【大阪万博1970】進歩史観を疑っていた岡本太郎の先見性【大阪万博2025】
2024年の秋、大阪万博2025のポスターが発表されたが、このポスターを見て「ダサすぎる」「昭和っぽい」などと落胆する声が多数あがっている。
Xユーザーのえみぃちゃんさん: 「大阪万博のポスターwwww ダサすぎて泣きそうwwwww https://t.co/VxUP3vgOmI」 / X
「まるで地元の縁日の告知」大阪万博のポスターデザインが“ヤバすぎる”と波紋「なんでたこ焼き食ってるの?」 | 女性自身 (jisin.jp)
これらの落胆の声に対して、一つのポスト(ツイート)が話題になっている。
この大阪万博2025のポスターを見て、ブロッコリーを連想した者もいた。
https://x.com/Ponta052439/status/1842939479759417687 (魚拓)
1970年のポスターを担当したのは、レジェンド亀倉雄策氏である。エックス(Twitter)では亀倉氏の才能を評するコメントが見られた。
もちろん、亀倉氏以外にも才能のあるデザイナーは居て、その具体例も挙がっていた。
これらのポスターの実物は万博記念公園内のEXPO'70パビリオンで鑑賞することが出来る。
大阪万博2025ポスターにはシンプルなデザインのものもあるのだが、亀倉氏のデザインよりも優れているとは言い難い。
大阪万博1970の二年後のポスター(札幌五輪招致ポスター)もエックスにあったが、これも素晴らしいデザインなように感じられる。
これらの比較から浮き彫りになる事実がある。それは「2020年前後のデザインが1970年前後のデザインよりも優れているとは限らない」ということである。
大阪万博1970のテーマ・プロデューサーを務めた岡本太郎は、生前「人類は進歩なんかしていない。縄文土器の凄さを見ろ」と述べている。
縄文土器の中には現代人をも唸らせるようなクオリティーの土器がある。
いつの時代にも優れた作品や優れたデザインは存在しており、数十年前や数百年前など昔に生み出されたデザインであることは、そのデザインが陳腐だったり時代遅れだったりすることを必ずしも意味しない。
筆者も2023年に公開された映画『福田村事件』のポスターを見て、ユニークで卓越しているデザインだと感じたし、今もそう感じている。
なお、筆者は「昔はよかった」と考えているのではない。たとえば現在、知られている万博1970のロゴにしても当初は別のデザインであった。
だが、当初の万博ロゴは万博協会会長の石坂泰三の猛反対によって変更となった。
石坂は「抽象的でなにを表しているのかまったくわからない。子どもや年寄りにもわかるようなものでなければ」「質屋のマークみたいなのはダメだ!こんな貧弱なのはいけない」と酷評し、デザインの改善を求めた。
当初のロゴも悪くはないが、桜の花が五大州(地球上の五つの大陸)を表している最終的なロゴと比べると確かに分かりづらく、その点において当初のロゴは洗練されていない面があるようにも見える。
石坂泰三が酷評したロゴなどを踏まえれば、単純に「昔はよかった」と考えるよりも、「どんな時代にも優れた作品や優れたデザインがあり、数十年前や数百年前のバージョンのほうが洗練されているというケースは珍しくない」と考えるほうが正確なのだろう。
2020年代の現在、日本ひいては世界には才能のあるデザイナーが確実に存在している。
自分が大阪万博2025の関係者ならば、優れたデザイナーを探し、もっと洗練されたポスターを制作するのではないかなと思う。
※大阪万博1970と岡本太郎に関連したネット記事
岡本太郎「太陽の塔」で能天気な未来志向の万博を否定してた|NEWSポストセブン (news-postseven.com)
「爆発する芸術家」岡本太郎が烈火のごとく激怒…丹下健三と取っ組み合いのケンカをした、破天荒すぎる理由(週刊現代)
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