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二三味ゆきね(にざみゆきね)
2020年8月1日 15:06
5月。例年よりも気温が高く、もう真夏だと感じる暑さが突然襲ってきた日の午後。 聞こえるのは古びたラジオの音声だけ。軽快な音楽とともに、DJが曲紹介をしている。 カウンターに置かれた電話が、鳴った。 幸申(ゆきのぶ)は「ヴォッ……」と踏まれた獣のような声を出して、受話器を取る。「はい、パンジー商店です……ん?……いや、番号間違えてますね……はい、はーい……」気だるげに受話器を置いた彼は、