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これぞ理想のユニフォーム!〜侍ジャパン編〜
各球団のユニフォームについて、こんなんだったらカッコいいだろうなぁという妄想をひたすら垂れ流していくシリーズ企画、「これぞ理想のユニフォーム!」。
今回は番外編として、侍ジャパン編をお送りする。
いよいよ間近に開幕が迫っている第4回WBC。
大会へ向けて徐々に熱も高まりつつある今、便乗するにはお誂え向きの時期と言えよう。
本当は「とりあえず12球団を終わらせてから、2周目への準備期間を兼ねて番外編として日本代表編を」という予定だったのだが、まだ4球団も残っている状態でこの時期を迎えてしまった。
ただ、「予定」とはつまり「想定通りにはいかない」という意味でもあるので、これもある意味「予定通り」なのかもしれない。
他の記事はこちらから↓
現行ユニフォーム雑感
まずは、現在使用されているユニフォームについて簡単におさらいする。
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1年前、新たに発表された日本代表ユニフォーム。
東京五輪で使用されたアシックス製から、再びミズノ製へと戻る形となった。
このデザインについては、このnoteの開設黎明期に投稿した「侍ジャパン 新ユニフォームについて、忌憚なき意見(=ディス)をぶつけていく特集」を是非とも参照していただきたい。
この機会に改めて自ら読み返してみたが、今見ても割とそのまま今の気分に当てはまる内容になっている。
簡単に要約すると、
「コンセプトがくど過ぎ」「さすがにペラペラでテロテロ過ぎ」
「足し算に足し算を重ね過ぎ」
「2006・09年の連覇時代のユニフォームの要素をアレコレしようとしてること自体は一応伝わるけど、全然上手くなさ過ぎ」
といった感じ。
個人的に「代表ユニフォーム」というものは、ロゴやマークはしっかり凝っておいて、あとは適当にラインとか入れてそれっぽくするくらいがちょうど良い、と思っているのだが、現行モデルはそれと正反対のユニフォームだ。
そして、これを「WBC仕様」として細部を変更したものが、今回のWBCで仕様されるユニフォーム、ということになっている。
ただでさえ良いと思えないユニフォームなのに、それ以上にこのマイナーチェンジ?アレンジ?に対しても言いたいことが多過ぎるのが現状。
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前回大会でもそうだったように、大会ごとにこのようなやる意味あるのかないのかよくわからないマイナーチェンジ?アレンジ?のようなことをやるのが恒例となっているのだが、これでは「SAMURAI JAPAN」統一ブランドを立ち上げた意味とは何なのか?と思ってしまう。
初期WBCでは、「大人の事情」のせいで五輪ユニと同じデザインを使えないために「WBC専用ユニ」を用意していた、という事情があったのだが、せっかくそういう垣根を超えた統一ブランドを設定したのに、何でわざわざ大会限定デザインとかやっちゃうかな、と。
もしかすると現在でもMLBとの権利関係のあーだこーだは残っていて、そのために別途仕様のものを用意する必要があったりするのかもしれないが、それにしてもやり方というものがあるだろう。
とにかく隙きあらば金、隙きあらば金、というこの感じ。
元々のデザインとさっぱり合っていないこともさることながら、いかにも日本の野球ユニフォーム界隈に広く蔓延る安易な「手癖」のような感じで、全くイケてないのだ。
ちゃんとWBC用に“デザイン”してるなら5億歩譲って限定デザインもありと言えるのだが、所詮継ぎ足し・付け足ししただけに過ぎないというのが…
ダルビッシュ、大谷、ヌートバーの召集などもあり、過去最高の戦力とも称される今回の日本代表。
その戦闘服がよりによってこの形になってしまうとは…
何とも言えない感じだ。
改善案
以上を踏まえ、私好みに構築したユニフォームデザインがこちら。
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主な変更点は以下の通り。
・ホーム用のラケットライン廃止
・ホーム用のピンストライプは紺色の通常仕様
・胸ロゴと背番号は赤
・胸番号と背ネームは紺/白
・背番号フォントは伝統の「Optima」
・背ネームフォントはMLB型ブロック体
・帽子マークは「JPN」の組み文字
・帽子は天ボタンのみ赤
・国旗&ミズノロゴなどマーク類は袖に
ホーム用のピンストライプ&ラケットライン問題
