むずかしいことをやさしく
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、...」
井上ひさしさんの言葉だ。
「ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」と続くけれど、とても真似のできるものじゃない。せめて「むずかしいことをやさしく」だけでも見倣いたいと思っているのだけれど、これが、むずかしい。
小学校の理科のお手伝いをしている。
理科の教科書は「むずかしいことをやさしく」教えているのだけれど、子どもから「なんで」と聞かれれば答えに困ってしまうことが多い。
5年生の「ふりこ」の時間。ふりこの周期は、おもりの重さは関係なく糸の長さで決まる。これを実験で確かめていくのが授業内容だ。10往復する時間をストップウォッチで測って数値化する。金属、ガラス、木など、おもりの種類を変え、また、糸の長さを変えたときの時間を記録して結果を考察する。
誤差はあるが、実験結果から、重さじゃなくて長さだと理解する。
でもこれって理解じゃない。「なんで重さは関係ないの?」という疑問への解答は、教科書にはない。そんなものだということで終わっている。
わたしも説明ができない。これはいかん、とあわててネットでチェックした。はるか昔に習った力学を少しずつ思い出しながら計算式をノートに書き写した。ふりこは単振動だから運動方程式を解いていくと...
なるほど、方程式の両辺にある質量mが消され、長さLの関数になった。周期Tは重さに関係しない。
なんとなく、理解した。
でもねえ、こんな方程式を子どもに説明するわけにはいかないでしょ。
少し前のnoteに書いた「なんで雲は西から東へ流れるの?」も同じだ。「コリオリの力」を子どもにわかりやすく説明するには、どうやればいいのか。
「むずかしいことをやさしく」は、たいへんむずかしい。