なぜ、CAを辞めたのか?〜前編〜
久しぶりに会う友達や、
新しく出会う人に必ず聞かれる質問。
『何でCAやめたの?』
「なんでもええやーんw」と答えるわけにもいかず、聞かれるたびに説明するものの
一言で答えれるような質問でもないので答えるのは地味に難しい。
「せっかくCAになれたのに何で辞めちゃったの?」
「もったいない。」
「やっぱり女の世界は大変だった?」
そう言われることが本当に多い。
ただ、その世界に入ったからこそ見える景色があって、
自分の目で見たからこそ、感じることがある。
その世界を共に生きて、同じ現場の空気を感じた者同士だからこそ、CAの同期や先輩後輩との会話は深く共感することが出来るし、相手を大切な存在だと感じる理由の一つだと思う。
女の世界は大変というイメージがあるが、女性だけの方が案外さっぱりしている気がする。
男女問わずどの世界にもサイコパスだったり厳しい人は一定数いるだろうし、マイルールを持ちすぎてしまったが故に鬼扱いされる人もいる。鬼滅の刃のように、人間から鬼になるにはそれだけの理由があったんだろう。
まあそれは知らん。ここではどうでも良い。笑
「え〜もったいない!女性の憧れの仕事やのに!」って言う人多いけど、、
分かってる。そのお気持ち分かるねん。
物凄い倍率の中せっかくCAなれたのに、
良い会社に入れたのにもったいない。
ってつい言ってしまうそのお気持ち。
しかし、、
「わしの人生じゃ。わしが選ぶんじゃ。ほっといておくれ。爆」
と言いたいところ。笑
もったいないことだってこと、そんなことは自分が一番よく分かってる。
その「もったいない。」という理由で、
色々思うことがあっても我慢して飛び続けるのか。
他にやりたいことがあったとしても、女性の憧れの職業を手放すのはいけないことなのか。
私は誰かにちやほやされるために、CAをしているわけではない。
そんな理由で続けていけるような安易な仕事ではないし、外から見えるイメージと中に入ったからこそ見える実態は違う。
CAじゃなくなったら私は価値がないのか。
そんなことないよね。
私の心が決めたこと。
心に従って、勇気を出して決断したんだから。
誰かにもったいないって言われても私は動じない。
CAの経験を宝物として大切にするだけ。
そして、どんな道を歩んでも輝けるようにひたすら自分と向き合うだけ。
「その世界に入ったからこそ見える景色があって、
自分の目で見たからこそ感じることがあるんだ。」
さて、本題に入る。
私がCAを辞めたのは、
「自然体でいられないことが息苦しく感じた。」
「自分の英語力の無さを痛感して、海外に住んで生きた英語を学びたいと思った。」
「日本のおもてなしだけじゃなく海外のフレンドリーなサービスを知りたいと思った。」
「会社に守られずに自分の足で人生を歩んでみたかった。」
「CAじゃない自分を見つけたかった。」
理由は挙げだしたらいくらでもある。
そんな小さな欲求が少しずつ大きくなって、積み重なっていった結果が退職だった。
「自然体でいられないことが息苦しく感じた。」
私は神戸で育った関西人で、就職のタイミングで初めて故郷を離れ東京で一人暮らしを始めた。
客室乗務員になるための訓練は当然厳しかった。
そこでしか味わえない感情や体験があった。
だからこそ楽しかったし、面白いことも沢山起きた。
教官の圧に耐えかねて誰かが奇想天外な行動をしたり、教官から聞かれたことの答えがみんな分からず全員で答えを探りながらゆっくりとそれっぽい事をほにゃほにゃ言ってみたり、、
「冷静に考えるとこの状況めっちゃおもろいやんww」と思うことがあったとしてもそこは「絶対に笑ってはいけない訓練センター。」
心の中で爆笑しつつも真顔をキープするスキルをここで手に入れた。
根は超真面目なみんなと支え合いながら、励まし合いながら、着実に成長を感じた2ヶ月の訓練を終えた。
あの時間は本当に宝物だったなあと思う。
仕事中は標準語で話すことが当たり前なので慣れ親しんだ関西弁は封印。
なんとなく自分のアイデンティティーが失われていく気がして、東京で生活し始めてからプライベートの時に話す関西弁は前よりもきつくなっていた。
今思えば自分というものを見失わないように必死だったんだと思う。
フライトでご一緒する先輩はもちろん初めましての方ばかり。
私は一緒に飛ぶ人によって自分を変えていた。
サバサバした感じの先輩にはハキハキ系の自分で、丁寧でおっとりとした雰囲気の先輩にはこちらも丁寧にゆっくりと話し、見るからに怖そうな先輩に対しては必要最低限の会話だけして出来る限り存在感を消す。笑
当時の私は自分らしさをさらけ出して受け入れられなかったら傷付くと思い込んでいたので自分らしさというものを出せずにいたのもあったが、相手にとって話しやすい相手でいたかったんだと思う。
実際にその相手にとって話しやすい存在だったかは分からないが、その時はそれがいいと思ってやっていた。
そして、お客様によっても自分を変える。
ビジネスマンに対してはスマートに、飛行機に不慣れな方には丁寧な説明を添えて、、等々。
人の数だけ対応の仕方があって、相手の様子を見て自分の立ち居振る舞いを臨機応変に柔軟に変えることが自分の中でオートマティック化していった。
華やかに見えるCA LIFE。
実際はどうなのか。
同期と一緒のフライトは本当に楽しかった!!
