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新聞が好きなもので

 新聞を読むのが好きなのは何故かといえば、それが出合いの場だからなんである。普段の暮らしではスルーしてしまいがちな情報に溢れており、そこにはもちろん必要のない情報も溢れているのだけど、いまやインターネットの中の人がこんな私程度の人間にさえ忖度して私の欲するであろう情報を提示してくる時代である。不要な情報ほど貴重なものはないのだ。

 誰かよく知らない、顔の見えない誰かによって書かれ、編まれたものを読むという行為は、こちらが「あえて」それを行わなければもはや行うことができないのであり、その点はラジオにも近いものがあると思う。知ってる曲を自分の好きなタイミングで聴けたら楽しいけど、誰かの選んだ知らない曲が流れてくるのも楽しいし、知ってる曲でもラジオから唐突に聴こえてくるのは自分が聴きたいときに聴くのとは違うよさがあるものだ。

 先日、確か朝日新聞と毎日新聞だったと思うのだけど、同じ日に同じ漫画が紹介されており、実に面白そうだったのでチェックしていた。城戸志保さん著『どくだみの花咲くころ』という作品である。

すごく面白い。
教えてくれてありがとう新聞!





 癇癪持ちで予測不能な動きをする信楽はクラスでも浮いた存在。優等生の清水はある出来事をきっかけに遠くから信楽の観察を始めることに。ある日、近所のどくだみ畑に信楽が入っていく姿を見つける。彼が帰ったあとそこに行くと独創的な草人形が落ちていた。それを見た清水は衝撃を受け、信楽作品の沼にハマっていく!!!!!!



↑※内はコミック1巻に付いてきた冊子に書いていた作品紹介文

 クラスで浮いてる信楽くんにはなるべく近づかないでおこうと思っていた清水くんが、信楽くんの作品にダダハマりして「追いかける存在」になっていく。信楽くんはクラスで浮いてるだけあってどこかおかしいところがあるんだけど、清水くんは清水くんでどこかおかしい。小学五年の少年二人が少しずつ打ち解けていくのだけど、その打ち解け方というのは、友情を深めていくというのともちょっと違っていて、私の子供の頃にも確かにこういう人間関係はあったけど描かれてはこなかった。よくある友情物語に収斂されてしまうがゆえにあぶれてしまった、それが故に忘れてしまっていた感情を揺さぶられるようなお話です。信楽くん清水くんそれぞれが時折見せる真剣な表情やお互いへの思いやりの感情に触れたとき、胸がキューってなっちゃう。私はもはや具体的な「そういう記憶」を失ってしまったけど、今、小学四年の次男、中学二年の長男は、こういう学校生活のなかで感情の折れ線グラフを激しく起こしたり伏したりしながら一生懸命に生きているのかしらと思うにつけ、目頭が熱くなる。

 まだ1巻しか出てないけど、著者の城戸志保さんは物語のラストまで考えてあるらしい。2巻の発売が待ち遠しい。

こうやって切り抜きをノートに貼って
保管してるんですが、
この切り貼りがけっこう時間かかりますねん。。。


#日記 #コラム #エッセイ
#蠱惑暇 #涌井慎 #こわくいとま
#新聞 #城戸志保 #どくだみの花咲くころ

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