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Thinking skills 私はこう思考する


要約

台湾のデジタル担当大臣として世界から注目を集める天才プログラマー、オードリー・タンが、その独自の思考法を明かした『Thinking Skills 私はこう思考する』は、現代社会を生き抜くための「思考の指南書」といえる一冊です。

本書の柱となるのは、「透明性」「共感」「コラボレーション」という三つの概念。問題解決において、情報を収集し共有しながら、創造的なアイデアを導き出すプロセスが丁寧に解説されています。特に、個々の意見を尊重しつつ、全体最適を目指す「協働的思考」の実践方法は、多くの気づきを与えてくれます。

また、オードリー・タン氏が実際に取り組んだ事例も豊富に紹介されており、抽象的な理論にとどまらず、具体的な行動のヒントとして応用しやすい内容が満載です。個人の成長だけでなく、社会に建設的な影響を与えるための考え方が、この一冊に凝縮されています。

思考の幅を広げたい方や、自己啓発、チーム運営の新たな視点を探している方にぜひおすすめです。読後には、自分自身と社会を変える可能性を感じられることでしょう。

感想・気付き

天才中の天才と称されたウィトゲンシュタインは、こんな言葉を残している。「天才は最高の道徳であり、すべての人たちの責務である」 天生我材必有用(天、我が材を生ず必ず用あり) 才能があるかないかを決めるのは自分ではないのです

天才とは、才能を他人のために活かすことができて初めて天才と呼ばれる。だから、才能があるかどうかは自分で決めることではない。
自分の才能を探す過程で、その使い道を探っていくことこそが最高の道徳である。


仕事を始めたばかりの社員はたいてい主体性が高く、意欲もある。重要なのはいかに彼らを管理するかではない。彼らの主体性や意欲が組織のなかですり減ってしまわないよういかに管理職を管理するかだ。

どんな人にも始めたいことに対しては、最初は必ず意欲的なものだ。
しかし、組織の中で管理され、自主性を尊重されなければ意欲は削がれ、成長が阻まれてしまう。
管理職という名前であっても、管理するという垂直型管理の意識ではなく、サポートしながら共に創り上げていくという水平型管理の意識で接することも重要だ。


「痛みに最も近い人たちに力を与える」ことを念としている 議題に関連する共通の経験を作るということだ。 経験の共有は、コミュニケーションにおける最も重要なカギなのです」

議論することに対して、共通の経験があればより信頼できる議論ができる。逆にそれがなければ議論が他人事になってしまい意味を持たないものになってしまう可能性がある。
そのため、現場を体験することは議論を進めるにおいても、相手を理解し理解されるという点で良い役割を果たし、その議論自体も本質的に意味のある内容になる。
最終的な目標はより痛みに近い人(現場)達の力になり支えることであるのだから、現場を体験することも重要な仕事の1つである。


『完璧』は『十分』の敵

十分とは、大まかな合意が取れていて、実行に移せるレベルの段階をいう。完璧は、言葉の通りでそれ以上を挟み込む余地のないことを言う。
十分な内容が取れているのにも関わらず、完璧を目指すと言うことは、十分では足りないと言う、十分に対する敵対心があると言うことだ。
実際、完璧を目指すのは時間の無駄であることがほとんどだ。
しかも、完璧はこれ以上の余地を残さないから、これからの人たちが思考する機会を奪うことにもなる。

今後の人たちへ思考する機会を与え、その時々にあったより良いものを作っていくためにも十分で十分と言う意識は重要なものだ。


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