最高すぎた!!
しかし基本はみんなスケジュールがバラバラなので、孤独を感じることの方が多かった。
仕事が終わって家に帰っても一人ぼっち。
ご飯を食べながら話す相手もいない。
今日はどんなフライトで、どう感じたのか。
実家にいた頃はその日起きた出来事を家族によく話していたので、社会人になった時も誰かに話を聞いてもらいたかったのだが、親に電話して話すほどのことでもなく、専門用語も多いのでそれを説明しながら話すのは逆に疲れるし、同期に話したくてもみんなも同じようなスケジュールで毎日早朝深夜問わずハードに飛んでいるので疲れているだろうし、、
そんな事を考えると誰にも話さずに寝ることがほぼ毎日だった。
そうして人によって自分をコロコロ変える日々を過ごし、その日起きたことや感情をアウトプットしないまま消化しきれずに毎日眠りについていると、
「あれ…私って何が好きで、何を見て笑うんだっけ。どんな日を過ごすのが好きなんだっけ。」
「私って、どんな人間だったっけ。」
私は初めての一人暮らしで自分を見失いかけていた。
そんな私を救ってくれたのが、同じ大学の親友や訓練を共に乗り越えた同期だった。
休日に親友や同期と出かけたり、一緒にご飯を作ってお泊まり会をして、「あっそうだ!私はこうして友達と真剣な話をしたり、ふざけた事を言って笑ったり泣いたりする時間が大好きだったんだ!」と思い出させてくれた。
自然と自然体の自分でいさせてくれる人は本当に特別だ。
そして、その人達と過ごす時間は宝物だ。
友人に会えない時は図書館に行った。パッと見て心が惹かれた本を10冊ほどまとめて借りて、家にいる時はその瞬間の気分に合うものを読んで共感したり、知識を得たり、知らない世界について学びを深めることで心を満たしていた。
あとよく言われることのひとつに
「休みの日は合コン三昧!?」というのがある。
CAになってから確かに合コンに呼ばれることは多かった。
合コンってどんな世界なの〜!と気になり、入社1年目で人生で初めての合コンに参加したある日の事。
『CAなんだよね!?赤?青?どっちの会社!?』と、ある男性が言った。
(JALかANAかという愚問である。)
「黙れ小僧。」
内心静かにそう叫んだが、声には出さなかった。
この人たちは私のことをCAという肩書きでしか見ていない事を強く感じた。もし私がコンビニの店員だったら全く興味を示さないのだろう。
CAという肩書きに惹かれ、それによって態度を変える男性には全く魅力を感じない。
仕事でも「初めまして。14年入社の〇〇と申します。どうぞよろしくお願い致します。」と初対面ばかりを経験してるのに、プライベートでもCAらしさを期待されて「初めまして〜」をするのは苦痛でしかなかった。
そして、その合コンに来ていた男性たちの会話は本当に本当に切ないほど面白くなかった。
私は面白くないことに対して手を叩いて笑えない。「あんたよりうちの方がおもろいわ。CAのイメージぶち壊してやろうか。」そんなことを思いながら約2時間の無駄な時間を過ごして人生初の合コンは終わった。
後日同期にその話をしたら、「当たりが悪かっただけだよ〜!」「東京にも面白い人はたくさんいるよ!」と言われ、あの出来事は何かの間違いだったのだろうか、、と思い、また後日誘われた合コンに参加してみた。
「、、、前と同じやないかいっ!!!!!」
「よーそのおもんなさでここまで元気に生きてこれたな。」と男性陣に無念と尊敬の念を抱きながら、私はまた約2時間の無駄な時間を過ごした。
もうその時から合コンにいくのは辞めた。
私の人生の大切な時間を「赤?青?」などの愚問を聞かれる時間に費やしてはいられない。
本を読んだり、クッキーを焼いたり、ストレッチしたり、夜通し白湯を飲んで同期と語り明かす時間が削られては困るのだ。
とにかく私は自然体でいることが、
自分にとって本当に大事だと感じた。
「自然体でいる」ということは、
私の人生のテーマなのだ。
そんな大切なことに気付かせてくれた
客室乗務員として経験できたことの全てに、
合コンに来ていた愚問太郎達に、
謝謝。
このままいってもたらまためっちゃ長くなりそうやから一旦ここで止めます〜!
「なぜ、CAを辞めたのか。」
後半へつづく。
最後まで読んでくれた心の広いお方、ありがとうございます♡
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