見出し画像

世界の全てに意味を求めなくていい

「まる、19歳なんだねー。」
「老人なのに、子猫みたいだよ。」

今日も、りこちゃんとこざる達は、皆でわいわい楽しく夕飯を食べて、
今は、のんびりと食後のお茶を飲んでいます。

「この前、録画した養老孟司先生の番組を見ているんだ。」

NHKのBSで放送した『まいにち 養老先生、ときどき まる』です。
まる、というのは、ご存知の方も多いと思いますが、養老先生宅の猫です。
子猫で来た時に、目がまん丸なので、まる、という名前になったということなのですが、今は 体がまん丸です。

「この番組は、じーっと見ていないとならないドラマやドキュメンタリーというわけでもなくて、旅番組でもなくて、もちろんバラエティ番組でもなくて、BGMのような、でも話がすっと入ってきて、
心が穏やかに落ち着く感じがして、りこちゃんも、僕たちも大好きなんだ。」
「わりと真剣な話もしながら、でもテンポがのんびり長閑でいいんだよね。」
「それに養老先生のご自宅の鎌倉の自然も眺めることができるしね。」

りこちゃんとこざる達は、以前、鎌倉によく遊びに出かけていたので、
馴染みのある界隈が出ると、とても懐かしいのです。

番組内で「風を聴き、光を見る」というナレーションが入りましたが、
自然の中で、自然とともに暮す、昆虫が大好きな養老先生は、まさに風を聴いて光を見て暮しています。

「上白石萌音さんのナレーションも、のんびり穏やかで、ほんわかしている感じで、とっても番組にあっているよね。」
皆,うんうん頷きます。

養老先生が語ります。
「全てのものに意味がある。都会人が暗黙にそう思うのは当然である。
何故なら周囲に意味があるものしか置かないからである。
しかもそれを日がな一日見続けているのだから、世界は意味で満たされてしまう。
それに慣れきった人達には、やがて意味のないものの存在を許さないという
やはり暗黙の思いが生じてくる。」

「養老先生は、"山に行って下さい。金にもなんなきゃ役に立たないものだらけだ。"って言ってたね。」
「うん、"世界の全てに意味を求めなくてもいいだろう。"って。」
皆、うんうん頷きます。

「りこちゃんも、僕たちも、これがすぐ役立つから、とか、効率的だからこうするとか、
そういうこと考えないよね。」
「もちろん常識ある行動をとっているけれど、意味があるからという条件が いつも最初に来るわけじゃないなぁ。」

りこちゃんも、こざる達も、こんな感じなので、養老先生の話を聞いていると
ほっとして安心します。

画面には、春の明るい日が当たる玄関先で、
腰掛けて にこにこと嬉しそうに のんびりと寛ぐまるを眺めている養老先生が映っています。
まるは養老先生に甘えようと近づいて、撫でてもらって満足そうです。
そして、寝っころがって、のびー。

「本当に気が紛れるんだよね。くよくよ考えてもしょうがないな。
猫で助かる、勝手にしているから。
こっちが忙しくても、昼寝しているから、くそーって。」
そう話す養老先生は優しい顔で とっても嬉しそうです。

「こういう時間がいいよね。」
「だって僕たち、機械じゃないんだもん。心があるんだもん。」
皆、うんうん頷きます。

番組のエンディングに、ピアノの音で『猫ふんじゃった』が優しく穏やかに流れてきます。

「お茶のお代わり淹れようかな。」
「どら焼き、少しずつ、皆で食べようか?」
「うん!」
りこちゃんがいち早く返事をして、皆、大笑いします。


こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
今日も、明日も、明後日も、のんびりのんびり、穏やかに過ごしていきたいと思います。
よい毎日でありますように(^_^)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?