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早朝の築地市場へ

 今朝、こざる達は、とても早起きをして、
お日さまよりも、ずっとずっと早起きをして、
「まだ真っ暗だなぁ」と言いながら、ラジオをつけます。

 ラジオからは「この冬一番の寒さ」という言葉が聞こえてきます。
北の方は、大雪のようです。

 今日は 二人のこざるが、築地市場に買い出しに行くのです。
築地は 朝早くから、というよりも、
まだ夜のうちから営業が始まっています。
朝も8時となれば、もう仕事も終わりに近くなっていて、
正午には、ほとんどのお店が閉店となります。

 買い出し組のこざる達は、留守番のこざる達が
用意してくれた朝ごはんをパクパク食べます。
「おいしいね。」
「うん、おいしいね。」
急ぐ朝でも、こざる達は必ず御飯を食べます。
ちゃんと食べないと、お腹が空いて、元気が出ないからです。

「ごちそうさま」
「ごちそうさま」
買い出し組は仕度をして、まだ夜の中、家を出ます。

「行ってきます。留守番、よろしくね。」
「買ったらすぐに帰ってくるから、りこちゃん、よろしくね。」
「うん、まかせてよ。いってらっしゃい。」

 こざる達は 電車に乗って 築地市場へと向かいます。
以前は、りこちゃんも一緒に築地市場に出かけていました。

「お正月は、りこちゃんと一緒に、おいしいお節を食べようよ。」
「そうだね。築地市場に行こう。」

 こざる達は、りこちゃんと一緒にお正月を過ごすのを
とても楽しみにしています。お正月だけではありません。
普段の何でもない日だって、一緒に過ごすことが嬉しいのです。

 りこちゃんは元気ですが、80を過ぎている おばあさんです。
一緒にお正月を過ごすことができるのは、あと何回なのか、わかりません。
こざる達は、毎日が宝物だとわかっています。
特別ではない、何もない普通の日だって、大切なのです。

こざる達は、築地市場に着いて、まず最初に 波除神社へ向かいます。
りこちゃんと来る時はいつもそうしていたからです。
「まず神様に お参りしてからだよね。」
こざる達は、パンパン!と柏手を打ちます。

 お参りを済ませて、こざる達はすぐ正面の削り節屋さんに入ります。
「わぁ いつもいいにおいだねー。」
こざる達は、鼻からスーッと息を吸って、においを嗅ぎます。
「これでお雑煮作って、お煮しめも煮ようよ。」
「りこちゃん、喜ぶよ。」
「りこちゃんの好きな玉子焼きも買って帰ろうよ。」

 こざる達は、大混雑の中、頑張ってあちこち回って、
そして帰路につきます。

「歩こう、歩こう、わたしは元気。
歩くの大好き。どんどん行こう。」
トトロの『さんぽ』です。
二人は りこちゃんの嬉しそうな笑顔を思い浮かべながら歌います。
もう明るい朝です。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
削り節は とってもいい香りで 大好きです。
よい毎日でありますように (^_^)


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