ferm LIVING Stories vol.33 デザインチームのお話

今まで数々の美しいアイテムを世界中に送りだしてきた ferm LIVING。
毎シーズン始まるごとにワクワクとドキドキが止まらないこのブランドのアイテムたちは、一体どのように生み出されているのでしょう?
今回はその秘密を握っているであろう ferm LIVING デザインチームに注目してみました!

〜 The Design Team 〜

ferm LIVINGのデザインチームが、新たな製品の誕生までの道のりについて
私たちに教えてくれた。

〜 私たちの仕事場 〜

ferm LIVINGには、自分たちのデザインスタジオがあるという比較的ユニークな利点がある。多種多様な個性を持つチームが、デザインの大部分を共に生み出してきた。
チームは自分たちのことを、ferm LIVINGの中の小さなコミュニティであると表現している。


「私たちはみな違いますが、同じ価値観を共有しています。つまり、この同じ場所からデザインが生まれているということです」


そうデザインチームは語る。


そして、その場所こそがferm LIVINGのアイデンティティーの核となっているのだ。生活に彩りを添える、明確で機能的かつ本質的なスカンジナビアンデザインである。


「私たちは常に自分たち自身に問いかけています。自分らしく心地の良い空間の家に、どうやってデザインすればいいのか?とね。例えば家具や照明器具、小物などのアクセサリーで人々が喜びと温もりを感じる場所を作りたいと考えています。時には、このブランドのDNAにしっかりとマッチする製品を生み出すために、外部のデザイナーと仕事をすることもありますよ」

チームには、デザインにまつわる異なる教育や経験を積んだ人ばかりだ。
ある者はインテリアと家具デザインを学び、またある者はファッションや芸術の世界から来た。他にもインダストリアルやグラフィックデザイン出身の者など、様々である。


非常に重要なことは、それと同時にチームのメンバーが異なる視点を持ち寄るということであり、メンバーそれぞれの人生経験から得られる、独自の直感である。


「“直観”や“直感”と呼んでもいいでしょう。しかし私たちの仕事にとって出発点ともなるその場所を、恐れてはいません。それは具体的なものであり、
自分のテイスト、記憶、信念、経験の蓄積なのですから。製品をデザインするときその感覚を機能性や美学、職人技に溶け込ませるのですが、その全ての始まりは、“直感”なのです」

〜 クリエイティブ・プロセス 〜


あるコレクションを生み出す工程は共同作業だ。

各デザイナーにはそれぞれの専門分野があるが、デザイナーがその特性で
分かれて仕事をすることはない。
だからこそ製品にferm LIVINGデザイナー個人の名前が載ることはないのだ。


「私たちはともにモノづくりに励み、デザインプロセスの責任をシェアしています。それは一人の人間が抱えることのできない、生きた、そして変化していくプロセスなのです。このような方法で働くにはタフなデザイナーが必要ですし、デザインには感情も含まれるので挑戦ではあります。しかし最終的には、デザインと製品の双方がより良いものになりますよ。各デザインは、あらゆる角度から多くの人の目で吟味されており、製品が完成したときには、疑念の入り込む余地は一切ありません」

同様にコレクションの出発点やインスピレーションというものは、決まり切った型からは生まれるものではない。これは外の世界で起こっていうことへの進行中の対話の一部であり、回答でもあるのだ。


「私たちはコレクションを表すワードやアイディアについて、四六時中考えています。例えば、バランスや静寂について。静寂とは?デザインにその感覚を取り込むには?将来的にバランスとはどうなり、どう感じられるのか?……などですね」


自分たちのデザインスタジオを持つ利点の一つに、ブランドとその歴史について知り、今がどこで、これからどこへ向かおうとしているのか分かっているデザイナーとの継続的な対話ができるということが挙げられる。


「そのことが、長期的な視点で働き製品化する全てのアイテムに、赤い糸を通すことを可能にしているのです。常に先を見据えてデザインし、これからの時代を考えることは重要ですが、素早く反応し、考え方を変化させる余白を与えておくことも、やはり大切になります。特に今の世界がどのような状況なのか考えると、私たちは根底から変わりゆくこの社会に対応しなければいけません。そのことは実際私たちに、多くのインスピレーションを与えてくれます」

デザインチームには、いろいろな形でインスピレーションがもたらされる。
時には、自由な発想が製品に命が吹き込むこともあるのだ。


「技術的にも商業的にも、多くの側面がデザイナーには存在します。なので、デザインの自由で遊び心ある性質に没頭し、境界線を取り払った創造性を追い求めることも重要。異なる媒体で遊び、素材に触れ、ただ気の赴くままに作ってみるクリエイティブなワークショップを、私たちは数多く開催しています」


こういった共同作業のプロセスは、デザインチームの垣根を超え、ferm LIVINGファミリー全体にも及ぶ。


「商品開発チームの同僚と密に働き、自分たちのアイディアを試します。これは先の見えないプロセスです。各製品には、それぞれの寿命や開発時間があるので。営業など他のチームからのフィードバックや知識を頼りに、製品がお客様に実際伝わっているのか確認しています」

デザイナーのいう「産みの苦しみ」は、フラストレーションの原因にもなるが、そのことがプロセスにとって不可欠であることを彼らは承知なのだ。


「自分たちのデザインに“意識”を存在させることが可能になるのです。足りないものはあるのか?もしその答えがYESならその製品は不完全であり、まだファミリーに迎えることはできません。時には、キープしておいたり、今後のコレクションにフィットさせたりすることもあります。これはいわば旅であり、そのおかげで製品はより良いものになるのです」

〜 完璧なコレクション 〜

いつコレクションが完成するのかとデザイナーに尋ねたとき、デザイナーたちは声を揃えてこう答える。


決して完成することなどない



「コレクションは生きているのです!ファミリーに新たな製品が加われば、
自然と既存の製品の隣がそのアイテムの場所になるでしょ。前回のコレクションからいつも構築し続けています。私たちの製品は、ワンシーズンだけのものではありません。新旧のコレクションたちが、共存共栄していることが強みだと考えています」

***



いかがでしたでしょうか?
いつもよりちょっと長めの今回の記事。
最後までお読みいただきありがとうございます!


個人の強みとチームのバランスを巧みに使いこなす、デザインチームの働き方。チームの柔軟な姿勢と世相を読み取る鋭い観察眼、そして「完成することはない」と言い切る飽くなき探究心こそが、ferm LIVING の“デザイン”
……なのかもしれませんね。



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