【性格分析】アイアンマンとキャプテン・アメリカの衝突はなぜ起きたか考察する
アベンジャーズ:シビル・ウォーでは、アベンジャーズの中心であるアイアンマンとキャプテン・アメリカが対立するシーンがあります。アベンジャーズが起こしてしまった事故がきっかけで、彼らを統治しようとする動きがありました。これに対してアイアンマンは容認を示す一方、世界を救えるチャンスが少なくなるとしてキャプテン・アメリカは反対しました。ともに世界を護りたいという認識は共通していたのに、なぜ彼らは対立してしまったのでしょうか。この記事では彼らの性格の違いに着目して、対立の原因を考察してみようと思います。
物語の背景
ことの発端は、アベンジャーズ2作目「エイジ・オブ・ウルトロン」に遡ります。トニー・スタークの作ったロボットたちが反旗を翻し、アベンジャーズとの戦いに発展しました。結局アベンジャーズは勝利したものの、戦いの地となったソコヴィアでは、多数の民間人の死傷者が出てしまいました。この件以外にも、スーパーヒーローの戦いに巻き込まれてしまった民間人は多く存在し、ヒーロー達を管理すべきではないかという見方が出始めた頃でした。
そんな中、ラゴスでの戦いにおいて十数人の民間人が死傷する事件が起きてしまいました。これがきっかけとなり、スーパーヒーローを国連の管理下に起き、国連の指示の下活動するという、ソコヴィア協定が提起されるのでした。
ソコヴィア協定のPros/Cons
まずはソコヴィア協定が有効になった場合、どのようなメリット・デメリットがあるのかを整理してみます。
Pros
・責任の明確化:戦いによって発生した被害に対する責任が明確になり(ヒーロー個人ではなく、国連が責任を取る)、補償制度などが制式化できる
・統制が取れる:ヒーロー数人による判断ではなく国連による決定より動くことで、誤った判断や、行き過ぎた活動が減る
・法的・倫理的なリスク低減:国際法に則って活動することで、法的に問題ないことが証明でき、同時に世間からの批判も抑えられる
Cons
・対応が遅くなる:国連の承認が必要になると、活動が迅速に進められず、被害が拡大してしまう恐れがある
・柔軟な対応ができない:超法規的な活動が制限されて、効率的・効果的な対応が取れない恐れがある
・政治的な活動に巻き込まれる:国連と言っても国の集まりであるため、政治的に利用される可能性がある。
このように整理してみると、ソコヴィア協定が施行された場合、ヒーロー達の活動に対してお墨付きが出る一方で、これまでのような地球全体を見た効果的な活動は制限されることが予想できます。この議論は、VIVANTにおける別班のように、政府非公認の部隊のProConと似たものかもしれないですね。
ヒーロー達の立場
次に、この背景を踏まえた上で、ヒーロー達がソコヴィア協定に対してどのようなリアクションを取ったかを整理します。
アイアンマン:アベンジャーズには意思決定プロセスがないとして、ソコヴィア協定に賛成しました。
キャプテン・アメリカ:国連に責任を転嫁しているだけだとして、ソコヴィア協定に反対しました。また、行くべきところに行けない、行くべきでないところに行かせられる、ことを危惧しています。
ヒーロー達の生い立ち
アイアンマンことトニー・スタークは17歳でMITを卒業し、21歳で父親の会社を継いだ過去を持ちます。彼は様々な先進兵器を製造する(アイアンスーツもその1つ)ような独創的な性格を持つ一方で、両親の事故死は彼の心に深い傷を残しており、このことが彼のメンタルに影響するシーンも多くあります。
キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースは、軍人の父と看護師の母のもとに生まれました。彼は人一倍愛国心が強く、何度も軍への入隊を志願したが、彼の虚弱な体質のせいで入れないでいました。キャプテン・アメリカとなった後も、彼は自らの正義のために自己犠牲をいとわずに活動し、スーパーヒーローを象徴する存在となっています。
ヒーロー達の性格比較
まず二人の性格を見て気づくのが、MBTI・ビッグファイブ全ての指標が反対であることです。反対であることが意見の食い違いの直接の理由とはなりませんが、少なくともスタンスの違いには影響していそうです。
例えばMBTIの外向・内向を見てみます。アイアンマンは外向なので、意思決定の判断基準が周りの人々、今回でいうと世論になります。一方でキャプテン・アメリカは内向なので、自らの心の声に従うことを良しとしていて、周りの意見に耳を傾けることは少ないです。つまり、周りの情勢を鑑みて賛成するアイアンマンvs自らの正義を貫いて反対するキャプテン・アメリカという構図が出来上がるのです。
また、ビッグファイブの情動性の違いが、互いの理解がうまくいかない要因の1つであると考えられます。アイアンマンは論理的である一方で感情的になることも多く、ソコヴィアにて息子を亡くした母親に糾弾されたことをかなり重く受け止めたり、バッキーが両親を殺した犯人であると分かると感情に任せて攻撃したりしています。キャプテン・アメリカは感情的になることが少なく、基本的に冷静な判断をすることが多いです。なので、アイアンマンからは、冷徹に思えるような判断を下している、正論に振りかざしている、というように見えるかもしれません。
さらに、彼らの言葉にも、重視するポイントの違いが表れています。アイアンマンは論理を重視するため、ソコヴィア協定による意思決定プロセスの明確化というメリットを挙げています。キャプテンはというと、彼の極めて高い誠実性から来るオーナーシップが、ソコヴィア協定によって責任転嫁してしまうことを許せないでいます。お互いの重視するポイントが違うと同時に、相手が重視するポイントを重視していないため、議論がすれ違っているように思えました。
もともと性格の食い違う二人が協力し始めたのも、人類を脅かすレベルの外敵が襲来したことがきっかけでした。ですので、シビルウォー序盤のように、純粋な議論が必要になると、彼らの考え方の違い、性格の違いが表面化するのも当然の話ではあります。
どうすればよかったか
劇中では、アベンジャーズとしてはソコヴィア協定に署名することになりましたが、キャプテンは早々にチームから離れて個人として活動し始めてしまいました。個人的には、もう少しキャプテンの気持ちを汲み取ってあげるべきだったのではと思います。彼が心配していた、アベンジャーズとしての活動が制限されるのではという問題に対して、交渉がうまいアイアンマンやブラックウィドウが国連と掛け合って約束を取り付ける、といったことをしても良かったと感じました。
アベンジャーズの活動は、多かれ少なかれ犠牲を伴うものなので、世界からの批判は免れません。なので、国連を無視していてはいずれ活動を停止させられる恐れもあったでしょう。そう考えると、国連(世界)からの要求を盾となって受け止めて、アベンジャーズの活動を一定程度許容するような存在が必要でしたが、SHIELDがそうなれなかったのは痛恨だったのかもしれません。
ここまで、シビルウォーにおけるアイアンマンとキャプテン・アメリカの衝突を、性格という観点から考察してみました。もちろん、性格以外の多くの観点が彼らの意思決定の要因になっていることでしょう。それでも性格の違いを比較することは、お互いの行動原理、意思決定方針を理解する一助になると思います。
参考文献
キャプテン・アメリカの性格
https://www.personality-database.com/profile/155/steve-rogers-captain-america-mcu-the-heroes-mbti-personality-type
アイアンマンの生い立ち
キャプテン・アメリカの生い立ち
シビルウォーのスクリーンプレイ
https://movies.fandom.com/wiki/Captain_America:_Civil_War/Transcript