小部イティヴッタカ 読了 [パーリ語で読む仏典]
2024/01/29 小部経典イティヴッタカをパーリ語で読了しました。
一法集 (2023/09/14 - 2023/10/07)
二法集 (2023/10/08 - 2023/11/02)
三法集 (2023/11/02 - 2024/01/12)
四法集 (2024/01/13 - 2024/01/29)
合計で半年弱かかりました。三法集だけがなぜか他の集の倍くらいのボリュームがあり、なかなか読み終わらなかった印象があります。
各集には短い経が複数含まれるのですが、それぞれの経は散文と韻文で構成されています。(韻文はダンマパダのような詩の文のことです。)
中部経典を読んでいて見かけなかった複数形で -ase (m. pl. nom.) という形が頻出します。(luddhāse, duṭṭhāse, mūḷhāse など) 初めて見たときなんだこれ?と思ったのですが、辞書を見ると変化表に括弧付きでちゃんと書いてありました。イティヴッタカをまとめた時期や地域などが他の経典と異なるということなのでしょうか? どうやらレアな表現に出会うことができたようです。実際に読んでいて何度も出てこないと覚えられないんですよね……
あと、散文の場合は "Seyyathāpi 〜 (あたかも〜の如く)" のように、ここから喩えの表現が始まりますよ、という分かりやすい導入部分がだいたいあるのですが、韻文表現としてそれだと長すぎるので -va (iva の略, 如く) と単語の後ろに付くだけになるようです。
散文で出てくる -va は -eva (〜こそ, 〜のみ) であることがこれまで多かったので、喩えであることに気づきませんでした。しばらくするとようやくパターンが見えてきました。脈略なく自然のもの(太陽、雨、池など)がでてきて -va がくっついていれば喩えではないか? ということに気づきました。これも似たような表現を何度も読むことで得た知見でした。
韻文の中には散文の説明とまったく同じ内容で、すぐに理解できるものもありましたが、コンパクトにまとまって表現されていることもあり、やはり韻文を理解するのはまだまだ難しいなぁと感じますが、これだけの韻文をパーリ語で読んだのは初めてなので良い経験になりました。
現在は中部経典の続きを「中部#27 小象跡喩経」から読み始めています。