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そうか、私はコミュニケーションツールになる「おもちゃ」を作りたいんだ、と思った。
3歳の女の子が、お散歩をすると言って、手袋人形のクマさんを持って出かけた。クマさんがケガをしてるからお医者さんセットも一緒に。
玄関を出ると、ちょうど向かいに住んでるおじいさんが出てきていた。女の子は嬉しそうにおじいさんに駆け寄って、「けつあつをはかってあげるね」と、ドクターセットの血圧計を取り出した。
おじいさんは嬉しそうに腕を出す。女の子は一生懸命腕にクリーム色の布を巻いてあげる。「PUSH」を押すと、「プープー」と音がなる。
女の子は得意そうに、プープーと鳴らす。
お孫さんに作ってあげたという生徒さんから聞いた話だ。
布おもちゃの「お医者さんごっこ」を考えた時、血圧計を見て「これ、要るかなあ?子どもって血圧測る?」という人もいた。
「いやいや、おじいちゃん、おばあちゃんに巻いてあげると楽しいかなって思って」と私はこたえた。
子どもは巻くのが好きだし、音が出るのも好きだし、大人に何かしてあげるのも好きだから、血圧計はきっとお子さんのお気に入りになるんじゃないかなって。
数字は2パターンあって、正常数値と危険数値を取り外せるになってる。
これも会話が広がるかなって思って。
この女の子の話を聞いた時、とてもとても嬉しかった。
おもちゃの用途は色々あって、私の作るおもちゃは、知育的要素があまりない。
じゃあ、何を大切にして作っているのかと言われたら、今までは情緒的な?とか曖昧な言葉を使っていた気がする。
そして今回女の子に教えてもらった。
私は、遊びの中で誰かと繋がる、コミュニケーションツール、そんなおもちゃが作りたいんだなあって。
もちろん一人遊びも大事だし、知育玩具も大事だし、用途や目的は一つじゃないし、想像を超えた遊び方をするから、子どもの遊びは色々と飛び越えちゃうんだけど。
でも世代を超えて、おもちゃがその間に入って活躍してくれると、私は何だか、いいおもちゃを作ったなあっていう気持ちになる。
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