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このタイミングでBTSにもハマってしまった。『BTS: Yet To Come in Cinemas』

ミュージカル映画ばかりを見て、ミュージカル映画の話ばかりしていた私ですがすっかり最近はFilmarksでもTwitterでも読書メーターでもnoteでもK-POPの話しかしなくなってしまいました。

これまでの経緯をざっと話すと、去年2022年8月のK-POPヨジャグル大戦争(特にNewJeansのデビューが熱かった)あたりからK-POPの面白さに気づき、年末の歌謡祭・授賞式のステージで無双しているのを目撃しLE SSERAFIMの大ファンになってしまったのがついこの間の話。
※ちょっとした報告です。今月ついにLE SSERAFIMのチェウォンちゃんのサイン会にも行くことができました!!最高でした!

そんな私ですが、ついにBTS(防弾少年団)にもドハマリしてしまいました。というか今となっては何で今までBTSの素晴らしさに気づかなかったのだろうという思いでいっぱいです

ハマったきっかけについてはこれと言って何かがあるわけではないです。LE SSERAFIMのYouTube動画を見る流れで色んな関連動画を見ていたらいつの間にかに……という感じです。たぶん私のような感じで何となくいつの間にかにBTSを好きになっていたという人は案外多いのではないでしょうか。(だって、YouTube上に溢れるバラエティーコンテンツやダンス動画、歌唱動画、MV、楽曲それ自体、そのどれもが言葉の限りを尽くしても語り切れないほどに素晴らしいんですもの。しょうがないものはしょうがないのです)

『BTS: Yet To Come in Cinemas』を観た。

そんな私がずーっと楽しみにしていたのが『BTS: Yet To Come in Cinemas』という映画。2022年に釜山で5万人を集め行われた無料ライブの記録映画となっています。これが本当に凄かった。

今まで数多くのミュージカル映画を見てきましたが、「未だかつてここまで凄いパフォーマンスが映画館のスクリーンに映し出されたことがあっただろうか」とそう思わせるほどのシーンの連続に震えました。

特にこのRunBTSのパフォーマンスはすごい。圧倒的な運動量。そしてK-POP伝統のカル群舞(完璧に動きの揃った群舞)。そして各メンバーそれぞれの見せ場がきっちりと組み込まれた飽きさせない構成。これぞまさしくK-POPの長い歴史のなかで積み上げられてきたものがエンターテイメントの極致といえるようなものでした。

見て楽しむ音楽としてのBTS

そんなBTSの素晴らしいパフォーマンスを映画館で見て、私はこれまでに人類が進化させてきた「見て楽しむ音楽」という文化の現時点での究極形を見てしまった……と思いました。

ここで私が理解している範囲の話にはなりますが、ここでざっと「見て楽しむ音楽」という文化の歴史について話したいと思います。

私がずーっと大好きで今も大好きな1920年代~1950年代までのミュージカル映画はジャズ全盛期に「見て楽しむ音楽」として生まれ、発展してきた一つのエンターテイメントのジャンルでした。

そのための当時のミュージカル映画には、様々な小道具が見事に活用された色彩豊かで魅力満天のセットのなかで、ダンススキルに優れた当時の大スターが工夫に溢れた振付で、さらには時に工夫にあふれたカメラワークで我々を魅せてくれるシーンがたくさん盛り込まれています。それはまさに今のK-POPのMVのようなものだったのです。

(これは『紳士は金髪がお好き』というマリリン・モンローのミュージカル映画の有名なワンシーン。(G)I-DLEのNxdeをはじめとして色んなK-POPのMVで引用されています)

そもそも「見て楽しむ音楽」を構成する最重要要素である「ダンス」ってミュージカル映画が誕生するまではアーカイブされることがなかったんです。というのもそれ以前はダンスを記録して保存する技術、つまり映像技術がなかったからなんですよね。そのため「見て楽しむ音楽」の歴史は映像技術の発展と深く関連してくるんですよね。

そんなミュージカル映画時代の大スターといえばフレッド・アステアです。彼こそが人類史上最初に映像技術とダンスを駆使し「見て楽しむ音楽」としての文化を成功させた人物です。

見ての通り圧倒的な身体性とそれを駆使して織りなされる超絶技巧のソロダンス。後半は映像編集を駆使し、時間も重力も超越してしまうかのような見事なパフォーマンスを魅せてくれます。このシーンから溢れ出る映像技術とスターの身体性をフルに活用して見る人を楽しませようとする精神、これはまさに現在のK-POPにも通じるものだと言えると思います。

