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「ルックバック」あの日、僕を突き動かしたソレは、忘れたくないモノだった。
※ネタバレ
ルックバック見てない人、是非見てほしい。
挫折、傲慢、嫉妬、受容、羨望
1時間。たった1時間。
無駄を省いた作品だった。
なのにこんなにもメッセージ性がある作品に仕上げたのが素晴らしい。
カメラワークの描写、音楽の切り替えや伏線回収の仕方。藤野ちゃんと京本どちらにも感情移入ができる様に楽しめた。
また、音楽と描写だけが流れる会話のないシーンは自分がまるで2人の気持ちになって一人称小説の様に画面に文字を書き込む様に想いを添えれた。
感情をノスタルジックに描く描写は他にないシンプルかつ繊細な感じで。。
ここが何よりも凄かった。惹かれた。
創りたい!こーゆーの!
そしてメッセージ性のあるラストシーンでは1時間たっぷりと没入した性か「頑張ろう」っていう気持ちよりも「あ、もう動いた」って感じがした。
作中描かれ続けられた藤野ちゃんの背中はいろんな感情があったが最後はまるで自分の姿を客観視した様だった。
藤野ちゃんは自分を見ているようだった。
好きな漫画。大好きな漫画。ある日京本ってやつに自分の輝けるステージを取られた気がした。
悔しかった。周りからの承認欲求が気持ちいい。周りから称賛せれる声に余裕でいた自分に浸っていたのに。
眠い目擦りながら書いた作品が圧倒的な差でやられた。
悔しかった。
何もかも捨てて全直を注いだ2年間。気づけば中学生に直前だった。
中心に漫画を描く藤野ちゃん背中の描写。
夢中になるにつれ周りからは心配され、友達や家族でさえも距離を取られいた。
薄々気づいてた。
気づかないふりをしてた。
今までの自分、あの時の自分を裏切れない。
あの時の自分い戻りたかった。
でも、縮まらないあのことの差に嫌気と気だるさ、脱力した。
「私なんで漫画書いてるんだろって」
楽になれた気がした。
こんなことなんかしなくていいじゃん。
どうにかしてた私。ボケだよ。
え、魔に受けてたの?ウケる。
おいいしものでも食べよ。あそぼ。
友達が求める私に、家族が求める私に染まっていく。
気持ちよかった。
あの時の自分に戻れた感覚がしたから。
卒業式、先生から渡された卒業証書を持って京本の家に向かう。
そういえばあのライバルだった子か、
めんどくさいな。
「でももしかしたらあの時私。あなたの部屋の扉の前で本当の自分に会いたかったのかも。」
家に着いてピンポン押したのに何の反応もなかった。
「すみませーーん!誰かいますかー!誰もいないの?」
物音がした。いるじゃん。
廊下を曲がって部屋に向かうと大量のスケッチブックが廊下の両端に重ねられら束がいくつもあった。
「なんだよ、こいつ。ずっと絵書いてたんじゃん」
ま、でも漫画なんかもう描かないしーばかじゃん。
あの時捨てた気持ち。。。。
なんだ、この感じ心が動く。
目線の先にあったのは積まれたスケッチブックに当時浸るように書いていた四コマ漫画の白紙。
つい描きたくなってた。
「でも、もしかしたらあの時私。あなたの部屋の扉の前で本当の自分に会いたかったのかも。」
いつも通りみんなを笑わせるように書いた四コマ漫画。
それがたまたま風に揺られ扉と床の隙間を通ってあの子の部屋に入っちゃう。
やばい!
早く帰ろ。
『藤野先生!!』
あ、あの、。。。。。。。
何こいつ、髪もボサボサだし今時はっぴ?
「私ファンなんです!藤野先生の漫画全部見てました!
本当に面白いです!天才漫画家になれますよ!サインください!」
「別にいいけど、、、」
あの時捨てた気持ち。。。。
なんだ、この感じ心がう動く。
「なんで書くのやめたんですか?」
「別にやめてないよ、ちゃんとした所に出すからやめただけー」
「見たい見たいみたい!!」
「ま、話せるようになったらねー」
嬉しすぎた。体が勝手に動く。スキップ知ってるのにできないくらいに。飛び跳ねた。
雪解けのランドセルを投げ捨て椅子に座ってペンを握った。
中心に漫画を描く藤野ちゃん背中の描写。
中学生になって京本と作品を作るようになった。
楽しかった。ただひたすら楽しかった。
ずっと京本といた。好きな自分を認めてくれて尊敬してくれてたから、居心地が良かった。
1年かけて作った作品は出版社からも認められ
コンビニで目にし続けていたあいつに。
夢の舞台に乗った。
それから描き続けた、二人でずっと。
漫画家になった。通帳も作った。お金稼げた。好きなことで好きな私で。
二人で出かけた。電車に乗って映画を見て、美味しいもの食べて。
街ゆく人混みを京本の手を握って先走った。
どんな時でも私の背中を見とけ。
引っ張っててやるよ。
だから着いてこいよ。
連載が決まって人気漫画家としてデビュー決定。
「私、芸術大学に行きたい。だから漫画書けない。」
それは突然だった。
絵上手くなりたいから、、、
「あ、そ。好きにすれば。代わりはいくらでもいる。」
「でも待って。なんでよ!
