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自分の地図を広げてみよう

 今日は朝は小雨が降っていて、昼過ぎには上がりましたが、
ずっと雲が空を覆っています。
暖かかった昨日から一転、冬の寒さが戻りました。

夕方、こざるカフェには、常連の ゆきこちゃんが来ています。
ゆきこちゃんは、来月で勤めていた会社を退職して、
地元に帰って、新しい仕事を探します。

「もうすぐだね。」
「そう、決めてから、あっという間よー。」
ゆきこちゃんは、笑顔です。

「これ、とっても良かったよ。」
「うん。とってもいいよね。」
ゆきこちゃんは、こざる達に借りていた本を返しに来たのです。
ヤマザキマリ『国境のない生き方、私をつくった本と旅』です。

 ゆきこちゃんは、ずっと悩んでいました。
年明けに、こざる達に、職場で悩んでいること、
仕事も 職場の人間関係も、うまくいかないこと、
このまま ここにいるよりも、転職しようかどうしようか、
地元に帰ろうか、どうしようか、
こざるカフェに来て、たくさん話をしました。

「でもね、私、もう若くないし、この年で また新しい仕事を探して、
見つけたとしても、新しい職場で うまくやっていけるかどうか
わからないし、それに周りの人達も そんな私のこと、何て言うか….」

こざる達は、ゆきこちゃんの話をずっと聞いていました。

「りこちゃんは、よく言ってたよ。
 自分が やりたいことをやった方がいいよって。」
「うん、言ってたよ。自分の人生なんだから、他人は関係ないよって。」
こざる達は、ゆきこちゃんに言いました。

「うん、そうなんだけど、でも…」
ゆきこちゃんは、考えて、悩んで、とても疲れていました。

「いい本がある!」
そう、こざるちゃんが言って、ゆきこちゃんに貸してあげたのが
この本なのです。

「この本に『他人の目に映る自分は、本当の自分ではない。』ってあって、
だから、他人の目なんて気にしなくていいんだって書いてあるんだよ。」

「あとね、閉塞感を感じたら、とりあえず移動してみるんだって。」

そうです、ヤマザキマリさんは、持っている地図のサイズを
変えてみる、広げてみるといいと言っています。
すると、物の見方、考え方が変わるからです。

こざる達の話を聞いていた ゆきこちゃんの顔が
少し明るくなったようでした。

この本を貸して、しばらくして、ゆきこちゃんから連絡が来ました。
退職して、地元に帰って仕事を探すと決めた、と。

それからの ゆきこちゃんは、吹っ切れたようで、
とても明るく生き生きとして、
こざる達も、良かったと思っていました。

「この本、ゆきこちゃんにプレゼントするよ。」
「え? 本当? とっても嬉しい!
どうもありがとう。大切に、お守りにするね。」
ゆきこちゃんも、こざる達も ニコニコ嬉しそうです。

今日も こざるカフェでは、ゆっくりゆっくり、
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日は、晴れます。
よい毎日でありますように (^_^)

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