現行デザインにおいて最も大きな問題となっているのが、ピンストライプ&ラケットラインに関しての問題だ。
このnoteでも繰り返し繰り返し言及してきたが、ピンストライプとラケットラインは合わない。
加えて、現行の代表ユニのピンストライプはただの線ではなく「MUSO(無双)STRIPE」という赤と紺の螺旋によって描かれている。
それにラケットラインが重なることで、余計に「デザイン過剰」な状態を引き起こしているのだ。
このピンストライプの仕様に関しては、前出の記事では割と好意的寄りな感想を述べているが、ここは明確に見方が変わった点である。
そのため、まずはピンストライプを普通の紺色のものに変更。
そしてラケットラインも廃止。
五輪ユニからの伝統であるピンストライプ。
余計なコンセプトを足さなくても、ただピンストライプが入っているというだけで十二分に日本代表のアイデンティティを示しているのだ。
ついでではないが、袖ラインやパンツ脇ラインなども一切廃止。
ピンストライプのユニフォームには、余程のことがない限り余計な装飾は足さない方が上品な印象になると思う。
問題だらけのビジターユニ
現行のビジターユニにはあまりに問題が多過ぎるが、ここで特に指摘したいのは大きく3つ。
まずは、肩・首周りに入っているラケットラインのなり損ないのようなライン。何のためにあるものなのかさっぱりわからない。
次に、脇に配された切り返しデザイン。
切り返しデザインを採用したユニフォームが隆盛を誇っていた2000年代ど真ん中の時期にデザインされた2006・09年のWBCユニ。
これをオマージュしているから、ということなのだろうが、2020年代に新しくデザインされるユニフォームの要素としては完全に時代遅れである。
もう一つは、パンツが白色になっていること。
2006・09年のWBCユニでは、紺シャツ+グレーパンツという組み合わせになっている。
このユニのオマージュを謳う以上、これを無視して機械的に「ビジユニ=色シャツ+白パンツ」というテンプレートに当てはめるのは論外だ。
なぜ切り返しは入れるのに、パンツはグレーにしないのか。
「ビジターユニ=グレー」というのは、時代に関係なく野球ユニフォームのドレスコードとして定着しているものなのに…
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これらを踏まえ、ラインは袖の赤白ラインのみに留め(これはシドニー五輪以前の五輪ユニをイメージしている)、パンツはグレーとしたものを改善案として提示している。
ロゴ・マークのカラーリング
ホームは紺+金フチ、ビジターは赤+金フチというカラーリングがなされている、現行の胸ロゴ及び番号・ネーム。
これを、胸ロゴと背番号は赤+紺/白フチ、胸番号と背ネームはホーム紺/ビジター白、金色は胸番号の縁取りのみ、というカラーリングとすることを提唱したい。
特筆したいのが金色の使い方。
ユニフォーム上の至るところに使われている金色を限定的に抑制することで、現行モデルから何となく醸し出されてしまっている「安易な感じ」「野暮な感じ」を回避したい、というのが1番の狙いだ。
何なら「金色は一切排除」というくらい思い切ってもよかったかもしれないが、そこは「紺+赤+金」という、一応「日本代表の伝統」となっている形式を継承する意志を込めて、このような形で残すこととした。
そして、ユニフォーム上において最も大きくデザインされる胸ロゴと背番号を赤色とすることで「日の丸」を表現。
という大義名分に加え、現行デザインが2006・09年のWBC連覇時代のデザインをオマージュしたものであることを考えると、特に胸ロゴは赤にした方が筋が通る。
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さらに、他国を見渡すとアメリカ代表や韓国代表といったライバル国が日本代表と同じ「紺+赤」のユニフォームを採用しているが、どちらも胸ロゴは紺がベース。
両者との差別化を図るという意味でも、胸ロゴを赤とすることに正当性が加わるのだ。
なお、「胸番号と背ネームはホーム紺/ビジター白」としたのは、全て赤にするよりもこちらの方がスッキリとした印象になり、胸ロゴ&背番号の赤が一段と際立って見えると考えたから。
そして何より、私自身がこういうのが好き、というのが大きい。
番号・ネームのフォント問題
かねてから言及している、「胸ロゴ・ネーム・番号を全部同じフォントにするのは流石にくど過ぎる」問題。
