10月21日週の新聞俳壇歌壇チェック
再び新聞の俳句と短歌をチェックすることにしてからまた創作意欲がわいてきました。良作に触れることは何よりも刺激的です。
10月21日週の新聞各紙俳壇歌壇チェック。
⭐︎10月21日の読売俳壇
●妻の味忘れてゆくよ萩の餅
あんなに愛しかったのに月日の経つということは残酷なものです。まず声を忘れ、匂いを忘れ、やがて肌触り、姿かたちも忘れてしまう。写真もあるし動画もあるけど、それでもやがて忘れ去られてしまうのです。あんなに定子に執着していた一条天皇が彰子の子を産むことになったように。
⭐︎10月21日の読売歌壇
●幾度となく離農促す台風の過ぎれば父祖の田畑耀ふ
これはバンド活動なんかにも通じるものがあります。もう潮時とちがうかな、お客さん減ってきてるし、常連さんしか見に来ないし。次で最後にしよかな。でもいざライブやってみたらめっちゃいい演奏ができていつまでも離れられずに続けてしまうんですよね。
⭐︎10月21日の毎日俳壇
●秋めくや一夜明けたる如意ヶ嶽
これは京都の五山の送り火の翌日です。送り火が終わったら京都に秋がやってきます。一夜明けたる如意ヶ嶽を見てそれを実感しているというわけですが、今年は正直、8月17日なんてそんな実感まったくなかった気がします。ただ、それでも京都では送り火が夏を終わらせるのです。送り火を境にラジオでは「若者のすべて」「少年時代」「さよなら夏の日」あたりが流れはじめます。
⭐︎10月21日の毎日歌壇
●ジェノサイド反対の土曜デモより長くより国際色増せど
土曜に京都ではイスラエルのガザ攻撃に反対するデモが行われていると知ってから自分も行こう行こうと思いつつ未だ行けておりません。
⭐︎10月24日の産経俳壇
●雁渡る核武装などせぬ国へ
実際は核武装をちらつかせている国へ渡っていきますよね。本当に情けないことだと思う。でも程度の差こそあれ、核武装をちらつかせてるあの国の指導者みたいなやり口の人が多くなってきた気がするのです。
⭐︎10月24日の産経歌壇
●災害は忘れたころにやってくるなんてのんきな時代のありき
いまこんなこと言ったら怒られます。思えば人災の最たるものたる戦争も私の子供の頃と比べると残念ながら近いところに存在するようになってしまった。トランプゲームで「戦争」っていうのがありますが、いまはもうこんな遊びしたくないです。
⭐︎10月26日の日経俳壇
●三途の川の土手おでん屋で会ふ約束
死んでからも親しき人とおでんをつつきあえるならそれもよいかもしれないと思わせてくれます。
⭐︎10月26日の日経歌壇
●「元気か」のひと言だった父の声 年に数度の電話のたびに
「だった」だからもう父は亡くなっているんだと思ったんですがどうなんでしょう。もうその年に数度の父の声が聞けなくなった悲しさと読みました。
⭐︎10月27日の朝日俳壇
●目に耳に鼻にささやく竜田姫
竜田姫は秋の女神。春の女神は佐保姫ですね。ようやく竜田姫が五感にささやくようになってきました。待ち焦がれた秋の到来をうまく詠んでると思いました。
⭐︎10月27日の朝日歌壇
●秋空にふわふわの雲最近は小さい画面ばかり見ていた
フィンランド人だったかが日本を訪れてびっくりしたのが「みんなスマートフォンを見ている」ことだったらしい。自戒込みですがそんなの全然面白くないですよね。一日一日大事に生きたい。ってこれもスマートフォンに打ち込んでいるんですけど。
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