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【メインテーマは殺人】これ実話?ドラマ化を望む人が多い英国ミステリをレビュー(予告後ネタバレ)!
第24回はメインテーマは殺人/アンソニー・ホロヴィッツです!2019/2020の翻訳ミステリランキング1位総ナメの本書を読了しましたのでレビューします。
※尚、予告後にネタバレがあります。
1.基本データとあらすじ
1-1.基本データ
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1-2.あらすじ
自らの葬儀の手配をした当日、資産家の婦人が絞殺される。彼女は殺されることを知っていたのか?
作家のわたし、アンソニー・ホロヴィッツは、テレビ・ドラマの脚本執筆で知り合った元刑事のホーソーンから連絡を受ける。この奇妙な事件を捜査する自分を描かないかというのだ……。
かくしてわたしは、きわめて有能だが偏屈な男と行動をともにすることに……。7冠制覇『カササギ殺人事件』に続く、ミステリの面白さ全開の傑作登場!
2.主観的評点と向き/不向き
2-1.主観的評点
主観的評点は以下の通りです。
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2-2.向き/不向き
向いている人
・翻訳の本格ミステリを読みたい人
・ホームズとワトソンの関係で展開するミステリが好きな人
向いていない人
・ボリュームの多いミステリが苦手な人
・登場人物が多いミステリが苦手な人
3.ネタバレと感想
以下、核心の部分に触れておりますので未読の方はご注意ください。
3-1.犯人と動機
犯人は葬儀屋であるロバート・コーンウォリス(ダン・ロバーツ)。彼は演劇学校の元生徒で役者崩れ。当時のクラスメイトであるダミアンからハムレットの主役を奪われた恨みからダミアン・クーパーに恨みを持っていた。
ダミアンと共謀し、ロバートに病気を染したアマンダは既に殺害。彼は葬儀屋と言う利点を活かしてアマンダを失踪扱いとしていた。
たまたま、ダミアンの母・ダイアナが彼の葬儀屋に来た事から殺人を計画。ダイアナの死によって今はハリウッドにいるダミアンと接触出来ると睨んだため。追ってダミアンも殺害。
ダイアナは過去に交通事故で双子の兄弟のうち1人を死に、もう1人には重い障害を残していた。双子の父親であるアラン・ゴドウィンは裁判で軽い罪となったダイアナに恨んでいたが事件とは無関係。
アランは家政婦のメアリーと不倫関係ににあり、交通事故当日、逢瀬を楽しんでいた為、隠匿の為に虚偽の証言をしていた。
ダミアンの妻・グレースの父・マーティンも結婚により娘のキャリアが中断した事、自分勝手な振る舞いを続けるダミアンに良い感情を持っていなかった。
ゴドウィン家との交通事故、グレース家との関係の悪さは描かれるが事件とは無関係。
3-2.ネタバレ感想
結論として、僕にはハマりませんでした。"真相そこ?"と言う読了感でした。"犯人は精神が崩壊していた状態だったので"を理由にされちゃうのも少し残念でした。
事件の関係者の証言を集めるパートが長く二つの殺害が起きてもなかなか進みませんでした。加えて映画やドラマ、お芝居に関する業界話が色々と出て来ます。作者からすると身近な題材だからなのか楽しげですが、この話題に縁遠い人からすると置いてけぼりにされる感覚を味わうと思います。
小説と言う娯楽は映画よりも長時間かけて咀嚼する娯楽なので。本作は470P近くと長いですが、これらを要素を除外しても極論話は繋がる気がします。
海外ミステリは国産ミステリほど、細かいアリバイとか、密室とかトリックに振る感じじゃなくて一つ一つネタばらしをしていく感じの作品が多いですね。
犯人当てについては根拠がきちんと示されて、それらが作中の描写の中に手がかりが与えられると言うフェアな本格ミステリでは有ります。