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SaaS企業必読! 「伸びるサブスクビジネス領域、伸ばすエンジニアリング組織」イベントレポート

サブスクリプション型サービスにおいて、優秀なエンジニアリング組織は必要不可欠です。SaaSの開発にはスピードが求められます。仮説を立てて開発し、市場に問い続けながらブラッシュアップを繰り返すためにも、ビジネスの視点を持ち、自走できるエンジニアが求められる時代となりました。

しかし「よく動く」エンジニアリング組織の構築は容易ではありません。実際、採用や人間関係、職場環境がボトルネックとなり、課題を持つ企業も多いでしょう。

150名ものエンジニアが在籍し、まるでコミュニティのような自由度を保ちながら高クオリティの開発環境を提供し続けているK.S.ロジャース株式会社が、「伸びるサブスクビジネス領域、伸ばすエンジニアリング組織」というテーマでイベントを行いました。

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ゲストスピーカー
PPBインターナショナル株式会社
代表取締役 Seungho Bae(David)氏

日本のVCに4年間勤務したのち、起業。ファイナンスと市場調査を中心に、海外ベンチャーの日本進出と日本ベンチャーの海外進出を支援している。シリーズB以降のスタートアップや、サブスクリプションサービスを開発するベンチャー企業への経営支援経験が豊富。

Davidさん

スピーカー
K.S.ロジャース株式会社
代表取締役 民輪一博

エンジニア出身の起業家。コロナ以前からリモートワーク・フルフレックスのK.S.ロジャース株式会社を立ち上げ、副業・業務委託・正社員と多様なワークスタイルのエンジニアを組織化してきた。

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まずはイントロダクションとスピーカーの自己紹介が行われ、いよいよ本題へ入っていきます。イベントの前半はDavid氏より、サブスクリプション市場調査や、資金調達から見たマクロ市場動向についてお話しいただきました。

David氏による「伸びるサブスクビジネス領域」

ーどうぞよろしくお願いいたします。

海外のベンチャー情報が溜まってきたため、データベースにまとめている最中です。本日はサブスクリプションサービスを中心に、国内外の資金調達の動向についてお話します。

本日お見せするデータは、国内150社・国外1228社のコンシューマー領域サブスクリプションベンチャー企業を調査したものです。

結論ですが、国内外問わず、資金調達額は伸びています!ただし比較すると、海外が先行している面は否めません。

具体的には、海外の方が4年ほど早く資金調達できています。ラウンド別の平均調達金額も海外が高い傾向にありますね。しかし海外より総金額は少ないとはいえ、日本でも2014年〜19年の資金調達額は、10倍に増えています。

ーどのような領域のベンチャー企業にお金が集まっているのでしょうか?

海外では、3・4年前まではフードやファッションなど衣食住に関する企業の資金調達が目立っていました。最近ではモビリティ、動画、フィットネスの分野が伸びています。

特筆は、Solutions領域(サブスクを始めるためのサービス)の伸びです。これはまだ日本には見られない傾向です。今後は衣食住に関係のない領域や、趣味分野などが伸びていく予感がしています。

ー日本ではいかがでしょう。

調達額でいえばダントツに高い2社があります。両方ともにロボット系です。この例を除くと、日本はまだ衣食住の分野が強いですね。

現在はファッション、フード、パーソナルケアが目立っています。数年前の海外市場と同じような状況です。今後、日本国内でも付加価値の高い体験サービスなどが出てくるかは、注目に値します。

ーその他、注目すべき点はありますか?

新しいビジネスモデルも、海外発が多いですね。結果、肌感覚ですが、海外の方がバリュエーションが上がってきていると感じています。

海外といっても、やはり欧米が中心です。サブスク文化は文化が成熟している、ネット環境の整った地域でスケールさせる必要がありますから、先進国に分布が集中するのは仕方ないことでしょう。

ただしラウンド別に見ていくと、日本は海外に比べてアーリーステージで投資を獲得しているというデータがあります。興味深いですね。

ーありがとうございます。民輪より、一点ご質問をさせていただきます

民輪
海外の方がバリュエーションも調達額も大きいとのことですが、要因はなんでしょうか。

David氏
海外の方が激しい競争環境にあるからではないでしょうか。投資家も、早い成果を求めます。そのため初期からのバリュエーションを高くして、大型調達をする…というスタイルが生まれてきています。

日本では、まず「ビジネスモデルの検証はできていますか?」と問われてしまいますよね。この慎重さが、海外より遅れを取る理由のひとつとなっている気がします。

民輪
しかし、海外のスタイルでは失敗のダメージも相当大きいですよね。

David氏
競争率の高さから、失敗も当たり前と捉えられていますね。そもそもベンチャー企業は日本よりハイリスクハイリターンです。

民輪
なるほど、ありがとうございました。

民輪による「伸ばすエンジニアリング組織」

ー後半は、民輪によるスタートアップのエンジニアリング組織のつくり方です。よろしくお願いいたします。

私の方からは、事業拡大時のエンジニアリング組織づくりで大切なことや、エンジニア採用のノウハウをお話いたします。

まず最初に、K.S.ロジャース株式会社は「新しい社会インフラをつくる」をビジョンに掲げる会社です。

弊社自身が「自由な働き方」を世の中に広めていくことで、雇用の流動性と、組織帰属文化の多様化が生まれると思っています。

ー雇用の流動性とは?

