リーダーの資質とは
今年のノーベル平和賞は、
飢えに苦しむ人に食料を届ける
国連世界食糧計画(WFP)に贈られた。
まさか、WFPが今後、
賞の名に泥を塗るようなことには
ならないと思うが、
数あるノーベル賞のなかでも、
のちに失望が
生まれてしまうことがあるのは、
平和賞くらいではなかろうか。
12月2日「朝日新聞」に書かれていた。
例えば、軟禁の身で平和賞に選ばれ、
民主化の星となった
アウンサン・スーチー氏が、
ミャンマーの政権に就いたあとに起きた
ロヒンギャ迫害は、
まれに見る人道危機となった。
エチオピアで
今起きている事態もあてはまる。
エチオピア政府と
北部の政党、
ティグレ人民解放戦線とのあいだで、
軍事衝突が続いていて、民間人も含め、
数千人が犠牲になったと報じられている。
エチオピア政府を率いているのが
去年の平和賞を受けたアビー首相だ。
隣国エリトリアとの紛争を
解決した功績が認められての受賞だった。
受賞の際、アビー首相は演説で、
「戦争を美化しようとする人がいるが、
戦争は関わる人全員にとって地獄の縮図だ」
と語っていたはずなのだが、
のちに「どの口がそれを言うたんや」
となってしまうのは、残念でならない。
「どの口がそれを言うたんや」は、
ミャンマーやエチオピアまで行かずとも、
けっこう近いところにも存在している。
これは12月1日の「中日新聞」に
掲載されていたものだが、
日産自動車の社長だった
カルロス・ゴーン氏は、
とある対談で「求められるリーダー像」
について聞かれ、その資質の一つとして
「透明性」を挙げていた。
「目指す内容、実行の過程、
結果を人々に明らかにする人であるべきだ」と述べていたそうだ。
これが15年ほど前の対談での一コマで、
このゴーン氏の言葉に「全く同感です!」と
相づちを打ったていたのが、
当時の官房長官で
次のリーダーだとされていた人物だ。
名前を安倍晋三というそうだ。