RISKY 第7話(1):復讐劇の終わりに
「誰かが悪人だと思わないと心が死んでしまう。全部誰かのせいにして、あいつさえいなければと思わなくちゃ、生きていけない。だから」
耐え難い悲しみや苦痛を受け入れられない時、人は誰かのせいにして救われようとする。
かなた(深川麻衣)にしても、ひなた(萩原みのり)にしても、美香(山下リオ)にしてもそう。
でも誰かを傷付けることは大きな負のエネルギーを必要とする。そうやって抱え込んだ闇は、結局自分自身を蝕んで、いつか壊してしまう。
ただ幸せになりたかっただけで、誰も復讐なんてしたくはなかったのに。
最終話では復讐で心を失った3人が、自分が誰かを愛していたこと、そして愛されていたことに気付いて、前に進んで行く。
かなたが、ひなたが生まれてくることをどれほど心待ちにしていたか。
みんなを笑顔にするように、と自分で付けた「ひなた」という名前に、どれほど愛情を注いだか。
(私この名前大好き。ひなたって呼ばれる度にお姉ちゃんに大事に思われてるんだなって嬉しくなる)
ひなたの中には、かなたから受け取った愛が確かにある。だからかなたに酷い言葉をぶつけられても、こう言えるのだ。
「お姉ちゃん…私、お姉ちゃんが生きてくれてるだけで、ほんっとに嬉しかった」
かなたがひなたに黒い感情をぶつけてしまうのは、ひなたが無条件に自分を愛してくれていると知っているからこその甘えなのだ、と思う。
退院した美香は、一人帰ったマンションのドアに紙袋を見つける。
「美香が好きだと言ってくれた筑前煮です。ママ」
あたしはママみたいにはならない。そうして反発して遠ざけて来た母親。
それでも自分が好きだと言った物を覚えてくれている母の煮物の味は、傷付いた美香を優しく包み込む。
数年後、双子が遊ぶのを優しく見守るひなたと光汰(宮近海斗)。
子供たちの頭には、かなたがひそかに渡した花冠が飾られている。
ひなたへのもつれた感情を簡単に解くことはできなくても、消せない愛は確かに存在して…
復讐劇が行き着いたのは、いつか2人がまた会える未来を予感させる、温かなラストだ。