バイデンの演説の翻訳比較その2
バイデン大統領就任演説について、新聞各紙がどう翻訳したか?を調べています。今回取り上げるのはコチラ。
This is democracy's day.
A day of history and hope. Of renewal and resolve. Through a crucible for the ages America has been tested anew and America has risen to the challenge.
Today,we celebrate the triumph not of a candidate,but of a cause,the cause of democracy.
The people,the will of the people has been heard and the will of the people has been heeded.
昨日おそらく「京都新聞」と「毎日新聞」は同じ翻訳を使っていると書きましたが、やはり今回も二紙はまったく同じ翻訳でした。ここまで同じで別人による翻訳であるとは考えられません。双子の姉妹や兄弟ならば、ひょっとすると?ファンタジーとしては面白いですが、やはり現実的ではないでしょう。
「朝日新聞」のみ、語尾が「ですます調」になっており、上品さが出ているように思います。トランプ大統領の演説はどんな風に翻訳していたのでしょうか。あの人の場合、「ですます調」は似合わない気がしますが、かといって大統領の人柄によって口調を変えすぎるのも印象操作になりかねません。その点、他紙の「だ」で終わる(だ調?)書き方は、トランプにもバイデンにもプーチンにもメルケルにも、変に人格を創造することなく使えそうなので、無難だといえると思います。
全紙「cause」を「大義」と訳しており、私なんかは「cause」といえば「原因」だと思っておりましたので、「民主主義の原因を祝う(たたえる)?」ってどういう意味かしら?と思ったのですが、原因→根拠→正当な理由→大義というような括りになるのでしょうか。
なんとなく、「主張の拠り所となる根っこの部分」のような意味があるのかな?と勝手に考えております。
causeを調べていたら、特定の商品やサービスの売上の一部を寄付などを通じて環境保護や社会貢献に結びつけることを「コーズ・マーケティング」などと言うらしいこともわかりました。
あとは最後に出てくる
the will of the people が
「京都新聞」は「人々の意志」
「読売新聞」は「国民の意思」
「朝日新聞」は「人々の意志」
「産経新聞」は「人民の意思」
「日経新聞」は「人々の意思」としており、
まったく同じなのは
「京都新聞」と「朝日新聞」のみ。
googleで調べてみたら、
「民意」という訳が出てきますが、
「読売新聞」はそれを「米国民のもの」に
限定しており、「産経新聞」もややそれに近いニュアンス。他の「人々の」と訳した3紙は広く世界中の〜という思いを汲み取ったのか。はたまたアメリカ大統領の話してることなんだから「人々」でも、そりゃあ「アメリカの人々」ってことでしょう。ということなのでしょうか。
また、「意志」と「意思」の違いも注目したいところです。
新明解国語辞典第八版によると
「意志」
困難や反対があっても、最後までやり抜こう(絶対にすまい)という、積極的な心の持ち方。※「意思」とも書く。
「意思」
物事に対する認識や考え。また、何かをしようという思い。とあります。
「意志」のところに「※意思とも書く」とあるので、単なる表記の違いなのかもしれませんが、「意思」を使っている「日経新聞」よりも「京都新聞」と「朝日新聞」のほうが、バイデン大統領の心の内に潜む「熱」を感じ、それを表したかったということなのかもしれません。
こういう一語一語の表記の仕方、翻訳の仕方によって、バイデン大統領への期待値を表す新聞もあれば、あまり個人的な思いを込めず客観的な翻訳を心がけようとする新聞もあるということなのでしょう。
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