見出し画像

駅前散策日記 JR両国駅前編

 趣味は駅前散策です。
 何駅でも構いません。

 JR両国駅は駅のすぐ隣にあの有名な両国国技館があります。そんなに相撲が好きじゃなくても上がります。

かっこええ



 駅に置いてある周辺地図をチェックしてみると国技館のあるあたりは「横網」という地名になっています。国技館で横網はどう考えても横綱の誤植やろ、と思いきや横網で間違いないらしい。昔、東海大相模を東海大相撲だと思っていたことを思い出しました。

横網だよ横綱じゃないよ



 ちゃんこ鍋のお店やモンゴル料理のお店などがあり、どうやらここは相撲に支配されているらしい。そういえば喫煙所にもSMOKING AREAと書いてありました。

 駅前に来たら書店を探すのが私の駅前散策の流儀であります。「両国駅 書店」で検索してみたところ、「田畑書店」がヒットしたので向かってみる。どんぶらこという擬音が似合いそうな深めの川に一之橋という橋が架かっており、どうやらこれが忠臣蔵にも縁のある橋であるらしい。この橋のほかにも界隈に何点か忠臣蔵所縁の場所がありました。相撲だけではないらしい。

一之橋



 一之橋を渡り、川沿いをしばらく歩くとごく一般的なマンションらしき建物の入口に「3F田畑書店」と書いてあります。こんなところに?と思いよくよく調べてみたら田畑書店は本屋さんではなく出版社でした。横網と横綱、横綱とSMOKING、そして田畑書店。紛らわしいことが多すぎる。

 どうやら駅の近くに書店はないらしい。
 駅の方へ戻るときは塩原橋という橋を渡りました。このあたりに塩原太助という人物が住んでいたことが名前の由来らしいです。

 帰り道に回向院というお寺があり、ここもなかなか立派な佇まいで気になったのですが、その隣に「両国花火資料館」という施設があったのでこっちに入ってみました。
 隅田川花火大会に関する資料なんかが展示されている資料館で7月8月以外は木金土日の12時から16時しか開いていないそうなんですが、時間を確認してみたところ、なんとジャスト12時です。入れといわれているようではないか。

このあとすぐに開館しました



 苦学生の一人暮らしくらいの小さな資料館に受付のおじさんが一人。意図せず1人目の客であったらしく、えらく歓迎され、「隅田川の花火紹介してるビデオ観ますか?15分くらいだけども」と言うやいなや、こちらが意思表示するまでもなくスイッチをオンにしてそのビデオを観させられたのですが、自分で薦めておきながらビデオが流れている間、ずっと喋りかけてくるのでビデオの内容はまったく入ってこない。

 ここに書くのもやや憚れるような、いや、別に書いてもいいんですけど、とにかくおじさんは15分のビデオが流れている間、十五回くらい「こんなこと言っちゃったら右翼の人に怒られちゃうけどさ」と言っていました。

 ビデオが終わってからも延々、いろいろな話をされ、京都から来たと伝えると、京都は花火はあるの?と聞かれたので京都市内ではありませんけど近いとこでは琵琶湖ですかねと答えると、「ああ、塀を作って無料では見られないようにしたやつでしょう。関西らしいなって思っちゃったね、こっちじゃ行政があんなことするなんて考えられない粋じゃないよね」と関西ディスりを繰り広げ、その後は丸の内の地名の由来や隅田川花火についても熱弁をふるってくださいましたが、あの間、私はムーディー勝山よりも右から左へ受け流していたと思う。

 そろそろ行かなあかんので、と断り、資料館を出ようとすると名残惜しげに付いてきてくれ、なかなか人情味溢れる下町らしいおっさんやと思っていたら、外に出たところで後輩を見つけたおっさんは「おーい」とそっちに声をかけ、私なんぞいないかのようにそのまま後輩のもとへ去っていかれました。

なかなか面白い展示でした



 実に面白いおじさんでありました。
 是非一度右翼の人に怒られてほしい。

#散歩日記 #日記 #コラム #エッセイ
#駅前散策日記 #涌井慎 #わくいまこと
#こわくいとま #暇書房

私の著書『1人目の客』や1人目の客Tシャツ、京都情報発信ZINE「京都のき」はウェブショップ「暇書房」にてお買い求めいただけます。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集