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中国4千年の「伝統」

世界平均気温が17.15℃で観測史上最高を記録した(7/22/2024)。北半球も南半球もすべて、緯度経度を5度きざみにして平均した温度だ。17.15℃といわれてもピンとこないが、毎年上昇しているのは確かだという。それにしても暑い日が続く毎日、氷や冷たい飲み物が手放せない。

はじめて中国・上海の虹橋空港に降り立ったのは1995年ころだったと思う。鄧小平が改革開放を打ち出し、市場経済が始まって15年。中国から安価なモノが日本に入りだしたころだ。現地を見てみようと顧客とツアーを組んで出かけた。暑い季節だった。「水は飲むな、氷もダメ」とJTBの添乗員が言う。レストランで出てくるのは、きまって熱いお茶。街行く人を見れば、インスタントコーヒーの空き瓶にお湯とお茶っ葉を浮かせたのを皆持っている。500mlのペットボトルがないころだった。これは、パス。

ビールは大丈夫だろうと頼めば常温で冷えてない。しかもアルコールが3%程度と薄く、飲んでも、スキッとしない。聞けば、冷蔵庫がまだ普及していないらしい。常温でも白酒はきつくて飲めたものじゃない。口直しにホテルでウイスキーでもとなったが、そうか、水割りもダメ、オンザロックもだめで、仕方なくお湯割り。冷たいものが恋しいはじめての上海だった。

身体を冷やすことを好まないのが中国の伝統だという。健康のためには正しいことだとは思うけれど、それだけじゃなく衛生上のことがあったのではと思う。その後何度も大陸を訪れた。わたしが見た範囲では、その伝統は守られているというのは間違いなかった。

以前取引のあった中国の友人が来日し、久しぶりに会いたいと連絡があった。夕方ホテルで待ち合わせて近くの洋風レストランに行った。適当な中国料理店がなかったからと言い訳しながら、よく冷えたシャンパンを彼は乾杯に選んだ。そのあとは冷えた吟醸酒だ。常温の白酒か赤ワイン以外は飲まず、すこし口をつけるだけのビールも常温だったはず。それが今、冷酒グラスを持っている。

上海のコンビニには、冷凍ケースにカップ入りの氷が並んでいるという。ブドウなどの果汁を凍らせたカップ氷も若い人に大人気らしい。中国4千年の「伝統」はどうなったのだろうか。

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