あんたにできわけないじゃん、お店の人とも話せないんだよ!
知らない人いっぱいなんだよ!」
「私できるように頑張るもん。」
あの頃の自分が周り言われていた言葉を自分が京本に向かって吐いてた。
私、なんのために漫画書いてるんだっけ、、
私は描き続けた。いつか戻ってくるんだろ。そう思ってたから。。。
「もしもし、藤野です。風景を書く人なんですけど、いい人いないですか?
その子は仕事はできるんですけど、なんていうか息が合わないというか。。。
その子は絵は上手なんですけどなんか違うくて。。。。」
はぁ、、、、あいつ。。いや、あんなやつ。
殺人事件のニュースが聞こえてくる。
聞いたことある学校の名前。
女子生徒が死んでいる可能性がある。。。。
おいおい、あいつ生きてるよな。
電話に出ろよ。
かあさんからの電話。
携帯が落ちた。
彼女は亡くなった。
連載はストップさせた。
無気力になった。
私、なんのために漫画書いてるんだっけ?
彼女の家に行ってみた。
手に取った漫画集。
挟まれたあの書いた四コマ漫画。
これがきっかけで京本死んだんじゃん。
私のせいじゃん。
「私が漫画なんか書かなかったら、京本は外に出ずに済んだのに。」
過去の自分を全否定したかった。
破り散らかした。
出てこないで!そう書かれた
一コマ目の紙切れがあの時のように風に揺られ扉と床の隙間を通ってあの子の部屋に入ってゆく。
あの日もし出てこなかったら、、
ここからは作者のメッセージであり伏線回収する。
亡くなってもまた出会う運命。
そして京本が書いた四コマ漫画。
背中を見て。ルックバック。
部屋に入った藤野ちゃんは今までの自分を見つめ直す。
そこにはいつも私を好きでいてくれた京本の姿。
どんな時でもずっとにいた二人。
後ろを振り返ると、あの日京本のハッピの背中に書いたサイン。
『藤野ちゃんは何の為に漫画かくの?』
色んな感情で書いてきた漫画。
皆からの承認欲求を求めた漫画。
京本に勝ちたかった漫画。
お金為に書いた漫画。
でも今は自分と京本の為に書いた漫画。
歩いてきた道のりを振り返ると間違いじゃなかったことに気づく。
今までの全ては今の自分の為にある。
そう思えた時私書かなきゃって思った。
感情的な言葉に頼らず登場人物の感情を描写や行動で落とし込んでいる作品。
面白すぎる。
藤野ちゃん。京本。
藤野ちゃんの感情とストーリー添えられる様に背中を押してくれる京本の想いと感情。
空白になった部分、普通なら描かれる部分を視聴者に預け楽しませてくれた。
これはタイトル通り背中を見て、貴方もあの頃を忘れずに好きな事をひたすら頑張ってっていうメッセージ性だけじゃない気がする。
その余白を埋める自分との対話。そんな気がした。
22:25〜1時間だった。
終わった後、もどかしい不思議な気持ちのまま映画館を出た。
思った事をメモに落とし込む。
外はまだ少し雨が降っていた。
自転車に向かう。少し肌寒い。
思った事をメモに落とし込む。
自転車にまたがりサン=サーンスを耳に夜の街と共にあの映画を頭に浮かべる。
ルックバック。
作中ラストのシーン。友人が亡くなった悲しみを全て受け止めて本当の自分に向き合う様子が
いつもの机に向かって漫画を描く藤野ちゃんのシーンでエンドロール。
この映画もきっといつかあなたの未来を作る一つのピースになる。
余白になった部分を感情移入させてルックバックさせる作品であり。
その作品に気づかせるようなそこまで思わせる作品だった。
間違いなくまたルックバックさせられるだろう。
そう思わせる藤本タツキに悔しさを覚えるまでもが藤本タツキのルックバックになっているところまでも含めて
やられた。
「ルックバック」あの日、僕を突き動かしたソレは、忘れたくないモノだった。