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世の中の教育は本当に教育と呼べるか?
成績の伸びない人の根本原因|3つのEがシステムになっていない
「どうしてあの子はいつも成績が伸びているのに、うちの子は伸び悩んでいるのだろう?」
学校教育における成績が伸びない理由は、学力そのものの問題よりも“学習を促進する仕組み”が整っていないことに起因するケースが多く見受けられます。そこでこの記事では、成績が伸びない人の根本原因を「3つのEがシステムになっていない」ことだと捉え、学校教育の現場を例に具体的に解説します。
3つのEとは?
ここでいう3つのEとは、以下の3要素を指します。
1. 実践(Experience)
2. 上長の関与(Engagement by superiors/mentors)
3. 研修と教育(Education and Training)
企業の人材育成の分野でも耳にすることの多いこれらの要素は、実は学校教育や個人の学習においても非常に重要な役割を果たします。この3つが互いに関連し合いながら機能していると、学習意欲が高まり、結果として成績が伸びやすい土台ができあがるのです。
1. 実践(Experience)が不足している
「やってみる」場がない
学校では、教科書を使ったインプット中心の学習がメインとなることが多く、学んだ知識を実践する機会が限られがちです。特に数学や理科の実験なども、授業時間の制約から「形だけ」の体験にとどまることも少なくありません。
しかし、身につけた知識を活用して自分で課題を解決してみる、別の角度から応用してみるといった「実践の場」がなければ、本当の意味で理解が深まることは難しいのです。
失敗から学ぶ仕組みが弱い
実践がないままテストでいきなり評価され、点数が悪ければ「努力が足りない」と言われるだけでは、改善策も曖昧です。実際には、失敗や試行錯誤のプロセスそのものが学びの本質ですが、「失敗を恐れてチャレンジしにくい」環境だと、いつまで経っても新しいスキルや思考法が身につきません。
2. 上長(指導者・保護者など)の関与(Engagement)が乏しい
ただ「教える」だけでは不十分
学校の先生や塾の講師は「上長」にあたる存在といえるでしょう。しかし、限られた授業時間やカリキュラムの都合で、一人ひとりの生徒に充分なコミュニケーションが取れないこともしばしば。
学習内容を“教える”だけでなく、「どこでつまずいているか」「どうすれば次のステップに進めるか」といった継続的なフォローが必要です。ところが、受け手側の理解度や興味に合わせた細やかな関与が不足してしまうと、モチベーションや自主性が育ちにくくなります。
フィードバックと励まし
「上長の関与」とは単に「宿題をやったかを確認する」「テストで悪かったら叱る」だけではありません。試験や小テストの結果について、何ができて何ができなかったのか、具体的なアドバイスを得ることこそ重要です。また、うまくいった時の「承認」や励ましがあると、生徒は次へのチャレンジに対して前向きな気持ちになります。
3. 研修と教育(Education and Training)が単発で終わってしまう
継続的なアップデートが必要
学校教育には学年ごとのカリキュラムが存在しますが、一度教わった内容を復習・応用しながらアップデートしていく仕組みが弱い場合があります。数学の公式にしても英語の文法にしても、単元を“終わった”ものとして扱ってしまい、その後の学習で定期的に強化されないまま「忘れてしまう」ケースは多いでしょう。
学ぶ楽しさを再確認する機会の不足
研修や教育の場では、知識やスキルを得るだけでなく、学ぶことの楽しさや意義を感じ取ることが大切です。しかし、受験中心の学校教育では、一度教科書で学んだらテストで点数を取って終わり、という流れになりがちです。結果として、学ぶことへの興味が保たれず、「やらされている勉強」という消極的な姿勢に陥ってしまいます。
3つのEをシステム化するためには
1. 実践の機会を組み込む
• 授業の一部をプロジェクト型学習やグループワークにする
• 課題を解くだけでなく、発表やディスカッションの場を設ける
2. 指導者の継続的なフォロー
• テスト後に個別面談やリフレクションの時間を確保する
• 小さな成功や成長を見逃さずに声をかける
3. 研修・教育を“単発”で終わらせない
• 学年を跨いだ復習プログラムや習熟度別のフォロー
• 生徒自ら興味を持てるように、テーマを自由に選べる学習機会の導入
まとめ:3つのEが揃えば成績は自然と伸びる
成績が伸び悩む原因は、単に「勉強が苦手」「努力が足りない」だけではありません。背後には、学習を継続的にサポートする**「実践」「上長の関与」「研修・教育」**が十分にシステム化されていない現状があります。
もし学習で成果が出ずに悩んでいる場合、まずはこの3つのEがうまく回っているかを点検してみることが大切です。一人だけで解決しようとするのではなく、周囲のサポートを得ながら実践の場を増やし、適切なフィードバックを受け続けることで、学習のサイクルはぐっと良い方向に回り始めます。
「やればできるはずなのに、なぜか成績が伸びない・・・」と感じている方は、ぜひ3つのEの視点から、学習環境や勉強の進め方を見直してみてください。スムーズに成果が上がるようになるだけでなく、“学ぶことの面白さ”に気づき、勉強が楽しくなるきっかけになるはずです。