これはあくまで個人的な感覚・好みの問題であり、統一されている方が好ましいという人もいるかもしれないが、特に現行デザインのようないわゆる「花文字」的なフォントの場合には余計に「デザイン過剰」な印象が強まる。
そのため、番号フォントは五輪ユニや初期WBCユニでも使用されていた、やや太めの「Optima」フォントを復活させることを提言したい。
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現行フォントよりもスッキリしたシンプルな見た目で視認性も良く、それでいてエレガントさや高級感も兼ね備えたデザインであり、ナショナルチームのユニフォームに採用されるものとしてはぴったりだと考える。
背ネームフォントは、国際基準に合わせる意味も込めてMLB型のブロック体を使用。
特徴的な胸ロゴ・番号のフォントに干渉しない、フラットなデザインという意味でも、背ネームはこれくらいにしておくのがちょうどいいのではないかと思う。
帽子はかなり難しい
個人的に最も悩ましかったのが帽子である。
特に帽子マーク。
前項に続いて個人的な嗜好が色濃い話になるが、現行の「J」1文字は正直に言ってやや間抜けに見えてしまう。
だからと言って、アテネ&北京五輪ユニや初期WBCユニなどのような「胸ロゴをそのまま帽子マークに当てる」というのもデザインとしていかがなものか、という感じ。
そこで注目したいのが、シドニー五輪以前に使用されていた「JPN」の組み文字型マークだ。
「J」でもなく「Japan」でもなく、ちょうどその間である「JPN」を、しっかり“マーク”として完成させたこのJPNマーク。
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これを今一度取り入れてみるのはどうだろうか。
今回使用したフォントは、初期WBCユニの筆記体「Japan」ロゴからの引用。
ユニフォームロゴと帽子マークはフォントを合わせるのが歴代の代表ユニの習わしなのだが、現行の「JAPAN」ロゴのフォントでマークを組もうとしてもさっぱりカッコ良くならなかったため、ここは柔軟に。
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「2006・09年オマージュ」ということを今一度思い起こせば、このフォントを活用することにも一応必然性は保たれていると言えるし、そもそも野球ユニフォームの文脈的に帽子マークとユニフォームロゴは必ずしもフォントを合わせる必要はない。
そしてこれを「白字+赤フチ」という配色とすることとした。
ここに金を入れるという選択肢もなしではないのだが、あえて使わないでおこうと思う。
この帽子マークのカラーリングに関してはさらなる苦悩に苛まれてもいるのだが、それについては後述。
なお、現行デザインの特徴である赤ステッチやツバ縁ラインなどの装飾は、天ボタンの赤を残して一切廃止。
今のデザインはゴチャゴチャし過ぎて明らかにデザイン過剰だ。
特に、ツバにしつこくあしらわれた赤ステッチは、陽のあたり加減によっては日焼けで赤っ茶けた感じに色褪せたようにも見えてしまい、非常にカッコよくない。
帽子は特にシンプル・イズ・ベストだ。
その他ロゴ・マーク類は袖に
WBCユニでは日の丸が左胸から右袖に移動しているが、個人的にはこれをデフォルト設定にしていただきたい。
他国のユニや歴代のユニを見る限り、おそらく「右袖に国旗」というのはWBCの大会規定か何かで定められたものなのだろうと推測できるが、どうせ大会に合わせて変えないといけないことがわかっているなら、初めからそういうデザインにしておけばいいのだ。
先述したように、何かしらの事情からWBC用とそれ以外の大会用のものに分ける必要があるのであれば、WBC用は日の丸、それ以外用は「SAMURAI JAPAN」エンブレム、みたいな感じで使い分ければいいと思う。
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「SAMURAI JAPAN」エンブレムは、いわば「日の丸の変形バージョン」とも取れるデザインになっているため、日の丸の代替として十分機能するはずだ。
そして、ミズノロゴも袖に。
広告がつくならそれも袖だけに。
とにかくユニフォームの前面をゴチャゴチャさせて欲しくない、というのが個人的な好み。
これは普段のプロ野球ユニフォームに対しても常々思っていることなのだが、国際大会で国の名を掲げるとなれば尚更、それ以外の要素は極力シンプルにした方が好ましい。
その他オプションa.k.a.迷ったポイント
●ビジターは上下グレーorセパレート?
