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20240828STEP備忘録

2024年8月のSTEP、ざっくりとした記録まとめです。
出典や裏付けは割愛、よくわからない部分などは直接きいてください。


守破離

型をマスターする段階。誰かの物真似。
言われたことはできる状態。

マスターした型にオリジナリティを加える。独自の型。
守の環境では起こりにくく、環境を変えることでこのフェーズに辿り着く。

我流の完成。後進を育てる段階。

型を修めずに”破”へ進むことは「型破り」ではあるが、大抵の場合は「型無し」で行き詰まることが多い。


認知スキル-非認知スキル

認知的スキル

知識や技術など、試験などで測ることができる能力。

非認知スキル

課題解決能力やコミュニケーション能力など、定義も含めて現状では比べる術の定まらないもの。いわゆる人間性、人間力。

社会情動的スキル→非認知スキル

「これからの時代は、非認知スキルが重要」と教育界では声高に語られているが、つまるところは認知スキルと非認知スキルのバランスを取ることが重要。
いくら人間力が高くとも必要な知識がなければ役に立たない。逆も然り。


垂直的成長-水平的成長

水平的成長≒認知的スキル
垂直的成長≒非認知スキル
人間性の向上にはある程度の知識やスキルが求められる


アクティビティ

ストレッチ

活動の冒頭でストレッチを入れる(自称)ファシリテーターは少ない。心身はつながっているので、身体をほぐすことは心をほぐすことにもつながる。準備運動の重要性を捉え直すこと。

フープ同じ色掴むやつ

「せーの」でフープを掴んで、色が同じ部分を持っている人数が同数になるか。

アイスブレイク・ヘリウムフープ

一般的にコミュニケーションを目的で使われるヘリウムフープをアイスブレイクとして行う。単にフープが「浮き上がる」ことを楽しむのみ。

アクティビティそのものに目的があるのではなく、ファシリテーターが目的に沿ってアクティビティを活用する。当たり前のことなのだが、ビギナーはついアクティビティ優位になってしまいがち。

関西or関東(文化差)

自己紹介やチェックインなどの場面で、一般的には真面目かつ真剣な雰囲気が好まれている。しかしながら関西では笑いを交える空気のほうが馴染む場合もある。また、「一人ひとりの発言を邪魔しない」ことよりも「発言を拾って掛け合いを楽しむ」ほうが発言を促し、結果として個人を尊重しているともいえる文化がある。関西に外から来る人々は会話のテンポと求められる「オチ」についていけないというケースが多い。
国内であっても存在する文化差、方言なども含めて理解をすすめたいところ。

フープリレー

サークルになって手をつなぎ、フープを一周させる。
様々なパターンで実施。
・ルールなし
・つかまない
・地面つけない
・ブラインド
・サイレント
・フープ2本それぞれ逆回し
・サークルが複数(ギアボックス)

ルールが追加されるほど難度が上がり、アクティビティを活用できる範囲に変化が生まれる。ヘリウムフープでアクティビティそのものに目的はないと伝えたが、目的の範囲は存在する。

振り返りの第一声(ELC or PDCA)

アクティビティ終わりの第一声、どのように問いかけるか。
「どうでしたか?」は多様性を引き出す結果となるので悪手でもあるが、アンカリング(意識の方向づけ)ができている場合は良手。

アクティビティそのものに目を向けさせる(なぜうまくいった?失敗した?etc)とPDCA(認知スキルの向上)を進むこととなる。

ELC(体験学習サイクル:非認知スキル)を進めるのであれば、各個人の内面(思考や感情)の共有を促す。

価値観(受け取り方や考え方)の多様さに気づくことがグループワークの醍醐味でもあり、個人が受け取った他者の価値観はそのまま垂直的成長への糧となる。

振り返りの段階

参加者の発達段階(レベル)に合わせた振り返りの進め方を考える。
レベル0「楽しかったですか?」(感想)
レベル1「(あなたは)よくできましたか?」(役割を果たす)
レベル2「(チームとして)よい結果でしたか?」(成果を出す)
レベル3「全員で仲良くできましたか?」(関係性)
レベル4「一人ひとりを受け入れていましたか?」(多様性)
レベル5「お互いの強みを活かせていましたか?」(対立を乗り越える)
レベル6「この活動のあなたの人生における意味は?」(自己超越)
レベル7「あなたとはどのような存在ですか?」(統合)

