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読書ノート5

●ブラフマンの埋葬 小川洋子
不思議なお話。猫でもなく犬でもなく、それが「ブラフマン」であることで、切なさと不穏さの質が変わる。小川氏との対談で、次はこの「ブラフマン」について語りましょう…と言ったまま急逝された河合隼雄先生。この物語から何を引き出そうとしたのか、今となってはお聞きできないのが残念。

●陰日向に咲く 劇団ひとり
登場人物が次々とつながっていく展開は、さすが。公衆電話やデジカメなど、時代を感じさせる場面も。

●シェフ ゴーティエ・バティステッラ
図書館で何気なく手に取った本(仕事がら、つい笑)。美食の国フランスにおける、シェフという華やかで孤独な仕事。一流の料理人というのは、徹底的に偏執狂でないと無理なんでは…とおもわずぶるっちゃう1冊。翻訳者である田中裕子さんは熊本でレストランをされているらしく、こちらの方も興味津々!(仕事がら、つい!)

●新撰組の料理人 門井慶喜
新撰組に料理方として入ることになった男の視点から見た新撰組と日本の歴史

●古くてあたらしい仕事 島田潤一郎
小説家志望の、ちょっと世間からはみ出しちゃった島田さんが、一人出版社「夏葉社」を立ち上げる奮闘記。自分にとっての「仕事」の意義を再確認させられた1冊。この本を読もうと思った直接のきっかけは「積読チャンネル」だけど、他にもいろいろご縁がありまして…と言う詳細はこちらからどうぞ!

●万引き家族 是枝裕和
是枝さんの映画は、どうにも後に引きずりそうなので(いいんだろうけど)、見れてません。小説ならまだダメージ少ないかと…笑
頼りないお父さん、映画ではリリーフランキーさんが演じたようですが、虎つば、新宿野戦病院にハマっている事情から、岡部たかしさんが脳内出演してました

●大地第一部 パールバック
むかーし、学生の頃に読んだことがあって「なんか面白かった気がする」という記憶だけで再読。やはり面白かった。アメリカ人が描く中国一家の壮大な大河ドラマ。

●青い壺 有吉佐和子
原田ひ香さんが「こんな小説が書きたい」と挙げたことで、復刊、ベストセラーとなった本。数奇な運命で人から人へと手渡されていく青い壺。その持ち主達の物語からなる短編連作集。ほっこりするものあり、「えっ?」と思うものあり。1976年の作品で、戦後まもない風景が描かれているがなぜか古さを感じさせない。次々と紡がれていく展開もさすが。

●神の鉄槌 アーサーCクラーク
近未来。8ヶ月後に地球に衝突する小惑星が発見され、衝突を防ぐ使命を帯びた宇宙船ゴライアスは出発する…いつからか(個人的には映画「ブレードランナー」から)、未来は必ずしも薔薇色ではない、と認識されるようになった気がする。人が人である限り、どんなに技術が発達しても解決できないものがある。この小説も小惑星衝突の危機回避というスリリングなSFと言うよりは、近未来に住む人間の葛藤と苦悩の方が印象に残った。

●同志少女よ、敵を撃て 逢坂冬馬
モスクワの小さな村で平和に暮らしていた少女が、突然侵入してきたドイツ兵達に、母親も村人も全て惨殺され、狙撃兵となって戦争に参加せざる終えなくなる…戦時下で繰り広げられる緊迫した物語展開は、それだけで引き込まれるけれど、独ソ戦という、自分的にはあまり馴染みのない時代と世界の小説だからこそ、新鮮でもあり、考えさせられたりもした1冊。

●あん ドリアン助川
映画がとても良かったので、いつか原作を読んでみたいと思っていた。こちらもとても良かった。原作を読むと、この世界観を忠実に映像化した河瀬監督の手腕は、やはり侮れんな、と思う。この小説を書く経緯について語ったドリアン助川氏のインタビューも興味深かった。

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