RISKY 第1話:因果応報系ラブ・サスペンスの濃厚すぎる始まり
この度、電子コミック配信サービス月間利用者数2800万人の「めちゃコミック」でランキング1位を獲得した、CMでも話題の人気漫画『RISKY~復讐は罪の味~』が実写ドラマ化し、3月25日からドラマ特区枠にて放送することが決定。
本作は「めちゃコミック」のオリジナル作品で、累計ダウンロード数は1700万超えの超人気作。
幼い頃に両親を失い、姉に育てられたヒロインが、姉の人生を狂わせた“女”に復讐を仕掛けていく、スリリングで急展開な痛快ラブ・サスペンスです。(ドラマ公式サイトより)
第1話を単なる登場人物紹介に終わらせない、初回から濃密な30分だ。
結婚を控える美香(山下リオ)とその婚約者・亨(古川雄輝)、それぞれと偶然のアクシデントによって接点を持つひなた(萩原みのり)。
しかし、それはひなたと彼女に協力する何者かによって巧妙に仕掛けられた罠で…。
「ゾクキュン」ラブ・サスペンスを謳うこのドラマ、何気ないセリフも後から考えるとゾクゾクするような意味付けがある。
例えば冒頭、美香とひなたのシーン。
ひなたが振った彼氏との修羅場に巻き込まれ、とばっちりで水を被ってしまった美香。他の彼女がいる人を好きになってしまった、と言うひなたを美香は煽る。
「しょうがないじゃない、他の人を好きになっちゃったんだから。盗られる方が悪いんだって。実は私も今の彼氏、彼女いたんだけど盗っちゃった。盗っちゃえ、盗っちゃえ」
一方、亨は自分の過失で手に怪我をさせてしまった(と思っている)ひなたと連絡を取り合っていて、彼女に惹かれている様子。
ひなたとの食事を終えた亨が帰宅すると待ち構えていたのは美香で、ここで美香の婚約者は亨だということが分かる。
仕事と嘘をついて誰かと食事をしてきたことを知り、しつこいほどに浮気を疑う美香。
「元々あたしとだって…」
「その話、これからもするつもりか」
そう、美香は亨を別の彼女から奪い、これから自分の勧めによってひなたは亨を盗ろうとしているのだ。
亨が会社でミスをした後輩にかける言葉もまた、意味深だ。
「誰にだって失敗や過ちはある。大切なのは、どうやって挽回するかだろ」
作り過ぎてしまったから、とクッキーを渡すために亨を呼び出すひなた。
その姿にかつての恋人の姿を重ねる亨(それはひなたの策略なのだが)。
その「大切な人」手放して、今美香といるのは亨にとって挽回できない過ちなのではないか。
そしてひなたと、さらなる過ちを重ねてしまいそうな…。
どうしようもない男ではあるのだけれど「誰かの真似なんてしなくていいよ。ひなたさんは、ひなたさんのままで十分魅力的だから」とひなたを素直に褒める言葉に、亨の本質が表れている気がする。
おそらく亨は、それぞれに光を見つけてしまう人なのだ。
前の彼女には彼女の、美香には美香の、ひなたにはひなたの光を。
だからダメな奴、というよりはむしろいい人という印象が残る。
けれど、光の裏には影がある。
美香に乗り換えた時には美香の良い面を見ている。でも美香に嫌気が差していている今、今度はひなたに癒しを求めて、美香とは離れようとしていて…。
そうやって亨がないがしろにして来た影は、いつの間にか積み重なって、増幅していつか闇を作る。
それが一度足を取られたら、もう逃れられないほど深く黒いものになっていることに、まだ亨は気付いていない。
美香の周りでは不可解な出来事が起こり始める。
SNSに胎児のアイコンの不気味なアカウントから届くのは、美香の行動をすべて把握しているかのようなメッセージ。
会社にかかってきた「広瀬かなた」を名乗る電話で、美香はその犯人が亨の前の彼女だと考えるのだが、亨はそれを否定する。
「そんなわけないだろ!彼女がそんなことできるわけないだろ。彼女は…彼女はもう…」
その後帰宅した美香の家には胎児の写真がバラまかれ、窓には手形がベタベタと付いていて、恐怖から思わず家を飛び出す美香。
彼女に声をかけたのは、会社で何かと美香を気にかけてきたバイトの男子(宮近海斗)だった。
彼は美香を助けると言うが…。
ひなたはクッキーを渡して別れた亨を追いかけて、その手を取る。
「私、分かるから。大切な人を失った痛み。それに…好きな人が苦しんでるのを見るのは辛いです」
ひなたを抱き寄せる亨。
「ごめん、なんでだろう、君といると落ち着くんだ。駄目だとわかってても…どうしても」
キスを交わすひなたと亨、美香と謎のバイト男子。交錯する4人の関係。
私たちは、既に何かが始まってしまったことを予感し、ゾクゾクさせられる。
しかし本当に背筋が冷たくなるのはここからだ。
ひなたは家で亨とキスした口をまるで汚い物のようにすすぐ。健気に亨に想いを寄せているように見えたのは噓だったのか。
それから誰かからの電話の着信に答え、その会話から美香と亨に近付いたのは復讐のためだったということが明かされる。
ひなたの姉・かなたはかつて亨と結婚を約束していたが、亨は美香と同時に関係を持っていた。美香はかなたを故意に階段から突き落とし、その事故によって、かなたはお腹に宿していた子供を失う。
「許さない…こいつらだけは絶対に許さないよ」
亨の前で見せていた、守ってあげたくなるような雰囲気から一変して、深い恨みを感じさせる表情。
気にかかるのは、かなたの現在だ。
ひなたは亨に、かなたのことを指すと思われる「大切な人」の存在をこう語った。
「もう一度会いたいけど、今の私じゃ会えないんです。私にはやらなくちゃいけないことがあるから」
そして亨に問いかける。
「亨さんもその大切な人にもう一度会いたいですか?」
果たしてかなたは今、どこにいるのか。
復讐が終われば、ひなたはかなたに会いに行けるのだろうか。
復讐の先に光はあるのか。
2話を待つ私たちの目前に広がるのは、果てしない闇だけだ。