とはいえ、ミュージカル映画にはK-POPには山のように溢れているいわゆるカル群舞はないんですよね。マスゲーム的な面白さのある群舞は結構あるんですが、数人のグループが高いレベルの振付をきっちり揃えているようなものは一切ありません。

さて、ミュージカル映画の時代も1950年代を過ぎるとすっかり終わってしまいます。1961年に公開された『ウエストサイド物語』を一つの区切りとしてミュージカル映画は「見て楽しむ音楽」としての発展をやめ、「聴いて楽しむ物語」として発展していくことになりました。そして音楽のトレンドもジャズからロックやR&Bへと移り変わっていきます。

そんな時代に「見て楽しむ音楽」を発展させたのは新たに誕生した映像技術テレビでした。特に1980年代からはじまるMTVの流行は、ミュージックビデオという「見て楽しむ音楽」としての新たな文化を生み出し、大きな影響力を持ちました。その時代の大スターといえばマイケル・ジャクソンです。

マイケル・ジャクソンはフレッド・アステアの精神を受け継ぎ、皆さんご存じの数多くの素晴らしいパフォーマンスを発明し歴史に名前を残しました。(とはいて、私もこのあたりのことはそんなに詳しくはないんですが……)

有名なゼロ・グラビティというパフォーマンス。映像編集ではなく、仕掛と身体能力で重力を超越しようとしている。

そして、時代は進み、音楽のトレンドもロックからヒップホップへと移り変わると「見て楽しむ音楽」はインターネットにその舞台をうつします。そのなかでも2007年にサービスが開始されたYouTubeがその主戦場となったのです。

そんな今という時代「見て楽しむ音楽」という文化の発展を担っているのがK-POPに他なりません。そんなK-POPの特徴がここまで何度もワードとして出てきているカル群舞。高いレベルの振付を複数メンバーが完全に揃ったかたちで披露するカル群舞。

2010年のInfiniteの「다시 돌아와」という楽曲がその始まりとされていますが、このカル群舞、スマートフォンの普及がなければこれほどまでに一般化することはなかったのではないでしょうかと思います。

というのもスマートフォンの普及により自分たちのダンスがどこが揃っていてどこが揃っていないのかをすぐにスローモーションで確認でき、次の練習にフィードバックできるからです。このスマホの普及が世界でもっとも早く進んだ2010年代の韓国でこそカル群舞という新しい「見て楽しむ音楽」文化を生み出すことができたのではないかと思います。

そして、この新しい時代を代表するアーティストこそBTSだと私は思うのです。

2020年のMMAでのダンスブレイクはまさにその象徴的な振付でした。マイケル・ジャクソンへのオマージュを感じ取れます。

さらに言えばこのマイケル・ジャクソンのMVそれ自体がフレッド・アステアへのオマージュになっているのです。

BTSの凄さ

BTSは個々のメンバーのダンススキルの高さもさることながら、振付も素晴らしく(特にこのDNAの振付は最初から最後まで次から次へと新鮮で見所のある振付やフォーメーションをここぞとばかりに見せつけてきてそのクリエイティビティとエンターテイメント精神に感嘆してしまいます)見るものを魅了させます。

一方で発表されるアルバムはメッセージ性が非常に高く、メンバーが制作に参加している楽曲はそれ自体が人生の支えとなるような素晴らしいものが多く驚嘆します。(Yet to comeは本当に今の私の支えです)そういったバラードすらも完璧に歌いこなす圧倒的な歌唱力は言葉の壁を簡単に越え、世界中の人々の心を揺さぶっています。

かと思えば、YouTubeで配信されるオリジナルコンテンツでは、ちょっとポンコツだったり人間離れしたパフォーマンスを見せる彼らと同一人物とは思えないほど人間臭い一面も見せてくれます。というかみんな本当に面白いんです。そういう点はジャニーズの嵐みたいで、なんだかとても信じられない。オタクっぽいことを言ってしまいますが、そういうところが本当に沼なんですよね。(下の動画のジミンさんとか、普段のバチバチのダンスからは想像もつかない……)

さいごに

K-POPについて記事を書くつもりがミュージカル映画のことを延々と書いてしまうのが私のくせではありますが、「見て楽しむ音楽」としておそらく現時点で最高峰として君臨しているBTSを映画館で見るというのは本当に貴重でかけがえのない体験になると思います。是非、機会があれば読者のみなさんも『BTS: Yet To Come in Cinemas』を見に行っていただければと思います。私は完全体のBTSを生で見る日を夢みて、Yet to comeを今日も聞きながらこれからも続く人生を生きていきたいと思います。

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