見出し画像

ニーメラーの警句に関する補足

マルティン・ニーメラーという牧師はナチスに関する有名な警句を遺している。

画像1

ナチスが最初に共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は共産主義者ではなかったから。

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった。私は社会民主主義者ではなかったから。

ナチスが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は労働組合員ではなかったから。

そして、ナチスが私を攻撃したとき、私のために声をあげる者は誰一人残っていなかった。


この警句は一般に「他人事だと思って有害な権力者を看過していると、自分も災いを受けることになる。だから、有害な権力者が現れつつあるときは、他人事とは思わず、声をあげるべきだ」という意味で使われている。

だが、この警句には見落とされがちな点がある。

それは、この警句において結果的に弾圧されることとなった牧師・神学者はドイツ国の庶民(その大部分が有権者)の中では少数派だったという点である。

ナチスは「共産主義者、社会民主主義者、労働組合員、牧師・神学者、ユダヤ人、障碍者」などを弾圧したが、そうでない庶民(すなわちドイツ国の多数派)に対しては反ナチ主義者等を除き、弾圧しなかった。


今の日本では、この警句は主に新自由主義勢力(自民党、維新の会、都民ファーストなど)を念頭において用いられる場合が多いようだが、新自由主義(構造改革)の弊害を直に受けているにも拘らず、新自由主義勢力を支持してしまう日本人が実在することから考えて、この警句を日本の有権者の多数派とも言える庶民に呼びかけていくのは効果が薄いのではないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?