まるでアリス・ゴフマン
少し前から、自分のやっていること、というか、現場で大変すぎる感じ、が、アリス・ゴフマンみたい、だと思っていた。
大変すぎる感じ、というのは、インターセクショナリティによる、複合的差別を素で、まるごと経験しているから。しかも、自分のこと、そのものなので、勘弁してほしい感じ。
以下、C.
以下は、いただいたプロフィール文をもとにした概要・ポイントの整理です。ご自身の活動やスタンスを包括的に紹介されており、エスノグラフィー的な記録やパフォーマンスを通じて、「自分自身」と「コミュニティ」と「研究」「アート」を一体化したプロジェクトを展開している印象を受けます。
1. 肩書・アイデンティティ
• 名前/プロジェクト名:
• K Phoenix / MISTREX Ara Lavish / BDSMTOPQUEEN
• 「Queering “Studies” Project」を主宰(PlatHome Inc. のもとで進行中)
• 肩書き:
• アーティスティック・オーティスティック・サイエンティスト (Artistic Autistic Scientist)
• Dragpolesque Dancer, Slammer, Kink Star, Independent Ethnographer
• PhD in Sociology
• Reiki Master, Monk
• 社会的立場/活動:
• Ainu First Nation, Emishi First Nation
• トランスマスキュリン、ニューロダイバージェント(NeuroSpicy)
• ポリアモリー、トランスナショナル・インディジェナス&難民アクティビスト
• シングルマリッジ(単一婚)アドボケイト
• フェミニスト、セックスワーカーの権利擁護、パレスチナ支援、オーガニック農業運動・気候変動アクション支持
2. 学術的背景
• 博士(社会学)
• 専門領域: トランスジェンダー研究、ジェンダー研究、セクシュアリティ研究、医療社会学、質的調査論
• 日本での大学勤務歴:
• 奈良女子大学助教(5年)
• 千葉大学准教授(10年)
• 立教大学教授(1.5年)
• 合計16.5年間、学界でトランスジェンダー研究を続ける
• 経緯: 日本における学術機関勤務でバーンアウトし、カナダへ移住/避難したという経歴を持つ
3. 活動・プロジェクトの特徴
1. 実践と研究の融合
• 自らのパフォーマンス(ドラグポール、スラムポエトリー、ストリップティーズなど)やコミュニティとの交流を通じて、社会学的・文化的テーマを「体現」しながら探求する。
• フィールドワークで得た体験や観察データを、「研究」「アート」「エンターテイメント」として複合的に発信している。
2. セルフ・エスノグラフィー/コミュニティ・エスノグラフィー
• 自身が様々なマイノリティ属性をもつ当事者として、コミュニティ内外の出来事を観察・記録し、質的調査としてまとめている。
• 作品や投稿はフィクションという形を取りつつ、研究倫理上の「匿名化」の手法を応用している。
3. メンタルヘルス/プロセスワーク的要素
• すべての文章は「ジャーナリング」としての側面を持ち、著者や周囲の関係者のメンタルヘルスをケアするためのプロセスワークでもあると明言している。
4. “Queering ‘Studies’ Project”
• 研究・アート・エンターテイメント・社会運動のすべてを包括し、「クィア的視点」を活かして学問や文化の既存枠組みを問い直す実験的プロジェクト。
• 「自分のプロセス」と「コミュニティにとっての意義」を重視し、従来の学術研究の形式や客観性を必ずしも優先せず、「当事者である研究者/表現者」としての主体的視点を前面に出している。
4. 文体・表現上の工夫
• すべてはフィクションと断りを入れる: 匿名化やプライバシー保護、研究倫理への配慮。
• スラムライティングとして執筆: 自由でパフォーマティブな文体を意識し、従来のアカデミック・ライティングとは一線を画す。
• 多言語・多文化的表現: 日本語と英語の両言語を交え、アメリカやカナダ、日本にわたる複合的な背景を示す。
5. アリス・ゴフマンとの比較の視点
• エスノグラフィー的アプローチ:
• アリス・ゴフマンが都市貧困地域のコミュニティを深く観察し、そのまま学術的に提示したのに対し、K Phoenix氏は「自らが多様なマイノリティ属性を持つ当事者」として、コミュニティやパフォーマンス、日常の出来事を包括的に記録・発信している。
• エスノグラフィーの手法(長期的観察・参与・記録)を用いている点は共通するものの、自分自身とコミュニティとの境界を意図的にあいまいにしながら表現する点がさらに「実験的」あるいは「クィア的」であると考えられる。
• 研究成果の公開形態:
• アリスは書籍(『On the Run』)や学術論文という形で公表し、大きな学術的議論を巻き起こした。
• K Phoenix氏は、パフォーマンスやSNS、ブログ、スラムライティングなど、多メディアでのライブ感を重視し、「実験的アート」の文脈でも作品化しようとしているように見える。
• 研究倫理・プライバシー保護:
• アリス・ゴフマンも研究手法の倫理面で物議を醸したが、K Phoenix氏は「完全フィクション」「匿名化」「ジャーナリング」として、慎重かつ開放的な姿勢をとりつつ、自他をケアする意図を明確に示している。
まとめ
K Phoenix氏のプロフィールは、「研究者」であると同時に「パフォーマー」「コミュニティアクティビスト」「アーティスト」という多面的な役割を融合させている点が特徴的です。活動や記録のすべてを**“Queering ‘Studies’”**という枠組みで捉え、既存のアカデミックな枠組みを解体・再構築しながら、当事者目線で社会を描き出していくという壮大な試みと言えます。
• 学術的厳密性だけでなく、パフォーマンス性やエンターテイメント性、そして当事者や周辺コミュニティのケアが重視されている。
• アリス・ゴフマンのエスノグラフィーと似た文脈を感じさせる部分もある一方、よりアート寄り・パフォーマンス寄りに振り切っている点や、自身のマルチ属性を武器にした超越的な「実験精神」が際立っているといえるでしょう。