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二三味ゆきね(にざみゆきね)
2024年6月24日 10:15
靴音が響く度に、からくり人形である少女の足下の血溜まりが、小さく揺れる。からくりの少女は笑みを浮かべ、ずるずると息も絶え絶えな術者の襟をつかんで引きずった。その術者の胸部からは血が流れていて、つんと鉄臭い。「ねー、封印の間はこっチ-?」 少女は引きずっている術者に声をかける。だが、術者はわずかに首を振り答えない。「ねー、こたえテヨ-!」「……ぐ」 わざと傷に響くように、少女は背後の男
2021年7月27日 17:28
ねえ、ユウイチ。 初めて会った日のこと、覚えてる? 捨てられていたワタシを、そっと抱きしめてくれた時のユウイチの腕は、まだ小さかったね。 優しくて、あたたかい想い出。 いつだってそれは、私のタカラモノ。 ねえ、ユウイチ。 ワタシ思うんだ。ワタシは最期の時も、ユウイチのそばにいたいよ。 ユウイチは優しいから、きっとたくさん泣くんだろうね。 息を止めるその時は、君の優しい手で撫でてほ