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生活フォーエバーとずとまよ

『生活フォーエバー 短歌とエッセイ』寺井奈緒美/ELVIS PRESS

@habotan @on_reading

前回ご紹介した『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』が、自らの行動によって日常を非日常に変える本だとするならば、本書は日常を少し離れたところからか見つめ、捉え直すような本だと思っている。

恐らく、ご本人としては結構大変なこともたくさん起きているのだが、持ち前の俯瞰する力や独特の妄想力で乗り切っている。
それだけでなく、暮らしていく中で気に留めず過ぎ去っていくような出来事も寺井奈緒美さんは見逃さない。

それらを短歌とエッセイにユーモアを交えて落とし込んでいくので、基本的には笑いが絶えないのだが、時おり胸がギュッとなるような切実さを感じることもあり、そのバランスにページをめくる手が止まらない。

甘いものとしょっぱいものを食べているような感覚。

本書のタイトルのもとである短歌
「生活は腐敗との戦いだから米を炊け生活フォーエバー」
を見たとき、僕はずっと真夜中でいいのに。(以下、ずとまよ) @zutomayo を思い出した。

以前観たABEMA限定配信番組かライブ配信で、ずとまよのACAねさんが、ご自身のライブグッズの定番にしゃもじがあることについて以下のようなことを語っていた。

生きるためには、辛いこともたくさんあると思います。
ですが、それでも日々ご飯をよそっていかねばなりません。
(詳細は曖昧だけど概ねこのような内容)

決して器用で世渡り上手ではなく、ままならない思いを飲み込みながら、お米を炊いて、お茶碗によそって日々を生きていくしかない。
でも、自分以外にもそういう人がいると思えるだけで、勇気をもらえたり、重い腰が上がったりする。本書やずとまよの楽曲にはそういう力がある。

「あぁ、そうか、寺井奈緒美さんもずとまよのファンなんだな」と思いながら本書を読み始めた冒頭で、このタイトルはマーベル映画のブラックパンサーからきていると知り、そっちのことかと指を鳴らした。

ちなみに、本書は私設図書館もんの推し店舗でもあるON READING さん( @on_reading )の出版レーベルELVIS PRESSが制作、発行をしている。
気になる方は、ぜひON READING さんに直接足を運び、手に取って頂きたい。
重版もかかるほどの大人気作品です!

仕入れの相談もON READING さんにお問合せすればできます。
本屋関連の方、是非。

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