個人的な好みを最大限に表現するのであれば、相手が代表ユニと言えど「ビジターユニは上下グレーが鉄則」という考えは揺るがない。
しかし、日本代表ユニフォームの歴史上、上下グレーのビジターユニを採用していたのはアテネ・北京五輪ユニのみであり、残念なことにどちらもあまり「ゲン」の良いユニフォームではない。
そういった点から、グレーにするのはパンツのみでシャツは紺とした方がいいという判断に至った。
ただ、一応作ってみた上下グレー版のビジユニイラストがかなりいい出来だっただけに、そう判断せざるを得ないことが非常に残念である。
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●帽子はマークは赤or白?
先ほど「最も悩ましかったのが帽子」と述べたが、正直今でも迷っているのが帽子マークのカラーリング。
赤をメインにするか、白をメインにするか。
非常に迷いどころである。
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胸ロゴの赤に合わせて帽子マークも赤、とした方がすんなり行くのだろうが、何となく白の方が収まりが良い気がする。
歴代の代表ユニを見ると、胸ロゴが何色だろうと帽子マークは白となっているものの方が圧倒的に多数派、というのも関係しているかもしれないが、何となく白の方が良い気がする。
それ以外にもアトランタ・ブレーブスなど、紺基調+胸ロゴ赤+帽子マーク白という組み合わせのユニフォームは存在するので、「白はおかしい」ということもないはずだ。
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ただ、赤でも全然良いので、非常に難しいところである。
皆さんはどう思われるだろうか。
●胸ロゴの書体は据え置き?
今回はあくまで「JAPAN」ロゴは据え置きということを前提に話を進めてきたが、そもそもこのロゴ自体が好きではないという人も少なくないように思う。
しかし、現行の「JAPAN」ロゴは、1931年の日米野球参加に向けて初めて「日本代表」として組織されたチームが着用したユニフォームの「NIPPON」ロゴをオマージュしたものであり、現在の「SAMURAI JAPAN」ブランドのコンセプトの中核を担うもの。
それ故、安易に「別のロゴを」という提言をするのは、私には荷が重い。
それに、そもそも「JAPAN(Japan)」という字面をかっこいいロゴに落とし込むのは非常に難しいのではないか、というのが今回の企画における個人的な最大の「気づき」。
色々と考えてみたが、どうにもしっくりくるものが思い浮かばない。
一応、初期WBCユニで使用されていた「Japan」ロゴを今回の妄想ユニに合わせてみたが…
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であれば、しっかり物語性があり、野球ユニフォームとしての王道感もある現行の「JAPAN」ロゴこそが最も「いいロゴ」なのではないか、という考えに至っているのが現状。
かつての五輪ユニではロゴとして日の丸を胸に掲げており、これはこれで味わい深いものがあるが、ではこれをそのまま2020年代に持ち込んだものが「かっこいいユニフォーム」になるか、と言われれば、それはそれでまた微妙なところだ。
最後に
私個人として、正直に言って未だかつて「文句なしにかっこいいと思える日本代表ユニフォーム」に出会ったことがなく、「こうすればかっこいい」と思えるサンプルに乏しいのが、今回の妄想企画で最も大変だった部分。
そのため、基本的には現行デザインをベースに、要所要所で「個人的にグッと来るポイント」を色々詰め込んでみた、という感じだ。
今まで以上に私個人の好みが反映されているので、見る人によっては「全然いいと思えない」という人もいるかもしれないが、ご意見などあれば是非とも伺えればと思っている。
一国を代表するユニフォームとして、どういうのが理想的なのか。
非常に難しい問題である。
以上、以上、シリーズ「これぞ理想のユニフォーム!」・侍ジャパン編でした。ありがとうございました。