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日本語の秘密〜言語学者、ことばの達人に会いにいく〜


要約

短歌からラップ、声優の技まで、さまざまな視点から日本語の魅力を探る対談形式の一冊。この本では、俵万智さんやラッパーのMummy-Dさん、声優の山寺宏一さんといった「ことば」のプロたちが集い、日本語の面白さを多角的に掘り下げます。

たとえば、短歌とラップのリズムの共通点や、日常では気づきにくい音の美しさを発見する話は、読む人の感覚を刺激します。また、SNSでの言葉遣いが誤解を生む理由を考察するなど、現代のコミュニケーションの課題にも切り込む内容です。

普段何気なく使っている日本語が、実は驚くほど奥深い世界を持っていると気づかせてくれるこの本は、日本語好きはもちろん、言葉に興味を持つすべての人におすすめです。読むほどに、言葉の可能性が広がるような感覚を楽しめるでしょう。


気付き・感想

人間は、言葉を用いることで、現在のことだけでなく過去や未来についてもコミュニケーションをとることができる。
ここまで言葉を使いこなせるのは、人間の知能が高い証拠の一つであり、人間という生き物を知る一つの指標でもある。

なぜ言葉が人間を知ることにつながるのか、
それは、言葉が生物学的に理にかなっているからだ。

赤ちゃん言葉を想像してみてほしい。
赤ちゃんに話しかける時、自然と高い声で話しかけてはいないだろうか。
これは、高い音が威圧感なく安心させられると無意識に理解しているからだ。
大きい生物からは低い音、小さい生物からは高い音が連想される。
大きい生物よりも小さい生物の方が威圧感は少ないだろう。
小さな赤ちゃんには、「こちらも同じように小さいですよ」と伝えることで、威圧感をなるべく軽減しようと無意識に言葉で表現しているのだ。

他にも、「でちゅよ」や「ワンワン」といった、丸い話し方や繰り返しを用いる言葉にも理由がある。

また、短歌やラップからも人の面白さが分かる。
この二つに共通するものがある。

それは、韻を踏むことだ。
ラップはアメリカで生まれた歌であり、短歌は何年も前の日本で生まれた歌だ。
国も時代も違えど「韻を踏む」という共通点があるのは、この行為が人の根本で心地良いと感じとれるからと考えられる。
私自身、韻を聞くのは確かに心地良いと感じるが、これが人としての機能と知って驚いた。

言葉は、文章だけでなく声のトーンや抑揚もあって成り立つ。
文章だけでは伝わりづらく、解釈の違いが起きやすいのも事実である。だから、間違いを指摘し合うのではなく、人それぞれの解釈を尊重し、なぜそう解釈したのかを問い合う。
そして、どの解釈が正しいかというよりも、アイデアの面白さや、在るべき姿に重きを置いた話し合いが必要だ。

テキストベースでのコミュニケーションが増えるにつれ、この考え方の必要性も増していくと思う。

言語学は、言葉がどうできたのかだけではなく、人のとる行動の理由や、人そのものについて知ることにも繋がる。
自分や周りの話し方、普段聴く歌についてもこれまでとは異なる視点での考えが生まれ、かなり面白い学びになりました。


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