発達段階を観察して、メンバーが考えて答えられるテーマを振る。レベルが上がるほど、抽象的かつ本質的な内容となる。最初は低いレベルから入ると無難。無理に高いレベルの問いかけを行うことはあまり意味をなさない。ファシリテーター自身が答えられない問いを扱うことはできない。


心はどこにある?

胸:心臓の心拍、ドキドキ
頭:思考の中で生まれる
人と人の間:対象があってはじめて心が生まれる

心理学における至上命題のひとつ。
胸や頭で考えるのが心理学、人と人の間で考えるのが社会学。

MBTI

ユングのタイプ論をベースに。随分と流行っている。
あくまでも性格の傾向(クセ)であり、自分や相手を理解するツールとして活用すること。
文字列よりも数値の高さ、対峙する相手より数値が高いかどうかで対応も変化する。

E:外向:他者と対話しようとする
I:内向:自身と対話しようとする

S:直感:今ここを感じ取る:アイデアが湧く
N:直観:先をイメージする:アイデアが降りてくる

F:感情:感情優位の発信:感情的
T:思考:合理性優位の発信:理屈っぽい

J:判断:規則や伝統を守る:きっちりしている
P:知覚:状況に合わせる:臨機応変

すべてのタイプを扱えるようになることが目標。


体験学習サイクル

体験は、振り返り・内省を通して、様々な場面で活用できる知識、経験となる。新しい体験を迎え入れる準備(構え)は、過去の経験から編み出される。

邦訳された理論には表記揺れがあるため、歴史含めて原典を紐解いた方がよい
サイクルは一部であり、学習モデルの構築が成されている
体験教育の界隈ではなぜかあまり語られない
さらにタイプ分けも
さらに進んだ理論も発表されているが、残念ながらあまり知られていない

体験学習モデルにおける学習タイプの分け方と、ユングのタイプ論(MBTIでも適応可)に親和性を感じたため、下図のように組み合わせ試行。
自身の性格の傾向は、体験学習サイクルにおける得意分野を生み出しており、対極は苦手な分野でサイクルを回せなくなる(スランプ)状況に陥りやすくなる。性格タイプの理解と苦手タイプへの挑戦が求められる。

PDCAサイクル

振り返りにおいて出来事そのものを捉えた場合、PDCAサイクルとなり、知識やスキルの強化を促す。課題解決に対する答え探しなど、放っておくと大概はこちらのサイクルを進んでしまう。
出来事に対する内面の変化を捉えると、体験学習サイクルを進む。非認知スキルを目的とする場合、ファシリテーターは非認知スキルに目を向けさせるための誘導を行う必要がある。

人は誰しも出来事に対して自然と振り返りを行っているが、体験学習という枠の中で教育的に行う場合は、それぞれのサイクルに焦点をわざと当てることで効果を上げている。どのように焦点を当てさせるかが、教育者の腕でもある。

良い体験とは?

