毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記 #塚本本棚
キャバクラでトップ狙うなら、競争の少ない扱いづらい客を捕まえればいいって。
今日は「毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記( https://amzn.to/2GuYEsK )」北原 みのり (著) #塚本本棚
2009年の首都圏連続不審死事件で死刑が確定した木嶋佳苗被告の裁判傍聴記です。読んでて思うのが、彼女はかなり自分を客観視できているという事。様々なデートクラブでの恋愛で、”どういう男性なら自分が勝てるのか”を徹底的に認知したのだと思います。
被害にあった男性は、女性経験がなかったり、女性像に偏見を持っていたり、男尊女卑的な傾向があります。そこに彼らが好きそうな女性像を完璧に作って近づく(美人ではない自分の容姿も、彼らの自尊心を満たすための武器として利用しています)。
一方で不特定多数の目につくブログなどでは、社会に媚びるようなキャラクターになっています。”料理教室であった小太りで変な人”、一般的にはこのように自分が見られることも知っており、それとは別の世界(だました男たちの世界)では、彼らを手玉に取るセレブだと自分を言い聞かせているように見えました。
大きな金額を引き出せたのも、まずトライした(詐欺を行おうとした)数が多いというのはありますが、どの男性もお金の貯め方は知っているけれど、使い方は知らない人たちばかりだったからでしょう。セレブを気取りながら港区に乗り込んでこなかったのも、自分が想像で作り上げた”セレブ像”では遊びなれた人々には見透かされてしまう事を恐れていたのかもしれません。
行動はシンプルで直線的であり、彼女自身が、自らが作り上げた偶像に人生をもてあそばれていたのかもしれません。だからこそ、(裁判傍聴記にもあるように)木島被告はどこか自らが引き起こした事件すら、他人事で空疎だったのだと思います。