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【ハサミ男】作者に騙される?映画化もされた小説をあらすじつきでレビュー!

第15回はハサミ男/朱能将之です!東西ミステリ2012年版では84位、ミステリ入門企画でもよく取り上げられる本作をレビューします!

※尚、予告後にネタバレがあります。


1.基本データとあらすじ

1-1.基本データ

1-2.あらすじ

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。

自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作! 

連続美少女殺人鬼、通称・ハサミ男の正体は…?
鋭利に磨かれたハサミを死体の首につきたてる殺人鬼。通称・ハサミ男がねらった美少女が殺された。しかも、ハサミ男の手口で――。圧倒的知力に満ちた傑作長編。

Amazonより

2.主観的評点と向き/不向き

2-1.主観的評点

主観的評点は以下の通りです。

2-2.向き/不向き

向いている人
・どんでん返し強めの作品が好きな人
・食べ物描写が好きな人

向いていない人
・グロテスク描写が苦手な人
・サイコパス/シリアルキラーものが苦手な人

3.ネタバレと感想

以下、核心の部分に触れておりますので未読の方はご注意ください。











3-1.犯人と動機

3人目の殺害の犯人は堀之内警視正。恋人だった由紀子が妊娠の虚偽をしたので、恨みを持ち殺害。

捜査をキャリア組の権限を用いて誤った方向に誘導し、2人の発見者の1人である日高光一を犯人に仕立てようとした。叙述トリックで、警察が捜査対象として追い掛ける日高光一=ハサミ男(私)とミスリードさせる。

実際のハサミ男は女(安永知夏)。少女連続殺人、しかも美少女が立て続けに被害者となっていた事からメディア報道等で男とのイメージが世間一般にも、読者にも刷り込まれる。

最後に安永は日高殺しの罪を堀之内に転嫁して無実として生存。

3-2.ネタバレ感想

フーダニットものや叙述トリックものの小説としては良く出来てると思います。ただ、ちょっと、途中ダレる部分や解決しきっていない謎もあった印象を持ちました。

ちょっと腑に落ちない部分が多かったように感じました。回収されていない伏線があるように感じました。具体的に言うと次の3つです。

・固有名詞を与えられていない"医師"は安永の妄想なのか?破滅願望が有る安永が作り出した二重人格者なのか?
・安永は自分の事を"太っている"と自称しているのに、第三者からの視点では"物凄い美人"と思われている部分の説明は?
・"岡島部長の嫁"と言う謎のフレーズの意味は?(レズビアンだと言う事を示唆?)

ミステリのテクニックで、"燻製ニシンの虚偽"と言うテクニックが有るそうです。簡単に言うと、インパクト強めの情報で読者の注意を逸らせる手法です。

この医師は、その典型のように見えるのですが、破滅願望を持つ安永のアイテムとして余り上手く作用していない印象を持ちました。ミステリの解決パートでの探偵役的にも見えるのですが、少し違和感を覚えました。

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