Cゾーン

コンフォートゾーン:ストレスのない状態。慣れており、当たり前の環境。
ストレッチ・ラーニングゾーン:耐えられるストレス。チャレンジ環境。
パニックゾーン:耐えられないストレス。危機的状況。

出来事はすべて体験となり得るが、当人にとってそれがどの程度のものであるのかによって異なる反応を生む。効果的な体験活動を行う上では、それらの反応を捉えることが基礎となる。

成長とは

人は過去の経験や知識(概念化されているもの)から次の出来事(体験)に対する構えとして、その環境に合わせた自己(ペルソナ)を本来の自己(セルフ)から分離(解離)する。
体験を経たペルソナは、振り返りを通して本来の自己へと統合される。統合された体験は、本来の自己(コンフォートゾーン)を拡大させる。
連動してストレッチ(ラーニング)ゾーンも拡大、見えていなかった世界が見えるようになり、出来なかったことが出来るようになる。

内省の質を高めることで、体験を解釈する幅が広げる


ZPD

個人ではパニックゾーンの課題であったとしても、他に誰かがいれば解決できる範囲がある。最も効果的に成長を促す活動は、個人にとってパニックゾーンの領域にグループで挑戦するものとなる。

ZPD:発達の最近接領域
課題の難易度と能力・発達レベルのバランスを取ること


トラウマ治療と体験学習

出来事の中で構えの領域を超えたパニックゾーンに位置する体験があった場合、そのペルソナは本来の自己にトラウマ(統合できず断片化した体験)とコンプレックス(統合できずに取り残された思考と感情)という傷を残していく。コンフォートゾーンとともにパニックゾーンは縮小し、出来ていたことも出来なくなる。

トラウマ治療のプロセスは下記の流れとなる。
①安心と安全の確立
②感情や思考の受容
③出来事の物語記憶化
④日常生活の回復

これは体験学習の振り返りプロセスと同様。
①心理的安全性の確保(心的エネルギーの充足)
②振り返りの共有(他者の体験を受け入れ、出来事を多様に捉える)
③内省(振り返り内容の結合と分化を繰り返し抽象化する)
④概念化(心的レベルに応じてその学習内容は異なる)

ストレスを受け入れることの出来る範囲(耐性の窓)は、トラウマによって狭まる。逆にポジティブな体験記憶は耐性の窓を広げる。
成長には適度なストレスが必要であることがわかる。

ストレスがなければ楽しみもない。



体験のレベル

体験学習サイクルは全年齢が回すことが出来るものではなく、発達に応じてサイクルも発展する。
乳児期には体験と試行の繰り返しによって学び、幼児期の言語獲得とともに振り返りが可能となる。内省については他者認識とともに学童期に発達、青年期には「実体験なき学習」が可能となり、サイクルが完成していく。

発達(体験を重ねる)とともに、サイクルの働きも拡大する。
同じ出来事であっても、学習内容はより深いものとなる。

体験学習サイクルの回る広さ(学習の深さ:レベル)は、Cゾーンで図示することができる。

体験において、最も人が意識するポイントは、ストレッチゾーンに位置するレベルの内容となる。
発達が進むほどコンフォートゾーンは拡張するが、その中心部は無意識下(当たり前)となり、逆に意識することが難しくなる。
成長が感じられない(スランプ:体験学習サイクルがうまく回らない)場合は、コンフォートゾーン外縁部のレベルに立ち戻ることで解決できる。


学習の仕組み

連想ゲーム

紙に単語を書き、思いつく単語を連ねていく。
脳の動きは連想ゲームと同じような仕組みを持っている。
すぐに思いつくものはよく使われる回路で強い結びつきをもち、どのような単語であっても繋げることができる。また、使わない回路は忘れてしまう。

神経系における学び

脳は可塑性があり、その神経系の維持にはグリア細胞が関わっている。
情報処理と情報伝達を行うニューロンが脳の10%を占めるが、残り90%はグリア細胞といわれている。

洗練:ミクログリア:シナプス剪定(効率化)
習熟:オリゴデンドロサイト:ミエリン化(無意識化)
拡張:アストロサイト:シナプス伝達と脳血流の制御(ネットワーク構築)