私は関西在住ですが、エンジニアの採用には苦労してきました。

現状、エンジニアやスタートアップは東京に集中していますが、チャンスが東京にしかないのはもったいないですよね。東京の人が地方の会社で仕事してもいいし、首都圏でなくても快適に働ける環境、場所を問わず新規事業を生み出せる環境を提供したいと考えています。

そしてそれが社会インフラになれば、東京だけではなく地方から事業創造ができるようになります。

ーその環境ではリモートワークが前提になりますね。地域問わずエンジニアを採用できるので、企業としても好都合かと思いますが…

そう簡単にはいきません。

まずエンジニアは、2030年には79万人の不足が見込まれています。IT人材の需要と供給に大きなギャップが生まれつつあるのです。実際はもっと不足するでしょう。

実際、海外のスタートアップが日本人エンジニアの採用を強化する流れがあるとも聞いています。日本の優秀なエンジニアがどんどん海外に流出する可能性もあるのです。

ー国内採用は大きな課題ですね。

エンジニアの働くモチベーションには、3つの要素があると考えています。
・労働環境
・成長環境
・金銭や経済面
です。

これまでは経済面にフォーカスが当たっていました。しかしこれからは、労働環境が重視されるのではないでしょうか。

あわせて成長環境も大切です。採用側が積極的に「うちの会社はこんなマインドで、こんな仕組みを用意していますよ」と謳っていかなければ、採用競争に負けてしまいます。そもそも、成長の仕組みがない場合は、採用にもっと苦労する時代になりそうです。

ーどうすればよいでしょう。

エンジニア採用の前提条件を変えることです。

まずはリモートワークを仕組化し、エンゲージメントを維持できる仕掛けをつくります。リモートワークの心理的距離感を埋めるため、横のつながりやウェットな人間関係の構築も必要になってくると考えています。

K.S.ロジャースでも、社内ラジオなどの取り組みが始まっています。「チームに所属するメリット」を増やそうと思っての取り組みです。

ー採用に失敗しないためのポイントはありますか?

・自社の技術に候補者のスキルがマッチしているか?
・自社の文化やカルチャーに候補者がマッチしているか?
という2点を両立させて判断することですね。スキルだけ見てもダメですし、慌てて組織拡大するとカルチャーに合わない人が入ってきてしまいます。

フィルタリングの回数を増やすことはおすすめです。弊社でも3次面接まで行い、見極めに時間をかけています。コストはかかりますが、必要だと思っています。


ーせっかく採用しても、組織が崩壊しては困りますよね。なぜ崩壊が起きるのでしょうか。

シリーズA以降のベンチャー企業で起きる組織崩壊では、場当たり的な採用と仕組み作りの遅れが大きな要因となっているようです。

起業家が事業にしか目が向いておらず、組織の重要性をおろそかにしているケースが見受けられます。シリーズAまで来てしまうと、起業家の中の固定概念を崩すことができないという課題もありそうです。

ー会社として気を付けるべき点は何でしょう。

まず会社の目指すべき方向性を定義することですね。それから「このプロダクトをつくることが、会社のどのような未来に繋がるのか」を伝えます。優秀なエンジニアはそこを理解している人が多いと感じています。

「とりあえずやっておいてよ」とパスするだけでは、理解は生まれません。エンジニアサイドにも、知りたいと思っている人は多くいますよ。

ビジネスサイドとエンジニアの連携はとても重要です。特にSaaS領域では、ビジネスサイドの使う日本語と、エンジニアの使う日本語は似て非なるものですから、その間をブリッジできる存在は貴重でしょう。

まとめ:これからは、三権分立的なエンジニア組織が活きる!

ー最後は、民輪より総括として「三権分立的な組織」について語られました。

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民輪
弊社では、オンボーディングの仕組み化を行い、ワークスタイルの明文化を目指しています。共通認識を持ってもらうことが重要と考えているからです。「CTO人材の輩出」もミッションのひとつですから、育成にも力を入れています。

K.S.ロジャース株式会社の特徴をまとめると、以下の3点になるでしょう。
・きわめて自由度の高い働き方
・権限委譲
・独自の育成メソッド

オンライン上のコワーキングスペースのようなあり方を模索しつつ、柔軟性の高い組織を実現していきたいですね。そのようなエンジニアリング組織は、今後急成長するであろう日本のサブスクリプション領域において、必ず高い価値提供ができると信じています。

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