山ばな平八茶屋の園部晋吾です。料理屋が伝統文化や伝統工芸の発信拠点になって、次の世代に伝えていきたい。
自然と人と文化が共存できる社会へ
こんにちは。
山ばな平八茶屋の主人、園部晋吾です。
和食の料理人です。
料理をしながら経営し、
接客の人と共にお客様を
お迎えしております。
料理のジャンルとしては懐石料理を
お出ししております。
名物は「麦飯とろろ」です。
これは創業以来の名物料理で、
昔、旅人が食べた「麦飯とろろ」を
今に繋いでおります。
創業は天正年間(安土桃山時代)に遡ります。
店の前に通っております川端通りは
元々、京都と日本海を結ぶ若狭街道とか
鯖街道と呼ばれた街道で、その街道茶屋として
発祥したのが今から440年位前に
なります。
初代の名が平八だったため、
「平八のお茶屋さん」から、平八茶屋という
名前になりました。
平八という名は代々ずっと襲名してきており、
私の父親でちょうど20代目・園部平八、
私は21代目・園部平八になる予定です。
では、なぜこの地に茶屋があったかというと
ここが御所から一里の地だったからです。
都の出入口にあたり、都を出るときの
最初の茶屋であり、
都に入ってくるときの最後の茶屋でした。
そういう場所でしたから、このあたりの地域を
”山端(やまばな)”と言います。
そのため、店の名は”山ばな平八茶屋”に
なっております。
ちょうど店の入口に騎牛門(きぎゅうもん)
という古い門があります。
そこをくぐっていきますと
約600坪の敷地に日本庭園が広がります。
四季折々の花がそこで咲いて
蛍であったり蝉であったり、
そして秋の虫であったり、
季節を肌で感じていただける庭に
なっております。
幕末には岩倉具視公が世を忍んで
うちに時々お酒を買いに来たと
聞いております。
明治には夏目漱石が正岡子規や高浜虚子と
訪ねてきて、「虞美人草」「門」という
作品の中に店の名が出てきます。
昭和に入って有名な人というと
北大路魯山人です。
うちの18代目当主、私からすると
ひいじいさんですけど、非常に親交が
ありまして、ちょうど還暦の時に
魯山人が
「とろろやの 主ねばって 60年 平八繁盛 子孫萬采」
という本当にありがたい軸を
もって来てくださいました。
今もうちの宝として残っています。
祇園祭について
祇園祭というのは京都全体が
盛り上がっている祭りのように
思われがちなのですが、そうでもなくて。
私らからすると鉾町や八坂さん(八坂神社)の
祭りという印象なんですね。
我々の祭りというのはあくまでも
鷺森さん(鷺森神社)、我々の氏神さんの
祭りなのです。
ですので、祇園祭はお祭り本体というより
むしろ夜店というものが非常に魅力的でした。
小さい頃からおばあちゃんに
よく連れて行ってもらって、
あっち寄って、こっち寄って
ウロウロしながら色んなものを
買ってもらって帰った
というような記憶があります。
でも祇園囃子というのは独特なものでして
なんか京都の蒸し暑さを和らげるような、
そんな響きがあります。
かけ声なんかもそうですね。
明日のイベントへの想い
このKYOTO Sustainable Networkが
出来る前の話ですけども、
2年前に芽生会という京都の料理屋の若主人が
集まる会で会長をしておりました。
その時にずっと思っていたことは
「文化というものを縦軸と横軸でつなげたい」
ということでした。
縦軸でつなぐというのは
上の人から伝わった文化を
次の世代に伝えていくこと。
横軸でつなぐというのは
異なる文化同士が互いに
手を取り合うことです。
皆さんそれぞれお花もそうですし
お茶もそうですし、お能にしても
伝統工芸にしても、次世代に伝える、
次代につなげる活動をされております。
私たちも食育という活動をやっております。
それぞれ、個々で伝えていくことは
大事なことです。
でも、思いを同じくするものが
横軸でつながって一緒に次の世代に
伝えていくことができたなら、
もっと強く、もっと大きな力になっていく
のではないかと思い、芽生会で
「親と子の文化祭」というイベントを
企画いたしました。
一か所でお能もお茶もお花も和菓子も
そして京料理も体験できる。
親子で一緒に学び、感じてもらえるような
場所を作ろうと思いました。
皆様の協力も得られ、あとは募集という段に
なって残念ながらコロナで中止にせざるを
得なくなりました。
私は、いろいろな伝統文化や伝統工芸が
身近に集まる場所が料理屋ではないかと
思っております。
我々料理屋が伝統文化や伝統工芸の
発信拠点になれないかなと
思っております。
いろんな文化や工芸をつないでいって
次の世代、子供たちに伝えていけたら
いいなという想いはずっとあります。
それが今回、ようやく具現化することが
できました。
はじめの一歩です!
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