ニューロンが電気系の動きをみせるが、グリア細胞は磁気的なふるまいに近い動きが垣間見える。脳の機能と働きは電磁力がヒントになるのはないか。

体験学習サイクルで考えると、体験によって必要な神経系が活性化、振り返りでネットワーク構築を行い、内省によってシナプス剪定が進むといえる。また、ミエリン化はPDCAサイクルのほうが適している。

PDCA:認知プロセス:記録可能:電気的な動き
ELC:非認知プロセス:記録不可:磁気的な動き
ELCはPDCAに影響するが、PDCAはELCに影響しない

交感神経と副交感神経

体験においては神経の活性化(アクティベーション)が行われ、対極の抽象化では鎮静化(リラクゼーション)が求められる。
振り返りではリラックス環境、試行では準備運動的な環境が適している。

交感神経系の切り替えは呼吸法など外部からの働きかけで促すことができる。このような知識があれば、より円滑な活動の展開が期待できる。

脳波と至高体験

人生を変えるような体験を至高体験というが、それにつながる意識の状態をゾーン(フロー)という。リラックス(アルファ波)と集中(ベータ波)のバランスが取れた中間地点がゾーン(SMR波)となる。コンフォートゾーンが低覚醒、パニックゾーンが高覚醒であることから、ゾーンはストレッチゾーンでなければ発現しないことがわかる。

脳波は年齢による変化があり、小児では徐波が多く、18歳前後で成人脳波になり、老人ではα波の徐波化がみられる。これはサイクルの発達とも一致しており、体験学習サイクルは脳の発達が進まなければ完成しないという裏付けにもなる。

発達段階

仮に野外炊事でカレーを作るとしても、発達年齢に応じてやり方が変わる。
現に、対象の様々なレベルに合わせて活動を設定している。

レベル0:乳児

フォーミング
指導0:0支援
体験前
ELC:体験

レベル1:幼児

フォーミング
指導10:0支援
「〇〇が楽しかった」
ELC:探求&焦点合わせ

レベル2:小学生

ストーミング
指導7:3支援
「〇〇が楽しかった、なぜなら~」
ELC:伝達&根拠づけ

レベル3:中高生

ノーミング
指導5:5支援
「〇〇が良かった、なぜなら~ 〇〇はこうだった、なぜなら~」
ELC:収録&構造化

レベル4:大学生

パフォーミング
指導3:7支援
「〇〇についてこのように考えることができる」
ELC:検証&研究

レベル5:社会人

指導0:10支援
「〇〇を別分野と連携する」
指導できる

レベル6:専門職

自己学習
「〇〇の新たな価値を想像する」
適切な支援ができる

レベル7:職人

指導と支援のバランスを取れる
「〇〇=人生」

レベル4以降はどこまで成長できるかにかかる

発達に合わせた関わり方

SL理論を組み合わせると、発達に合わせた関わり方がみえてくる。

アクティビティもレベルに合わせて展開することとなる。

体験学習サイクルの広さと組み合わせて
振り返りの内容でもレベルをはかることができる

指導者/支援者は自身のレベルのひとつ下の対象までしか扱うことが出来ない。

ドレイファスモデル

活動展開においては、年齢よりも経験のほうがレベル設定に適している。

レベル1:<初心者>とりあえず楽しむ、ルールを学ぶ
レベル2:(初級者)レシピが必要
レベル3:<中級者>全体像を見たがらない
レベル4:<上級者>問題解決できる
レベル5:<熟練者>自己補正が可能
レベル6:<達人>直感で働く:ルールは達人を破滅させる
レベル7:(名人)道を拓く

まとめ

・解剖学的な視点での体験と学習を考える:環境で神経のバランスを整える
・レベルに適した活動を展開する

サイクルは2次元的なものであるため、実践には3次元の立体モデルが必要となる。その高さ(深さ)の指標に発達段階を用いることで、より効果的なアプローチが可能となる。立体モデルで考えると、レベルに応じて回り方が異なることがわかる。つまり、回し方も変えなければならないということでもある。