保できれば結果オーライということだってあろう。
しかし、この話を聞いて思ったことは「あなたは何のために、その事業を始めたの?」という問いの重要性である。
さらに「お金のために始めたの?」と聞かれたとき、そこではじめてハッとして事業の原点に立ち返るのかもしれない。こういう機会は定期的に必要であろう。
■ 求人の本質は何だろう?
さて、ここで話を求人に戻そう。
「なぜ求人を出すのか?」という問いについては・・・
「人手不足を解消するため」が本質的な解ではないと思う。
私が「なぜ求人を出すのか?」という疑問を抱いたのは、介護サービス事業として介護の担い手を募集するにあたり、いつの間にか「シフトを回すため」「運営基準を満たすため」といった、現状のフレームに当てはめるために求人を出していることに気づいたからだ。
それに気づいたとき、何だか自分の求人に対する考えが間違っているように思えてきた。
もちろん、現状のシフトを回すことも重要だ。そうしないと、利用者たる高齢者の生活に支障が出るし、介護職員だって休みがなくなってしまう。
また、運営基準にも目を向けないと、人数は揃っていても事業そのものができなくなってしまう可能性だってある。
しかし、介護サービス事業の目的は、シフトを回すためでもなければ、運営基準を満たすことではない。まして人員を揃えることでもない。
当たり前のことだが、求人を出す目的が「人手不足の解消」という頭になっているということは、自分の中で事業目的の軸がズレているのではないかと自分に対して危機意識を抱いたのだ。
となると、やはり介護サービス事業としての事業目的という原点に立ち返ったうえで、改めて「何のために求人を出すのか?」を考えたほうが良いと思った次第だ。
そうしないと、いざ求人に応募してくれた人がいたとしても、人手不足が解消されるという安堵感だけで教育が疎かになったり、職場として事業目的を伝えないまま、ただ業務をこなすだけの日々の職員になってしまう。
ここでは私のいる介護事業サービスの事業目的や、介護サービスの理念などは割愛するが、求人を出すという事業としてのプロセスであっても、その都度「求人を出して、弊社の介護サービス事業をどう育んでいきたいのか?」を考えなければいけないのかもしれない。
それは引いては「この求人によって、介護業界の将来にどう結び付けようとしているのか?」という全体的な問いかけとも言える。
いずれにせよ、人手不足に追われ過ぎるあまり、求人というテーマであっても事業目的の軸や業界の理念などは、随時ブレないでいきたいものである。
ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめたか