RISKY 第3話:美香が縋り付く幸せ
来ました、美香(山下リオ)の主役回。
突然バイトを辞めた光汰(宮近海斗)。
同僚に光汰との関係性を疑われながら、美香は言い放つ。
「あんな子に手を出すほど男に困ってない。だって私、婚約者がいるのよ?」
しかし勝ち誇ったように宣言した後、一人になった彼女はこう呟く。
「絶対幸せになってやるんだから」
美香の言う「幸せ」とは何か。
亨(古川雄輝)は商社勤務で将来有望、見た目もすこぶる良い(推しへの欲目加点はご容赦いただきたい)。
しかし、彼の心が今や自分に向いていないことは明らかだ。
経済力やルックス。もし結婚相手にそういったステータスのみを求めるのであれば、さっさと亨に見切りをつけて他に行けばいい。
彼女にはそれができるほどの美貌が備わっているのだから。
そもそもエリートと結婚することだけが狙いだったなら、自らの手を汚してまでかなた(深川麻衣)を陥れる必要はなかったのだ。
それでも美香は亨に縋り付く。
亨に望まれていないにも関わらず部長のホームパーティに参加し、婚約者としての存在を必死にアピールする彼女の姿は、亨の心境を知る視聴者にとって痛々しく映る。
かつて自分はかなたから亨を奪い、今度はひなたから亨を奪われそうな自分。
一度自分が奪うことに成功してしまったからこその不安が、そこにある。
失うことへの異様なまでの恐怖心。
部長の家で彼女が錯乱してしまうのは、一度は手に入れた幸せが奪われることへの恐れか、永遠に自分に向けられる愛などないという絶望によるものか。
美香がただ、したたかなだけの女ならよかった。
しかし、美香が誰かに一途に愛されること、未来永劫続く幸せを切望していることが感じられて、胸が締め付けられる思いがする。
美香は全然強くなんかないのに、もう亨は守ってくれない。
それどころか、約束された将来を失った亨は癒しを求めてひなたの元へ向かう。
眠る亨の髪を撫でるひなた。2人のシーンに流れる「品行崩壊」は、誰も幸せにできない亨をさらに深い闇へと誘うプレリュードだ。
「次はあんたの番よ…桜井亨」