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【Wish You Were Here(炎〜あなたがここにいてほしい)】(1975) Pink Floyd 英米盤ジャケット間違い探しのミステリー

ピンク・フロイドの人気はプログレの範疇を超えて幅広いものがありますね。

日本でも非常に人気の高い本作【炎】は、発売当初はそれほどでも無かったと聞きますが、今ではフロイド作品の中でも【狂気】と二分するほどの大人気盤。中古レコードの相場も結構なものです。

デビッド・ギルモアのブルージーで哀愁味のあるギターサウンドがロック的で、いわゆるプログレ、プログレしてない生っぽい感触も本作が人気を集める理由かもしれませんね。

・英国・米国アナログ盤くらべ

(英国盤)

こちら英国盤のジャケットです。

有名な燃えている男が握手をしているジャケットです。CGのない時代、これを実写でやろうという発想が凄いですね。写真の右端も燃えてるところがアートですよね。


さて本作のジャケット、英国盤と米国盤では若干違うのを知ってましたか?


(米国盤)

こちら米国盤のジャケット。

燃えている男の立ち姿が少し違うのが分かるでしょうか?火も大きくなってる。


更に言うならば、この2つのジャケットは少し場所を変えて撮っています。

周りの建造物の位置、影の形が違うのです!

(上が英国盤、下が米国盤)

英国盤は少し引いた場所から、米国盤はやや寄った場所の高い位置から撮影されてます。

建物の影の形から察するに、撮った時間も違うように思えます。米国盤の方はより日が傾いた時間に撮影したのではと推測できます。

そしてこれは今回見ていて気付いたのですが、よく見るとこの両写真の燃えてるスタントマンの男性は別の人物に見えるのです!

カメラのアングルであって、実際は同一人物かもしれません。ただこれをホントに実写で撮ったならば、かなり危険な撮影です。良く似た背格好のスタントマンを複数用意したと考えても不思議ではないですよね。
【炎】の謎です。

みなさんはどう思いますか?(どうでもいいことですが…💦)


話を戻して…

こちらは米国盤に残っていたステッカー付きの濃紺のシュリンク。これにジャケットが包装されていたという凝った仕様。

アートワークはフロイド常連のヒプノシスのストーム・トーガソン担当。

裏ジャケットにも

インナースリーブにも

インナースリーブ裏にも、摩訶不思議でシュールな写真が掲載。

私の英国盤にはポストカードが封入。なかなかシュールな絵葉書。
これ送ったら変な人に思われませんかね??


また本作より米国の発売元が変わってます。

こちら米国盤レーベル。
それまでピンク・フロイドは、米国ではキャピトル・レコード発売でしたが、レーベル下部に表記のあるように本作よりコロムビア・レコード発売に変更。

我が国日本でも、東芝だった発売権が米コロムビアを配給していたソニーへと移行。同様にマスターも米国経由からのコピーでプレスされたと思われます。

一方こちら本国英国盤レーベル。マトリックスは1/5。
英国EMIレコード傘下でプログレ、ハードロック部門だったハーベスト・レーベル発売。

音質は米国盤はライトで軽い音、英国盤はズッシリと太く音圧があります。ピンク・フロイドは平均的に英国盤の方が音にハリがありますね。

Side-A
① "Shine On You Crazy Diamond" (Parts I–V)
(Gilmour, Wright , Waters) − 13:32
②"Welcome to the Machine" (Waters) − 7:28

Side-B
① "Have a Cigar" (featuring Roy Harper)(Waters) −  5:08
② "Wish You Were Here" (Waters Gilmour)
 − 5:35
③ "Shine On You Crazy Diamond" (Parts VI–IX)
(WrightGilmourWaters − Parts VI–VIII)
(Wright − Part IX)  −  12:28


A-① "Shine On You Crazy Diamond" (Parts I–V)
リチャード・ライトの儚いシンセサイザー音が広がる中、曇り空に射し込む鈍い日差しのように響くギルモアの哀感あるギター。
ブルージーで情緒にあふれ、日本人のワビサビにも共鳴する切ない旋律ですね。

シンプルな歌メロの前後を、長尺インストルメンタルがストーリー展開していく流れが秀逸。後半はサックスソロが繋いでいきます。

この曲は後のライブでも定番の大作となりました。

“クレイジー・ダイヤモンド“ことバンドの創設者シド・バレットへのメッセージが歌われていますが、ビッグバンドと崇められる存在となり、彼らもふとバンドの出自へと思いを馳せたのかもしれません。

こちら便利な訳詞付きの動画です。

B-① "Have a Cigar"
「クレイジー・ダイヤモンド」第1部、第2部に挟まれる形で並ぶ3曲の1つ。ギルモアが珍しくファンキーなギタープレイを聴かせてます。悲痛なギターソロもイイ!
リードボーカルは英国フォークの巨匠ロイ・ハーパー。この方も素晴らしい作品を残しています。声に違和感がないので私は暫くロジャー・ウォーターズだと思い込んでました 。
英国人が演奏するこういった重いファンクもたまらなくカッコイイですね!

B-② "Wish You Were Here"
ラジオのチューナー・ダイヤルを変えると右スピーカーから流れくるアコースティックギターの遠い音色。やがてギターフレーズが被さりステレオで本曲が鳴るという洒落たサウンドギミック。
言わずもがなの名曲ですね。美しく切ない。リチャード・ライトのピアノが泣けます。
これもまたシド・バレットへ向けた曲。思えば遠くへ来たもんだという感慨があったのでしょうか。

昔、私の親友の結婚式にお祝いでこの曲をギターで演奏しようと、仲間と大いに盛り上がり、歌詞を読んでラブソングでない事を知って撤回したという苦い思い出があります。
だって「あなたがここにいてほしい」って邦題ならば、ねぇ…?!  苦笑

デビッド・ギルモアの個性も色濃く出た本作。特に大作「クレイジー・ダイヤモンド」は、80年代後半以降、ギルモア主導のフロイドのサウンドの雛形ともなった印象があります。

ライブではさらに音と光のスペクタクルショー。これがまた独特な世界観を描き出して、DVDなんかで観ていても引き込まれてしまうんですよね〜。
ライトショーをやっていたシド・バレット時代からずっと繋がるフロイドの美学。

映像関連の仕事の方にはピンク・フロイド好きが多いと聞きますが、やはり彼らの音楽には視覚的なものを喚起させる何かがあるのでしょうね。

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