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働くのなら幸せのためがいい #はたらくを自由に
何のために働くのかと考えたときに、それはお金のためであったり、やりがい、社会との繋がり、世間体など、様々です。
人によって背景も重ねてきた経験も違うし、複数の要因が組み合わさっているものでもあります。
例えばお金のためとして、それは生計を立てるためなのか、なにか目的があるのか、具体的に欲しいものがあるのか、贅沢で華やかな暮らしのためなのか。私はもやもやと考えながら、日々の暮らしのために通勤しています。
長野県東御市に、わざわざというパンと日用品のお店があります。
2018年5月に発行された「わざわざの働きかた」第3版を久しぶりに引っ張り出して読み始めてみたところ、働きかたについて今ものすごく考えさせられています。
会社員の場合、働く時間が生きる時間に占める割合は高くなります。だったら幸せのために働きたいと思いました。
時代の変化に伴う考え方の変化
購入時に読んだときは、平田さんの仕事に対する発想の斬新さに圧倒されました。
そして2年半ほど経ったいま読み返してみると、当時はここまで感じなかった「働く」と「幸せ」の密接な関連に夢中になってしまいました。
書籍だから一字一句変化しているわけがなく、これはつまり自分自身の中にある常識や考え方が変化しているのです。
平田さんの仕事に対する考え方がものすごく先鋭的であることを思い知らされました。
組織である意味
自由な働きかたといえば、例えば独立してフリーランスを目指すのが王道のように考えがちですが、それは同時に、例えばクリエイターが営業も経理も開発も経営戦略もすべて一人で抱えることになります。
個人事業主として始めたわざわざの運営で、平田さんはかなり早い段階で「これは向いてない」と思う仕事を人に任せます。
苦手なことは得意な人に任せて、自分は稼げる分野で収入を伸ばす。役割分担をすることで事業は効率よく前進していきます。
書籍には、平田さんの描いた円の組織図が掲載されています。
部署間に差をつけず、上下関係ではなく横につながりながら連携して展開する仕事。
「職業に貴賎なし」と考える私にとって、「仕事に優劣なし」と言い切る平田さんの仕組みづくりはものすごく理想的です。
それぞれのスキルを持ち寄り、良い仕事をしたいという理想を共有できる人同士でタッグを組むことができれば、これほど強力な働きかたはありません。
外注でもフリーランスの集まりでもなく、会社組織である理由はここにある気がします。
人は変わる。理念は変わらない。
「わざわざの働きかた」が注目を集めて、その後も新しい商品開発と事業展開を続ける平田さん。
ネットでわざわざ関連の記事もいくつか読みました。
インタビューの中で平田さんが自分の方針を語り、インタビュアーから「以前こう書かれていましたよね」と振られたとき「私そんなこと言いましたっけ?」と返していて、すごいな!って思いました。
もちろんインタビュアーは事前に平田さんの書籍を読んだり発信をリサーチしてきているので、平田さんは自身の過去の発言が今の考え方と違うことをサラッと認めるんです。
だからといってブレているのではないんです。
チャレンジして、思うようにいかなかった点は改良して、次の目標のために動いて、今も走り続けています。そうしているうちに新商品やアイデアが生まれるし、時代も環境も家族や人との関係性も動き続けていくから、当然その中で人は変化します。
その先に何を目指しているのかが変わらなければ、ブレません。
わざわざの理念「全ては誰かの幸せのために」
それはもちろん長野の山の中にある店舗までわざわざ足を運ぶお客さまのためでもあるし、平田さんが欲しいものを作りたいという願望を叶えるためでもあるし、環境のために無駄をなくしてごみを減らすことでもあり、そして働く人が健康で幸せであることも繰り返し書かれています。
提供する側が幸せでなければ、人に幸せを提供することはできない。
よく耳にすることなのに、実現するためには本気で取り組まなければ難しいのかもしれません。
お客として、商品のファンとして
2020年2月、食パンを買いに行きました。
車を降りると、店舗の外まで漂ってくるパンの香り。幸せに包まれながら店内に入ります。
わざわざが靴下工場の残り糸で作った残糸ソックスは履き心地が良いうえ安価で、店舗に行くたび別色を買い足しながら愛用しています。
その発想と販売までの経緯も興味深かったのですが、今回訪れたときは同じ残り糸で作られたバッグが並んでいました。
そして初めて見る冊子。この帯、靴下のやつ!
(靴下は愛用中のものです。洗濯済み)
バッグは吟味してまた買いに来ることにして、冊子と食パン一斤を買って帰りました。
焼きたての食パン、まだ暖かいので袋の口は半分開けて留めてくれます。
車の中が焼きたての芳醇な香りで満たされました。
並べて撮影してしまったけど、テーブルの上に靴下を置くのはやっぱりちょっと良くないかも。
平田さんに対してはファンという感覚はありません。今後どんな商品を世に出して、どんな考え方を持って事業を展開していくのか、それをできればもっと詳しく聞きたい、知りたいという好奇心が止みません。
一方、平田さんの書籍でその名前が見出しにまでなってしまった「ゴトウさん」はホント素敵な方で、ファン感情を持っているかも。店頭で応対してもらったとき(ゴトウさんだ。。)と内心キュンとしてました(笑)。いつか声になって漏れ出しそう。
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もちろん自由でありたいけれど、今後も働き続けたいと思っています。良い仕事をしたい。
理想の働きかたの事例が、ここ長野に一つありました。
終
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