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11月18日週の新聞歌壇俳壇チェック

 俳壇と歌壇が毎週あるだけで新聞の存在意義なんて十分な気もする。

 今週は朝日歌壇に⭐︎闇バイトは「楽で簡単高収入」我は真逆の作歌楽しむ という歌がありました。つまり作歌は、苦しく難解で金にならない。誰がこんなものに時間を費やすのか、と今を生きる人のなかにはそんな人も多いようですが、作歌に限らず、私は苦しく難解で金にならないことこそ面白いと思う。いや、苦しく難解で金にならないことに面白さを見出せる人こそ面白いのだと思う。

●11月18日の読売歌壇
⭐︎インスタにあの子とこの子今日同じ写真載せてる神経衰弱

この歌を私は、その同じ場所に誘ってもらえなかった子の悲しみの歌だと思いました。誘ってほしいけど誘われなかった人がインスタを見るかもしれないというところに気を遣ってほしい。

⭐︎うつくしい花の名のやうひだんきやう

ノーベル平和賞に選ばれた被団協。確かに「ひだんきやう」は凛とした花の名前にも思える。

●11月18日の毎日歌壇
⭐︎手品終えた我を園児が取り囲む魔法使いの役降りられず

子供たちの無邪気な笑顔が連想できて微笑ましいです。この手品師さんは大変でしょうけど。

●11月18日の毎日俳壇
⭐︎職場では見られぬ笑顔芋煮会

職場の顔と芋煮会の顔、どっちの顔が魅力的か。いわゆるギャップ萌えというやつ。こんなん惚れてまうやろー。

●11月21日の産経歌壇
⭐︎録画して何回も見たドラえもん昭和にあったのんきのなかで

害しかなかったかのように語られがちな昭和気質ですがSNSに罵詈雑言誹謗中傷飛び交う令和にはないおおらかさもありました。「のんき」っていいですね。

●11月21日の産経俳壇
⭐︎病棟のひと窓ごとにある月見

ひと窓ごとに患者がいて家族がいて物語がある。

●11月23日の日経歌壇
⭐︎二駅をうとうと過ごせば前に座す母子が父子に替わりていたり

私にとっては電車あるあるでした。一瞬ビクッとするんですよね。

●11月23日の日経俳壇
⭐︎平和賞核無き花野に降り立ちぬ

ここにも被団協の一句。核無き花野が広がり続けてほしいです。

●11月24日の朝日歌壇
⭐︎生徒らは「特攻」という演目を中学生らしくさらりと演じる

先生の世代さえ、「特攻」は遠い世界のことになりつつあります。遠い世界のことになること自体は悪いことではありませんが、さらりと演じてしまうのもどうなんだろうとは思います。

●11月24日の朝日俳壇
⭐︎ささくれし言の葉かなし文化の日

「楽で簡単高収入」に群がる人たちが言葉をささくれさせている気がします。言葉をささくれさせないために私は苦しく難解で金にならないことを面白がり続けるのです。

京都の俳人 タピ岡子規さん

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趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。この趣味について綴った私の著書『1人目の客』や1人目の客Tシャツ、京都情報発信ZINE「京都のき」はウェブショップ「暇書房」にてお買い求めいただけます。

2月10日(月)開催!涌井大宴会in磔磔もよろしくお願いします。


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